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100年前のレシピ本を訳してみます10-B章 スープ II. 野菜のスープ

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やっとまた続きができます。番号がややこしいですが、前回までの肉類のスープが終わり、野菜のスープにはいりました。では。

37.肉団子入り野菜のスープ

 このスープは、新鮮で固くなりかけたエンドウ豆をよくかき混ぜ濾して作れますが、同様に若いコールラビ、カリフラワー、ジャガイモも使うことができます。バターか油を熱し、細かい小麦粉大さじ山盛り2杯を入れて黄色く炒め、必要量の湯を注ぎ、沸騰したらスープ皿山盛りのエンドウ豆と小さく切った根菜、またはコールラビのスライス2枚と塩を入れ、柔らかく煮込んでとろみのあるスープにします。ジャガイモでスープを作る時は、40番に記載してある方法に従います。ポロネギ1本、根セロリ1個を加えます。第Q章(牛と子牛の団子)の通りに作った挽肉のたねを、大さじを使って16個の団子を作ります。スプーンでたねをすくい、左右へ数回放り投げるようにして形を整えます。中の赤い色が無くなるまで5分茹でます。パセリのみじん切りをスープに加え、ジャガイモのスープでなければ、ジャガイモをスープに添えます。

「コールラビ」はドイツ語です(Kohlrabi)。コール(Kohl)はキャベツ、ラビ(Rabi)はカブを表すRübeの変形です。ドイツではスープで煮たりしてよく食べます。

38. ロシア風ザワークラウトのスープ

(オリジナルレシピより)
 重さ2〜3キロの牛肉の適度な部位を、一部ハムで代用してもよいので、煮込んでブイヨンを取ります。スープにとろみを付けるのに十分な量のバターを同じく十分な量の小麦粉と合わせ、黄色く炒めたら、肉を取り出したブイヨンに溶き入れます。そこへ、柔らかく煮て小さく切った出来のよいザワークラウトをコショウと一緒にスープに入れしっかり煮込みます。スープに生クリームを加え、煮込んだ肉を小さく切って入れます。
 このスープはしっかりとろみを付けることが大切です。ロシアでは、焼いた蕎麦粥(カーシャ)を添えます。

ロシア語ではSchtschiというようですね。ドイツのレシピサイトにいくつかレシピを発見しました。このSchtschiはボルシチ(Borschtsch)のSchtschと同じ意味の言葉でしょうね。


39. ロシア風キャベツのスープ(ボルシチ)

(オリジナルレシピより)
 3キロ程の牛肉でスープを取ります。小ぶりのビーツ6個を洗い、細長く切ります。小麦粉をまぶし、バターで30分、蓋をして蒸し焼きにします。その間小さめのキャベツを4等分にし、熱湯をかけて蓋をし、15分置いておきます。ビーツはスープを1時間半煮た後に入れ、その30分後にキャベツと根セロリ、小さいニンジン、ポロネギを必ず入れます。全て柔らかく煮えたら生クリームを250mlと大さじ山盛りの小麦粉1杯を混ぜて加え、しっかり火を通します。卵黄をスープに溶き入れ、焼いたソーセージを添えます。

原文ではBorschと書いてありますが、現在ドイツ語ではBorschtschと書きます。英語ではBorschtでBorschもあるようです。
どうやら「ボルシチ・ベルト」なるボルシチの分布地域を表す言葉があり、ポーランドからルーマニア、ウクライナ、ベラルーシ、ヴォルガ川、ドン川までの地域を指すそうです。

40. ジャガイモのスープ

 
 新鮮なあるいは焼いた肉の骨とくず肉または新鮮な肉を塩を加えて火にかけ、あくをすくい、好みでアロイロナート30g、ポロネギ、根セロリを加え、ゆっくり1時間半煮込みます。その間にジャガイモをほぼ柔らかくなるまで茹で、スープに加えて火が通ったら濾し器にかけます。パセリのみじん切りかナツメグを挽いたものをスープに加え、サイコロに切ったパンのトーストを添えます。燕麦の押し麦を大さじ数杯加えて煮込むのもあらゆるジャガイモスープにお勧めです。
 ジャガイモのスープは水だけで作ることもできます。ただその場合は十分なスープ用ハーブとバターで炒めた小麦粉のルー、リービッヒの肉エキス小さじ1杯を入れて煮込みます。アロイロナートを加える(A章10番)はジャガイモのスープにとりわけお勧めできます。

アロイロナートは穀物の胚芽で作られたベーキングパウダーのことで、1880年にヴェストファーレンのでんぷん工場経営者ヨハネス・フントハウゼンにより開発、特許申請された商品です。現在では主に糖尿病患者向けのパンに使われているそうです。この名前はアリューロン(糊粉は)から取られたもので、穀物の外皮の下にある部分。タンパクやミネラルが含まれています。
語源はギリシャ語のáleuronで「粉」の意味だとか。

41.ちりめんキャベツ入りジャガイモのスープ

 脂身の少ないベーコンを250gと新鮮な骨を2.5ℓの水に入れ火にかけます。沸騰したら皮を剥いたジャガイモ16個、小さく切ったちりめんキャベツ半分、ニンジン2本、根セロリ半分、ポロネギ1本を存分に加えます。このスープは濾さず、骨を取り出し、ベーコンは盛り付ける時に小さく切るだけでよいです。

ちりめんキャベツ(別名サボイキャベツ)はドイツ語でWirsing、ロールキャベツなどにしてよく食べます。

42.洗練されたジャガイモのスープ

(オリジナルレシピ)
 皿1杯のジャガイモのスライスを細かく切った玉ねぎと一緒にバター50gで半分ほど火が通り茶色くなるまで炒めます。これを、スープ用ハーブを15分煮た3ℓのお湯に、バターを残して入れ、塩を加えて30分煮込みます。  
 これを濾し、ジャガイモを炒めたバターの残りで小麦粉大さじ1杯を炒めてスープに入れ、リービッヒの肉エキス10gと赤ワイン大さじ2杯で味付けし、煮立たせてから小型パンをサイコロに切ってトーストしたものを添えます。

 

43.最上のジャガイモのスープ

(皇帝の料理レシピより)
 大きい受け皿一杯分の細かく切ったスープ用ハーブをバター50gで炒め、折れたアスパラガス12本、刻んだマッシュルーム6個、カリフラワーの房6個、ジャガイモの角切り500gを加えます。熱湯2ℓを野菜に注ぎ入れ、1時間ほど煮込みよく混ぜます。リービッヒの肉エキス小さじ1杯入れてよく煮て、カイエンペッパー少々を加え、小型パンをサイコロに切ってトーストしたものを添えます。

皇帝とはドイツ皇帝ヴィルヘルム2世でしょうか。この本が出版されたのは1915年なので、時期的には彼の時代ですね。

44.トマト入りジャガイモスープ 簡単で美味

 ジャガイモ40個を、塩を入れたお湯で茹で、水気を切って濾します。濾したジャガイモを80gのバターで鍋底から剥がれるまで炒めたら、固形のマギーブイヨン2個を入れた多めの熱湯で煮込んでとろみのあるスープにし、塩、ナツメグ、コショウ、パセリのみじん切りで味付けします。熟したトマト8個の皮を剥き、4等分に切って、バター少々、塩、コショウと一緒に10分蒸し焼きにしジャガイモのスープに入れ、角切りのパンをトーストしたものを添えます。

45.挽割り燕麦とジャガイモのスープ

 大変栄養に富む、水を加えて丸めた挽割り燕麦を一人あたり30g、水、質のよい油脂(素晴らしく適しているのは燻製肉またはハムのブイヨンで、水と混ぜて使います)、コールラビ、セロリ、パセリまたはポロネギ、足りない時は小さく切った玉ねぎを煮立て、きれいに洗ったジャガイモと塩を加え、全体をおよそ2時間、柔らかくとろみがつくまで煮込みます。
 挽割り燕麦の代わりに大粒のグラウペンも使えます。ベーコンと一緒に柔らかく煮て完全に柔らかくなったら、必要量のブイヨンあるいは水を注ぎ入れます。
 このスープを使用人の食事用に作る場合は、 1人あたりの燕麦を50グラムで換算します。

46.若い野菜のスープ

 小麦粉をひとかけらのパターで伸ばし、スープにしたい量の水または肉エキスのブイヨンに入れ、塩を加え、次の野菜を小さく切ってスープに入れ火を通します:根菜、たまぢしゃ(サラダ菜)、ほうれん草、スイバ、スベリヒユ、若いえんどう豆。生クリーム少々を入れてスープをかき混ぜ、バターでローストした白パンを添えます。
 このスープの調理時間は1時間15分あれば充分です。

47. 若いえんどう豆のスープ

 さやから取り出したえんどう豆を、洗わずに溶かしたバターの中でしばらく炒め、スープの量に応じて小麦粉を大さじ1から2杯加え炒めます。そこへ必要量のブイヨンまたは熱湯に肉エキスを少々加えて注ぎ入れ、えんどう豆に火が通ったら塩とパセリのみじん切りを加えます。肉または挽割り麦の団子を入れて茹でるか、あるいはバターでローストした白パンを添えます。このスープはきれいに濾して、小さく切った卵白のスライスを入れると全く違ったものになります。卵白のスライスは塩と大さじ1杯のクリームを加えて混ぜた卵白4個を、バターを塗った平たい型に入れて湯煎で火を通し、スライスしたものです (残った卵白のとても良い利用法です)。
 初夏には、えんどう豆を上の4分の1量にし、さやも使うと材料を節約できます。さやをよく洗い、水2ℓ、卵大のバター、塩、胡椒、香味野菜を入れて茹で、柔らかくなるまで煮ます。スープは濾して、細かい角切りにしたニンジンと若いえんどう豆を入れ柔らかく煮て、最後にリービッヒの肉エキスを小さじ1杯とみじん切りのパセリを入れます。最初のえんどう豆のスープのように、この初夏のスープも粗挽き麦の団子かローストした白パンを添えます。調理時間は1時間です。

48. 野菜のピューレのスープ

 この消化しやすいスープは、ニンジンとカブそしてスウェーデンカブで作ります。
 これらの野菜をきれいに洗い、小さく切って水に入れ柔らかく煮ます。水を切り、濾し器に通し、味の良いブイヨンで伸ばし、白パンのパンくず少々と塩を入れてとろみのあるスープにし、あるいは白パンなしで常にかき混ぜながら煮立たせ、バター少々を塗って焼いたパンのスライスをスープ皿に入れて供します。
 春には、鶏かくず肉でとったブイヨンを使って大変美味なアスパラガスのピューレのスープが作れます。アスパラガスは穂先以外をブイヨンに入れて柔らかく茹でて濾し、小麦粉のルーでとろみをつけ、穂先を入れて火を通します。生クリーム少々を入れて溶いた卵黄を加え混ぜます。-同じようにカリフラワーでもスープが作れます。カリフラワーを茹で、柔らかくなりかけたらバターを加えて完全に柔らかく茹で、作っておいた肉のブイヨンと合わせてピューレにし卵を混ぜ入れます。残ったカリフラワーの煮込みを使ってスープを作るなら、お湯ですすいで濾します。ほうれん草、アーティチョーク、ちりめんキャベツや芽キャベツの残りでも美味しいスープができます。野菜の残りを濾したものと、浮き実として落とし卵を加え、薄い色のルーと肉エキスのブイヨンで煮込みます。

原書にあるドイツ語名はGemüsebreisuppe、野菜の粥のスープです。粥状のものということでピューレの方が分かりやすいかなと思いこちらにしました。

49.ドイツスープ

(8月や9月には特におすすめです)
 角切りにしたニンジン、斜め細切りにしたインゲンマメ、コールラビをバターで15分炒め、スープに必要な量の塩を入れた熱湯に入れ柔らかく、しかし崩れない程度に煮ます。盛り付ける前に茹でておいた小さいジャガイモ、カリフラワーの房いくつか、キャベツ類と6個大き目のトマトのピューレを加え、マギーのブイヨンキューブ数個でしっかり味付けし、コショウで味を調え、焼いた腎臓のスライスを小さく切ったものを皿に入れ、スープを注ぎます。男性にとても人気のあるスープです。

その名もずばりDeutsche Suppe。ドイツ風、ドイツ式、などの訳も可能かと思いますが、どれがいいか決められずドイツスープにしました。ネットで検索してもこの名前のスープは見つかりません。南(北)ドイツ風スープ、ドイツのスープいろいろ、などはありますが。
が。この本にありました。

『料理事典』

この本の、クリアなスープ(コンソメなど)の項にこれが。

「Deutsche(ドイツの、ドイツ風の)スープ。牛のブイヨンに、ブイヨンで煮た紫キャベツ、スライスにしたフランクフルトソーセージを入れたもの。」
だそうです。レシピとは随分違いますね。

50.シュヴェリーン風スープ

 熱したバターで新鮮なキュウリを切ったものを炒め、サラダ菜、若いエシャロット、若いエンドウ豆皿1杯分を柔らかめに煮て、味付けにパセリのみじん切りとチャービル、ミツバグサ、塩、コショウ、おろしたショウガ一つまみを加え、熱いブイヨンを注ぎ入れ1時間煮ます。焼き色のついていないルーでとろみをつけ、卵黄数個を溶き入れ、小さく切った骨髄のスライスを添えます。

シュヴェリーンは、現メクレンブルク=フォアポンメルン州の州都。行ったことはありますが、このスープの名前は見たことも聞いたこともありません。検索するとシュヴェリーン風チーズスープというのはありました。このスープのどの辺がシュヴェリーン風なのかよく分かりませんが、また調べてみたいと思います。

51.クレシー風スープ(会食用スープ)

 赤いニンジンを洗って切り、バターで生ハム、玉ねぎ、粒コショウと一緒に炒め、ブイヨンを注ぎ入れ煮込みます。できたスープを濾し、濃い牛肉のブイヨンと混ぜて軽くとろみのあるソースにし、茶色のルー大さじ数杯、マギー調味料小さじ半分、マデイラ酒グラス1杯を入れて煮込みます。カイエンペッパーひとつまみを入れすぐにいただきます。

クレシーはフランスの町クレシー=アン=ポンティユーのこと。クレシーって聞いたことある?と思ったらクレシーの戦いというのがあったところ。この戦いにこのスープは関係あったりするのかなと調べてみたら、やっぱりあるみたい。
フランス版ウィキペディアのPotage de Crécy(クレシーのポタージュ)をDeepLで訳してみました。
「クレシースープ、クレシースープ、クレシースープ、クレシープレ、クレシークリームは、ニンジンを主原料とするスープである。クリームやスープで調理することも可能です。その他、野菜や根菜類など、様々な食材を調理に使用することができます。温めても冷やしても美味しく、いくつかのレシピが存在する。
 ニンジンスープはフランス料理の「定番」とも言われている料理です。このスープは、1346年のクレシーの戦いを記念して、毎年8月26日にエドワード7世が食べていたものです。」
 以下もっと続くんですが、ご興味ある方は見てみてください。

 上の『料理事典』によると、クレシー・スープは「米でとろみをつけ、バターで風味をつけたニンジンのピューレスープ」とありました。このレシピには米は使われていませんが、地元クレシーではどうなのでしょうか。

豆果(豆類)についての基礎知識

 豆果は、エンドウ、インゲン豆、そら豆、レンズ豆の熟した種子を指し、これらの貴重な栄養価は適正に調理すれば、有機体である人体に有効に利用できるのです。肉の享受を控えるのに適しており、多様に調理することができます。特に豆類には十分な油脂とでんぷん質を含んだ食物を加える必要があります。豆類の栄養価が含まれる部分は、木のように固いセルロースを含む外皮に閉じ込められています。その中に含まれるタンパク質を分解するための特別な調理法が求められます。
 豆類はどれも水に浸すのに最低12時間必要としますが、より良いのはぬるま湯に18時間浸けておくことです。調理する前に水を流して蓋をし、一日置いておきます。こうすると豆のでんぷん質の一部が糖に変わり、旨味が著しく向上します。緑色のエンドウ豆は黄色いのものより柔らかいです。皮を剥いてあるエンドウ豆は選ぶべきではありません。質が劣る豆であることが多く、着色し粉末滑石を使って光沢を出し、完全な丸形に見えるようにしているのです。消化できない皮は、豆を濾せば難なく除去することができます。インゲン豆などの豆類も、エンドウ豆同様あらかじめ浸水しておく必要があり、最も良質なのは白くすべすべしたまん丸のもので、光沢があり澄んで見えます。レンズ豆は薄緑色でこんもり盛り上がったもので、しわがなく楽に齧れるものを選びます。平たく赤っぽいレンズ豆は古く、とても固いです。レンズ豆は水に浸けておくのが最も難しいので、重炭酸ナトリウム少々の溶液に入れ、何度か取り替えます。
 豆果(豆類)は決して熱湯や沸騰した湯に入れてはいけません。中のタンパク質がすぐに固まってしまい、消化の悪い料理になってしまうからです。
 また、豆類は肉と一緒に煮てもいけません。肉の骨に含まれるリン酸石灰が溶け出し、豆が柔らかく煮えるのを妨げるためです。料理に使う水の硬度が高いところでは、豆を煮る際重炭酸ナトリウム(重曹)を少々加えましょう。塩を入れるのも豆が煮えるのを遅らせるので、最後に入れます。砂糖を少し加えると完全に煮えるようになり、味もよくなります。豆類は茹でる時ブイヨンやお湯の中で泳ぐようにせず、豆がかろうじてかぶる程度の量にしておきます。このルールを守れば滋養たっぷりの豆のスープや、第C章「野菜」にあるような豆料理ができます。

ドイツではここに挙げられているような豆を今でもよく食べます。スープにもよく使います。いろいろなコツがあるようですが、骨付き肉と一緒に煮てはいけないというのは知りませんでした。

52.乾燥エンドウ豆のスープ

 あらかじめ水に浸したえんどう豆を、軟水を豆がひたひたにかぶるまで注ぎ、柔らかく煮て濾します。生の豚肉か塩漬けの豚肉、1番良いのは厚みのあるすね肉-別名アイスバインといいます-、またはモモ肉を単独で茹で、脂身の少ない燻製ベーコンも一緒に、スープに必要な量の水で柔らかく煮込み、濾したえんどう豆を加えて塩で味付けし、最後にパセリのみじん切りを入れ、切り分けた肉と茹でておいた小さなじゃがいもを出来上がったスープに入れます。植物性バターでカリカリに焼いたパンの角切りをスープに加えます。肉と一緒ににんじんを煮て、小さく切りスープに入れてもよいです。軽く燻製したメットヴルストもおすすめです。スライスしてスープに入れます。

メットヴルスト(=Mettwurst)は、ソーセージの一種で、メット(Mett)は脂肪のない豚肉または豚ひき肉を指し、これに香辛料や塩を加えて低温燻製にして熟成させます。ドイツ各地にあり、名前も地域により様々です。調理に使ったり、柔らかい粗挽きのメットヴルストをそのままパンに塗って食べたりします。

53.エンドウ豆の粉のスープ

 この製品は使い方が簡単なのでとてもおすすめです。ただ有名な最良の製品、例えばハイルブロンのクノール社のものなど小麦粉が含まれないものを使いましょう。ジャガイモも入れて茹で、3人がお腹を満たせるスープには170~200g使います。
 肉か燻製したメットヴルストを入れて調理したい場合は、根セロリとポロネギを入れて火にかけ柔らかく煮て、冷水で溶いたエンドウ豆粉と塩をそこに加え10分煮込みます。肉なしでスープを作る場合は、スープ用ハーブや油脂を入れて沸騰させたお湯にエンドウ豆粉を入れます。できたスープに固形ブイヨンを2,3個入れます。小型パンをサイコロに切って焼いたものを添えます。
 クノール社のレンズ豆、インゲン豆、豆類、大麦、燕麦の粉のスープも同じように作ります。
 急な来客など困った状況で手早くスープを作る必要に駆られた倹約家の主婦には、豊富な種類の素晴らしい味の製品を製造販売しているハイルブロンのクノール社やマギー社の美味しい固形スープの素を備蓄しておくことをお勧めします。価格も安く、これでスープを作るのはとても簡単で素早くできます。

ドイツクノール社のサイトには他の豆や穀類の粉製品はありませんでした。でもあったらいろいろと使えそうですね。

54.白いんげん豆のスープ

 一番よいのは小ぶりの白い豆です。豆を前日の夜に水に浸し(6人分は500g)、冷たい軟水に入れて火にかけ、30分しっかり火を通します。そして濾し器に通し、すすぎなおした鍋に入れ、バターまたはその他の良質な油脂を加え、かぶるくらいのお湯を注ぎ入れます。軟水の熱湯を何度か注ぎながら豆を柔らかく煮込んでいきますが、豆が潰れないようあまりかき混ぜず、それでいてとろみがでるようなスープに仕上げます。ここで塩を加え、熱湯を加えて調整し、肉エキスまたはマギーの固形ブイヨンをいくつか加えて再度煮立たせます。豆と一緒に、あらかじめ茹でておいた燻製メットヴルストやモモのベーコン、脂身の少ないバラベーコンを煮込むのも美味しいです。または、盛り付ける5分前にフランクフルトソーセージかウィンナーソーセージをスープに入れて温めます。茹でておいたジャガイモも入れるとよいでしょう。
 多くの地域でタイムやマジョラムが豆のスープのハーブとして好まれています。

豆を煮るには軟水がいいのでしょうか。検索してみると確かに軟水のほうが煮えやすいと書かれていますね。日本にいるとあまり水の硬度を意識することがないのですが、ドイツ、オーストリアなど水の硬さが半端ない地域もあり、そうしたところでは料理にも確かに影響が出るでしょう。

あと、豆料理に使うハーブとしてドイツではセイボリー(木立薄荷)があります。その名もBohnenkraut(ボーネンクラウト、「豆の草」の意味)といいます。

55.豆の残りを利用したスープ

(オリジナルレシピ)

 豆のスープの残りを少し使って次のような美味しい別のスープができます。まず残ったスープを濾します。次に茶色のルーを用意します。ルーと濾したスープを熱湯と合わせてとろみのあるスープにします。あらかじめ柔らかく茹でておいた細い麺を大さじ4杯、コショウ一つまみ、リービッヒの肉エキスをナイフの先ほど加え、生クリーム大さじ1を加えて溶いた卵黄1個をスープに入れてのばします。

56.レンズ豆のスープ

 他の豆類同様、レンズ豆もあらかじめ水に浸しておき、黒っぽくならないよう琺瑯の鍋で煮ます。そしてしばしば感じられるきつい味を消すために、15分ごとに茹で水を取り替え、その後少なめの水と油脂をたっぷり入れてとろみがつくように煮込みます。ここで肉のブイヨンを加えて薄め、小ぶりのジャガイモ、ポロネギまたはバターで炒めた玉ねぎのスライスを入れて完全に火を通します。レンズ豆のスープは水と油脂だけで作る時は、豚肉の団子を入れて煮込みます。乾燥プルーンを煮たものをその後に加えます。
 エンドウ豆のスープのように、このスープもフランクフルトソーセージ、メットヴルストまたはバラベーコンを入れてもよいです。ただレンズ豆は崩れないようにし、玉ねぎに粉をまぶして良質の油で揚げてスープに入れ、スープが薄い場合はこれでとろみをつけます。酢をかけて提供します。調理時間は2~4時間です。

57.ヨーロッパヤマウズラ入りレンズ豆のスープ

 この肉の粥入りスープはレンズ豆の重要な栄養分も加わってより滋養に富んでいます。焼いたヨーロッパヤマウズラの残った肉と骨か、スープ向きの年を取ったヨーロッパヤマウズラを使います。一番よい肉は骨から外し、骨は乳鉢で叩き潰し、スープ用ハーブと一緒に1~2時間煮込みます。できたブイヨンは目の細かい濾し器に通します。
 その間に良質のレンズ豆を125g、バターひとかけらを入れた軟水でとろりと短時間煮込みます。濾してヤマウズラのブイヨンと混ぜます。ヤマウズラの胸肉があれば、筋をきちんと取り、皮や軟骨も取り除きます。薄切りにしスープの器に入れます。煮込むと肉が固くなります。あまり良い部位でない肉はできるだけ細かくしてレンズ豆のスープに混ぜ、15分なじませたら再度濾し器にかけ、胸肉のスライスの上に注ぎ入れ、様々な形に切ってバターで焼いた白パンのスライスを添えます。

ヨーロッパヤマウズラはヨーロッパ各地にいろいろな亜種が存在するようです。イソップ寓話にも登場する、昔から馴染みのある鳥ですが、20世紀に入って数が減ってきているようです。

58.グリューンコルン(未熟のスペルト小麦)のスープ

 グリューンコルンはディンケル(スペルト小麦)の熟していないものを指し、6人分は200g使います。お湯で粒を洗い、水か薄い肉のブイヨンで柔らかく茹でます。これを濾して美味しいブイヨンでのばし、好みでローストした白パンの角切りの代わりにキノコやセモリナ粉の団子を入れてもよいです。団子を省き、トマトピューレを大さじ3~4杯入れて煮るとスープは違ったものになり洗練されます。溶いた卵黄2個と新鮮なバターひとかけらを入れてスープをのばし、マギー調味料を10滴加えます。クノール社のグリューンコルン粉とグリューンコルンフレークを買って付属の手順に従って手早く実用的に美味しいスープを作ることができます。

グリューンコルン(Grünkorn)は「緑の穀物」という意味ですが、現在ではGrünkern(グリューンケルン)の方が一般的です。Kernもここでは穀物の意味で使われます。スペルト小麦を完熟する前に刈り取っていたのは、悪天候に遭うと収穫に大きな影響があるというのが元々の理由だったのですが、この未熟な麦を炊いて食べたら美味しかったことから、一部のスペルト小麦を未熟のまま収穫するようになったそうです。
クノール社のグリューンコルン粉とグリューンコルンフレークは現在は扱いがないようですが、現在は製粉会社で作っているのでしょう。

59.トマトスープ

 バター50gで玉ねぎをしんなり炒め、4等分に切ったトマト5、6個入れて煮込みます。そこへ切った白パン100gとスープ6皿分の水を加えます。盛り付ける前にスープを濾し、リービッヒの肉エキスでしっかりと味を付けます。1.5時間~2時間煮込んでとろみを出します。白パンの代わりに、小麦粉をバターで炒めたものか、米を入れてスープにとろみを出してもいいです。さらに上品なスープにするには、白ワイン少々を加えて溶いた卵黄2個をスープに混ぜ入れます。ポーチドエッグか骨髄を塗ったパンはこのスープによく合う浮き実または添え物になります。

最後の「骨髄を塗ったパン」はちょっと不思議に思う人もいるかもしれません。骨髄をスライスしてパンにのせて焼いたり、料理に使った後の骨の中から骨髄を取り出してパンに塗って食べたりします。
こちらのサイトに写真がありますよ。

60.スイバ(蓚、酸い葉)のスープ

 良質のバターで十分な量の小麦粉を炒め、よく洗った若いスイバの葉を加えてしんなり炒めます。マギーの固形ブイヨン1~2個を溶かした水を注ぎ煮込みます。
 ナツメグ少々、濃いクリーム、卵黄数個をスープに入れてかき混ぜ、焼いた白パンを添えます。白パンの代わりに卵の団子をスープに入れて煮てもよいです。スープはまろやかになりますが、どろっと重たくはなりません。
 同様にチャービルを使ってチャービルのスープもできます。
 調理時間は15~30分です。

スイバは漢字で「酸葉」と書きますが、ドイツ語でもSauerampfer(sauer=酸っぱい、Ampfer=スイバ属)と言います。ドイツではサラダなどにしても食べます。フランクフルトのグリーンソースには7種類のハーブを使いますが、スイバもその一つです。

61.シュレージエン(シレジア)風根セロリのスープ

 大きな根セロリを2個、ポロネギ1本、パセリの根1本をきれいに洗い、塩を入れた2ℓの水に入れて柔らかくなるまで煮ます。小麦粉大さじ2をバター大さじ1で炒めてスープに溶き入れ、根セロリ以外の根菜を加えてマギーの固形ブイヨンを入れてしっかり味をつけます。
 根セロリは柔らかく煮えたら薄く切り、油と酢を加えて炒めます。
 もっと簡単なのは、フランス風根セロリのスープで、4等分に切った根セロリと切ったジャガイモを塩を加えた水で茹でて濾し、バターひとかけらとマギー調味料10滴、セロリの葉のみじん切りをいくらか加えます。どちらのスープにもローストしたパンの角切りを添えます。調理時間は1.5時間です。

シュレージエンはほぼ現在のポーランドにあたる地域です。このスープのどの辺が、なぜシュレージエン風なのか、については分かりません。この地方の農業や伝統料理についての本などあれば見てみたいです。

62.上品な芽キャベツのスープ 冬におすすめです

 美味しい肉のブイヨンを作ります。固い芽キャベツ1ℓをきれいにし、塩を入れたお湯で柔らかく茹でます。一番小さなものをいくつか取っておき、残りは目の細かい濾し器にかけます。小麦粉でルーを作り茹でた芽キャベツに加え肉のブイヨンを加えて軽くとろみのあるスープにします。カイエンペッパー少々で味付けし、好みでクリームを加えて溶いた卵黄2個を混ぜ入れ、取っておいた小さい芽キャベツにスープを注ぎ入れます。

63.ゴボウのスープ

 ゴボウを洗う時は小麦粉と酢を入れた水を使って白い色を保てるようにします。水ですすぎ、塩を入れた湯で1時間茹で、バター25g を入れた1ℓの牛乳に入れて30分ほど煮たら濾します。小麦粉のルーを濾したゴボウと牛乳最初の茹で汁を合わせてとろみのあるスープにします。マギーの固形ブイヨンをいくつか入れ、卵黄1個を入れてのばし、パセリのみじん切りを散らします。

意外かもしれませんが、ドイツでもゴボウを食べます。日本のより白いのですが、アクがとても強く、皮を剥いていると白いアクが出てきてすぐに酸化して茶色くなります。なので、冒頭にあるような処理の仕方が必要なのでしょう。味は日本のものよりあっさりしています。

64.ホッジ・ポッジ、スコットランドのスープ

 このとてもしっかりした栄養の高い美味な一品は、スコットランドで人気の国民食として位置づけられる簡単な食事向きのスープです。大抵は雄羊の肉と異なる野菜で作りますが、牛や子牛、あるいは塩漬けの豚肉でも美味しく作れます。
 夏には8人分として雄羊の肩、すね、またはあばらの肉を1kg、鞘から出した若すぎないエンドウ豆2ℓ、大きな豆(そら豆)半リットル、カリフラワー1~2個を切ったもの、カットしたコールラビ1ℓ、カットしたニンジンまたは野良ニンジン1ℓ、キャベツ1個をおろしたもの、サボイキャベツ1~2個、玉ねぎ1ダースを角切りにしたもの、スベリヒユとセロリの葉を手づかみ1杯使います。肉は2ℓの水で2時間煮て、上記の野菜を加えます。カリフラワーは最後に少しずつ入れ、塩を加えて全体を2時間すべて柔らかく煮込みます。肉は骨からはずして一口大に切ってこってりしたスープに入れるか、スープの後にジャガイモ、バター、パセリと一緒に、あるいは好みのソースで食べます。
 このスープは薄く、軽くとろみがついたスコッチ・ブロスとして調理し、野菜はできるだけ細かく切って、ゴボウもいくつか加えます。昼食を軽く済ませたい場合は、固形ブイヨンで手早く軽い肉のブイヨンを作り、肉は省きます。冬と秋は数日間このスープを煮込んでもよいです。
 冬は若いエンドウ豆の代わりに大きめのグラウペン(精麦)250gを夕方たっぷりの水に浸しておき、翌日以降水を捨てたら肉と手に入る野菜を加えて煮込みます。

ホッジポッジという名前は聞いたことがあるようなないような、いずれにしても実態はよく分からなかったので、とりあえずウィキペディアを見てみると、別名hotch potchといい、The Oxford English Dictionaryでは、スコットランドでhotch potchというのは「たくさんの材料を混ぜ合わせた料理。特に、大麦、エンドウ豆、その他の野菜と、時に肉を入れた濃厚なスープ。」であるとか。中世からある料理のようですね。

65.フリードリヒ・ヴィルヘルムスドルフのチョロギ、イヌゴマのスープ

(オリジナルレシピ)
 上質のパール精麦100gを湯がいて美味しい肉のブイヨンでゆっくり煮込みます。別途牛肉のブイヨンを準備し、きれいに洗ったチョロギ皿1杯分を入れて柔らかく煮たら濾します。スープを再度加熱し、えり分けたチョロギ30個を入れて煮たら茹でた精麦を加え、ナツメグ少々、上質なコショウ、パセリのみじん切りで味付けし、クリームを加えて溶いた卵黄2個を混ぜ込みます。

 フリードリヒ・ヴィルヘルムスドルフ(ドルフ=村)は、1886年ブレーマーハーフェン近くにドイツの神学者Eberhard Cronemeyerによって設立されたコロニーのことです。湿地帯が多い地域で、Cronemeyerはこの湿地を活かす方法を考え、フリードリヒ・ヴィルヘルム皇太子に謁見し皇太子の援助を受けられることになりました。その他農務大臣や教会、ブレーマーハーフェン市などからも援助を受け、Düring村のそばにFriedrich-Wilhelms-Dorfが建設されました。入植者たちは湿地を耕作し賃金を得ました。徐々に人が増え、規模が拡大していきました。

 現在Düring村の人口の一部はフリードリヒ・ヴィルヘルムスドルフの住民となっているそうです。
 で、このスープですが。チョロギは中国原産で日本でも食べられるこの根茎。

 ドイツ語ではKnollen-Ziest(根茎のあるイヌゴマ)と言いますが、別名は、Chinesische Artischocke(中国のアーティチョーク)、Japanknolle(日本根茎)、Japanische Kartoffel(日本ジャガイモ)など。中国からヨーロッパに伝わったそうです。古い学名は「Stachys sieboldii」というそうですが、これはフランツ・フォン・シーボルトにちなんで命名されたそう。
 チョロギがこの村で特に栽培されていた、このスープがこの村で発明された、などの資料がなくこのスープの名前の由来が分かりません。これもいつか何か情報が得られると面白いのですが。

66.オーロラスープ

 ニンジン3本、ジャガイモ3個、玉ねぎ3個を、皮を剥いて薄切りにし、セロリの葉数枚を加え、すべて2ℓの水に入れて柔らかく煮て目の細かい濾し器に通す。次にバター50g、リービッヒの肉エキス20gと塩20gを入れて火にかけ、ゆっくりかき混ぜながらよく火を通し、バターで焼いたパンの角切りを添えます。

 元の名前はSuppe à l'aurore。『料理事典(Lexikon der Küche)』を見てみると2種類あり、クリアなスープの場合は「トマト味のビーフブイヨン。タピオカ粉でかるくとろみをつけ、鶏むね肉の細切りをあしらう」とあり、とろみのあるスープなら、「鶏とトマトのクリームスープ、鶏肉団子を添える」となっています。トマトが入るのが共通していますね。
 このスープにはトマトが入っていませんが、なぜこの名前なのか謎です。  

67.南ドイツ風玉ねぎのスープ

 4人分にはバター80gで大きな玉ねぎ3個のみじん切りを炒め、調理スプーン1杯分の小麦粉を入れてさらに炒め、よくかき混ぜながらスープの分量に見合う量の肉のブイヨン(塩漬け肉のブイヨンや肉エキスのブイヨンも可)を注ぎじっくり煮込む。濾して再度火にかけ、卵黄2個を加え混ぜ、バターで焼いた白パンの角切りを添えます。

昨今ではドイツでもフランス風のオニオングラタンスープが人気というか主流というか、になっていますが、この南ドイツ風の他、ハンブルク風、ラインラント風、プファルツ風などがあります。

今回はここまで。スープはもうちょっと続きます。次は「ビール、ワインのスープ」です。お楽しみに

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