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【早稲田カップ2024#epilogue】「非日常でしか得られないもの」3年・伊勢航

早稲田カップin陸前高田

まずは、この素晴らしい大会を開催するに当たって尽力していただいた全ての皆様に感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。



2011年3月11日。

東日本大震災が起こった日、私はアメリカに住んでいて日本に帰国する3日前だった。衝撃的な映像が世界中で報道され、私や家族が日本に帰国することを心配された記憶が残っている。日本に帰国後は自分自身が日本の環境に適応することに精一杯で、当時の震災の報道や社会的な情勢はあまり覚えていない。毎年3月11日になると震災の報道がされるものの、そこまで関心を持ったことはなかった。



そんななかで、今回コロナが落ち着いて4年ぶりの早稲田カップが開催されるということで自分から進んで参加することにした。子供たちと一緒にサッカーができる貴重な機会なのはもちろん、今までの人生で向き合ってこなかった東日本大震災を自分の肌で感じたいという思いが強かった。


早稲田カップの開催に先立ってア式蹴球部OBの加藤久さんからの事前説明会で震災当時の話を聞いていたが、自分の目で見ないと伝わってこないものがあった。

「奇跡の一本松」、震災前と比べて変わり果てた陸前高田の生々しい姿、津波の高さ・怖さを教えてくれるポツポツと残された建物、すがとよ酒店で聞いた震災直後から復興するまでの話。

自分が今まで向き合ってこなかった震災の現実を見せられ、自分の情けなさを痛感した。だがその一方で、震災の記憶を微力ながらでも継承していかなければならないとも強く感じた。震災から13年近くが経ち当時の記憶が徐々に風化していっているなかで、被災した土地を訪れ自分の目・耳で震災を感じ少しでも多くの人にその経験を伝えていくことが早稲田カップに参加した自分の義務であり責任だと思う。




二日間に渡って上長部グラウンドで開催された早稲田カップ。


震災直後に子供たちが身体を動かす場所がなかなか確保できない中で、加藤久さんを中心として早稲田の学生・地元住民の方々・日本サッカー協会など多くの人の協力があって作られた上長部グラウンド。

多くの人の想いが詰まったグラウンドで小学生と一緒に純粋にサッカーを楽しむなかで、ここ数年忘れかけていたことを子供たちから教えられた。



「楽しむこと」「上手くなりたいという向上心」



大学4年目に突入し結果が求められ常に自分の言動に責任を持たないといけない立場を担うことになり、見失っていたこと。

やっぱりサッカーは楽しむものだし、好きだからこそ上手くなりたいと思うもの。3歳から始めたサッカーで早稲田大学ア式蹴球部に辿り着けたのもサッカーを楽しみ、向上心を持ってきたからだと改めて気づかされた。

大学ラストシーズン辛いこときついことはたくさんあるが、そういう時こそサッカーを楽しんで向上心を持って最高の結果を自らの手で手繰り寄せたい。


そして、一緒のチームとなった大槌サッカークラブジュニアのみなさんありがとうございました。

準優勝という惜しい結果でしたが、毎試合成長していく姿に大きな刺激をもらいました。

主体的にサッカーに取り組む姿、目を輝かせて自分の話を聞いてくれる姿、休憩時間での面白い小学生らしい会話、決勝戦を前にガチガチに緊張する姿、試合後に悔しくて泣く姿。

小学生に戻ったようなどこか懐かしさを感じたと共に、自分ももっと頑張らないといけないと強く感じました。

えいと君・かいと君、試合中は泣いちゃだめだからね。

サッカーを楽しむことを忘れずに、共に頑張っていきましょう!


最後に、

早稲田カップが行われた陸前高田に向かう前に石井部長が「我々は何かを与えにいくのではなく、学びにいくのだ。このことを大事にして二日間過ごしてほしい」とおっしゃっていた。



サッカーができる喜び・幸せ

サッカーには人と人をつなげる不思議な力があること




震災の恐ろしさ

命の尊さ

力強く生きていくこと



東伏見中心の生活では感じることのできないものを東北の地で学び、気付かされた。



来年の早稲田カップでは、
日本で一番サッカーが強い大学・人としてしっかりしている組織の一員として再び戻ってきたいと思います。



二日間ありがとうございました。

◇伊勢航◇
学年:3年
学部:社会科学部
前所属:ガンバ大阪ユース

【過去の対談記事(早稲田スポーツ新聞会 企画・編集)はコチラ↓】


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