コンサルタントの「対話術」〜経営のパートナーであり続けるために〜
和仁達也:著『年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの対話術』(特別版)より
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コンサルティングとは、言葉を「武器」にする仕事
”コンサルティングとは、言葉を使って人に影響を与え、成果をもたらし、報酬を得る” 仕事であると和仁さんは言います。そして、相手を動かす言葉を「武器」として使いこなすためには、次の2つの「対話の型」を持つべきであると。
①他の人が見落としていたユニークな着眼点
②そのセリフを躊躇せずに言えるマインド
コンサルタントは、クライアントが気づいていない重要なものに気づかせる役割を担っています。誰もが知っている事実やロジックを延々と話していても、相手に深い気付きを与えることはできません。
今の組織の現状がどのようになっているか、なぜ問題が起きているのか、それを課題として言語化してあげることで、次に打つべき策を相手自身から引き出せる状況が理想的。
「コンサルティング」と聞いて、”教える人”というイメージを持たれがちですが、和仁さんがこの本でも書いているのは「先生型」ではなく「パートナー型」を目指すべきであるということです。
学校の勉強でも家庭の教育でも同じですが、「これをやりなさい」と上から指示されるほど、受け手はやる気を削がれます。取り組むとしても、言われた通りにこなすだけでは、自分で考える力が身につかず、自立して解決していく能力が育っていきません。
企業のコンサルティングも同様に、経営者や社員たちが自ら考え、主体的に行動し続けることでしか、本当の意味での改善はできません。相手の状況を的確に把握し、一緒に解決策を考え実行を促していく「パートナー型」のコンサルを目指す上でも、やはり「対話術」が重要なカギとなります。
もう一つ、パートナー型コンサルティングで大切なのが、経営者のビジョンを引き出すこと。
私たちコンサルタントの最大の仕事は、「社長のお困りごとにフォーカスする」ことです。何に困っているのかを知るためにも、そもそも、どこに向かって進んでいるのかを理解しなければ、何が足りなくて、何が必要なのか、または今あるもので活用できるものは何か、解決への糸口を探すことができません。
しかし、肝心の経営者自身がビジョンを描けていないことも多いため、その構築からサポートする存在としてのコンサルタントが大きな価値となります。
「10年後、どうなっていたら最高ですか?」
と問うのは簡単ですが、いきなり聞かれて瞬時に答えられる人がどれだけいるのでしょうか。先を見据えて計画を立てるのは重要ですが、10年も先のことなど分からないもの。
沢山の対話の中から、相手の想いを少しずつ拾っていき、ビジョン構築へのヒントを繋ぎ合わせていくことでしか、理想に近づくことは出来ないのかもしれません。
和仁さんが度々揚げている「安心・安全・ポジティブな場づくり」という話にも繋がりますが、会議にしても面談にしても、相手が心地よく想いを語れる環境を作ってあげることが、第一ステップであり、そこで失敗すればパートナーとしての「あり方」を確立させることは難しくなります。
報酬を変える決め手は「あり方」であると和仁さんは言います。
先ほどの「先生型」か「パートナー型」かという話もそうですが、単に何かを教えるスペシャリストとして関わるのか、足りないパートを補う外注のような立場なのか、組織の存続に大きく関わるビジョン構築に深く関わるのか、それによりコンサルタントとしての存在価値が大きく変わります。
社長であれ、部課長であれ、組織の行先を決める立場の人は「経営者」であると私は考えています。立場や役職に関係なく、少なくともその意識を持っている人は経営に関わっていると言えます。
その人たちから、ただ指示を聞いて実行する立場でもなければ、上から目線で知識や価値観を押し付ける立場でもなく、一緒にビジョンを考え、課題を解決するパートナーであり続けたい。
そのためにも、この本にあるような「対話術」(伝える技)を磨いていくことが、今後の武器となっていくはずです。
もちろん、伝える内容やコンセプト力もなくてはならないものですので、その両方を同時に高める努力を、これからも続けていきます。
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