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「理屈じゃないから、理屈が大切」な理由


昨年末から、楠木 健さんの『ストーリーとしての競争戦略』を読んでいます。

その中で改めて大切だと感じたのが、「理屈」を学ぶということです。

「理屈じゃないから、理屈が大切」
理屈では説明できない困難を乗り越えるには、理屈を突き詰めることが大切。

「理屈だけが全てじゃない」
という言葉を聞くことがあります。

こう考えれば上手くいく、と熱弁する経営者。
考え方ばかり学んでも、実際の業務にどう役立つのか。そう考える社員たち。

その様子を見ていると寂しくなります。

社長に人事評価制度の話をしていても、「考え方は分かるんだけど、実際に社員を教育するのは簡単ではないから」と言われるのも、まさしく「現実は理屈とは違う」ということですね。

確かに、理屈では説明できないことが、世の中には沢山ある。ビジネスにおいても、最終的に意思決定する場面では、感情が大きく影響しますね。どんな人でも、時には理屈を超えた何かに突き動かされて行動することがあると思います。

では、理屈が役に立たないなら本を読む意味がないのか?と言えば、それは違いますね。
「理屈じゃないから、理屈が大切」だと、著者の楠木さんは言います。

ここまでは理屈で説明できるけれど、ここから先は理屈では説明できない、という線引きをどこでするか。

「理屈二割の気合八割」と言われますが、理屈で説明できる部分が20%、説明できない部分が80%あるとすれば、どこからがその80%にあたるのか。

いわゆる「野生の勘」によって実際のビジネスが成功するとしても、理屈を完全に無視して突き進むだけでは、肝心の野生の勘さえも満足に発揮できない。理屈で説明できる20%を本気で突き詰めるからこそ、成功に必要な感覚もつかめるのだと。

「ここから先は理屈ではなく気合いだ」と自信を持てたなら、ここぞというときに実力を発揮しやすくなる、ということではないでしょうか。

たとえば、学校や地域の避難訓練。

実際に災害が起こったとき、訓練と同じようにはいきません。予想外の被害で、思うように身動きが取れず、場合によっては避難することも難しい状況になるかもしれません。

ですが、避難訓練をする意味がないか、といえばそうではない。こうなったらどう行動する、という考え方やパターンを体で覚えておけば、実際に災害が起きたときにも行動に移せる可能性が高まります。一瞬の迷いが命取りになる状況で、考えるより先に行動できるように備えておけば、生き残れる可能性が高くなります。

ビジネスで大切だとされる論理的な考え方は、それを単純に実践しただけで成功できる、というような簡単なものではありませんよね。たとえ新卒1年目で、経営者向けの本を50冊読んだとしても、それだけで経営者として成功できる訳ではありません。

先ほどの、理屈ではない80%とは、理屈を基にどれだけ行動できるか、ということだと思います。どんなに勉強しても、経験を増やさなければ勘は磨かれていかないので。

私は読書が好きですし、学びたいと感じたものについてはいくらでも勉強し続けられる自信はあります。ですが、やはり行動しなければ。実際に使わなければ、学ぶ努力が意味のないものになってしまう。

今すぐに役に立つものは少ないかもしれません。ですが、いつでも使える状態にしておけば、いざという時に役に立ちます。思いもよらない素晴らしいアイデアが浮かぶかもしれませんし。

最大限に学んだ理屈が20%に満たなくなるくらい、残りの80%の部分が大きくなるように、失敗を怖がらずに行動し続けたいです。

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