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短編小説

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短編集です。
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#創作

三畜生

三畜生



ベランダの手摺に恣意的な猿が無数に荒涼の地に理屈っぽい飼い犬が1匹処女の鎖骨の上に生き上手な狐が1匹天使の御心

『犬ころや、君のそれは本当に理なのかい?いや、ただの卑屈さ、責任感に欠けてるだけなんだよ。利己的な懇切さ程醜いものはないねぇ。いいかい?臨機応変にさ、博打さ!思いやり?それなら行動に起こす身勝手さも身につけなきゃね。後手後手だと疎まれるぞ。要はね、自分が一番に救われようとしてるのよ

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日常

日常

ある冬の日の暮。私は夕食の買い物を手伝いに、隣町、といっても最寄駅からたった二駅離れたばかりの所にある街なのであるが、そこへ母と共に訪れた。駅前には幾つもの商店が並んでいる。モクモクと油の籠った重い煙をあげている串焼き屋やら、古風な木造りの店構えをした豆腐屋やら、凡そ4、5畳程しかないと思われる、小さい婦人服店やら、初見では入り辛いようなやけに暗い酒屋やら、全く纏まりのないごちゃごちゃした商店街で

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朧気な男

朧気な男

男は不毛な思案に明け暮れていた。先程から、もう何分、何時間、何年と、熟慮を尽くしている。男の前には背の低い安物の長机があり、その机の上に深緑の布生地で覆われた手帳と先の丸い6Bの鉛筆が、丁度手帳と机の段差にもたれ掛かるように転がっている。どうやら今夜も又、全く無意義な、無稽の思惟に没頭しているようである。この男はよく、哲学的思考実験などと、称して、『恐怖と好意の差異とは?』やら、『執拗な憎悪は嫌悪

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