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【#Real Voice 2023】 「揺るぎない軸」 4年・森璃太

4年生、1発目の部員ブログを担当することになりました。今回で4回目の部員ブログになります。4回目ということは、引退ブログになるのかな。「引退」という言葉を聞くと、これまでのみんなとの色んな思い出が蘇ってきます。

さて、最後の部員ブログは、この4年間で自分が感じたこと、同期に対しての思い、後輩たちへのメッセージを素直に綴っていきたいと思います。拙い文章ですが最後まで読んでもらえたら嬉しいです。






6月16日、アルビレックス新潟からオファーが届いた。



オファーを頂いてから約1ヶ月半悩みに悩んで決断した。



そして、8月10日、正式にリリースがされた。



「2024シーズンよりアルビレックス新潟に加入することになりました。早稲田大学の森璃太です。」



この瞬間、プロサッカー選手になることが決まった。



素直に嬉しかった。幼い頃からの夢であったプロサッカー選手になることができたから。
ただ、実際は嬉しさよりも安心の方が大きかった。「ようやくプロサッカー選手というスタートラインに立つことができたのか。」「やっと応援してくれている家族、親戚、友人などの期待に応えることができたのか。」など、これまでのサッカー人生が順風満帆ではなかったからこそ、よりそう感じたのかもしれない。



大学4年間は私にとってかけがえのない時間だった。



プロサッカー選手という夢への考え方が変わった1年生。

初めての寮生活や部活動というものに戸惑いを覚えながらも、改めてサッカーの楽しさや組織に貢献するとは何なのかを学んだ。トップチームで出場する機会はなかったが、大学を遠回りと言わせない為に、ひたすらサッカーに打ち込んだ。また、ピッチ外でも自分の内面を見つめ直すことの大切さに気付かせてもらった。そして、プロサッカー選手になるという漠然とした夢から、「誰かのためにプロになる」という覚悟の夢に変わった。

組織にも慣れ、試合に出場する機会が増えた2年生。

この1年間は最もサッカー面で成長できた年だった。試合に出ることで、ピッチに立つ責任や成長をものすごく実感した。自分のストロングポイントを理解し、それを主体的にピッチで体現するこの感覚が「自分は今サッカーをしているんだな。」ということなのだと気づかされ、自分のサッカー選手としての大きな軸ができた。また、大学に来て初めて選抜活動にも選ばれ、「このままいけばプロはなれるかも。」と、確かな手応えとようやくプロサッカー選手になるということが現実味を帯びてきた年になった。

何もかも上手くいかなかった3年生。

2年生の時に見えていたプロへの光は完全に消えてしまった。チームとしては2部降格。リーグ戦では年間3勝しかできなかった。こんなに試合に勝てなかったことは今までのサッカー人生で初めての経験だった。また、個人としても試合に出れない時期が続き、完全に自信を失ってしまった。練習に行きたくない日が続いたり、早く1日が終わってほしいとまで思うようになった。「きっと時間がこの状況を解決してくれるはずだ。」「決して自分が悪いのではなく、自分を取り巻く環境がそうさせているのだ。」と本気で思っていた。
だが、そんな状況は簡単には解決できず、自分がサッカーをしている意味までわからなくなった。周りが就職活動をしているのを見て、プロサッカー選手にならず、就職活動をする方が人生上手くいくのではないかとプロサッカー選手にならない方が良い理由を探していた時期もあった。ただ、プロサッカー選手という職業を考えていくうちに、1年生の時に覚悟を決めた「誰かのためにプロになる」という夢が自分だけの夢ではないことを再認識し、改めて本気でプロサッカー選手になろうと決意した年でもあった。

そして、強烈な危機感を抱きながら迎えた4年生。

最上級生としての責任や初めての関東2部リーグを戦う不安、そして、将来のことがまだ何も決まっていないことなど、不安と焦りが一気に押し寄せてきた。「この1年でプロになれなかったら自分のサッカー人生は終わってしまう。」と緊張感のある毎日。先のことは考えず、「今を生きる」ことにフォーカスし、日々少しずつの変化と成長を求めながら過ごした。そのおかげか、サッカー面、メンタル面共に安定し、充実した毎日を積み重ねることで日々の生活が豊かになっているとも感じた。また、夢が叶えられなくなってしまうかもという強烈な危機感が自分のプレーに拍車をかけ、毎週末の関東リーグがプロになれるチャンスだと思うと、楽しみで仕方なかった。このような良いサイクルと多くの方々の支えによって、プロサッカー選手という夢を叶えることができた。


こうして4年間を振り返ると、多くの葛藤や困難の連続だった。プロサッカー選手になるという目標は達成できたが、入学当初、思い描いていた大学生活とはかけ離れたものであり、自分の理想から考えると4年間は遠回りだったのかもしれない。ただ、大学でしか学べないこと、大学に来たからこそ得られたものが自分の今後の人生においてとてつもなく大きかった。多くの選手が高校卒業後にプロになれず、大学を経てプロを目指すが、大学に来て何を得てプロになるかがとても重要だと思う。どんな選手でも4年間を過ごせばプレーのクオリティやフィジカルの向上、人間的成長は必ず得られる。
ただ、自分の中の揺るぎない軸を形成することができるかが大学でサッカーをする価値であり、4年間を遠回りと言わせないことだと身をもって感じた。
私はそれが「誰かのためにプロになる」であった。
この揺るぎない軸があったからこそどんな時も原動力として自分にスイッチを押し続けてくれた。自分の中に芽生えた揺るぎない軸こそが、自分の4年間の大学サッカーにおいて大きな勇気を与えてくれたと思う。




そしてこれからは「誰かのためにプロになる」という夢から「誰かのためにサッカーをする」という夢へ変わっていく。







後輩たちへ
自分の可能性を信じ続けてほしい。今の自分の実力や環境、周りの声などで夢を諦めてないだろうか。もう一度振り返ってほしい。
なんとなく始めたサッカーが、今では人生の中心になっている。多くの時間をサッカーに費やし、サッカーを軸に生活し、多くの誘惑や楽しみを断りサッカーに打ち込んできたはずだ。一時期な感情の変化や周りからの声で簡単に気持ちが変わってしまうほど弱く脆いものではないと思う。
少しの努力が、少しの我慢が、少しの勇気が、必ず実を結ぶ。
いつもより少しだけ早くグラウンドに来ることでもいい、いつもより少しだけ長く筋トレをすることでもいい、今からでも変えられる変化を求めて行動してほしい。最初はその行動に意味が分からなくても、行動することで後から意味がついてくると思う。まずは少しの変化が必ず大きな変化になると信じるところから始めてみてほしい。そうすればきっと、夢が現実のものになるはずだから。

偉そうなことを言ってるように聞こえてしまうかもしれないが、みんなと同じ東伏見で4年間を過ごしたからこそ伝えられることもあると思う。だからこそ、1人でも多くの部員のきっかけになってくれれば私が早稲田大学ア式蹴球部を経てプロになった価値があるのではないかと思う。




最後に同期へ


もう一度、4年生全員の心に火を灯したい。



何のために早稲田に来たのか忘れていないか。



入部当初のやる気に満ちた情熱は消えていないか。



進路が決まって安心していないか。



何となく練習をこなし、週末の試合を迎えていないか。



自分の役割を決めてもうできることはないと決めつけていないか。



もう試合に出ることを諦めていないか。



4年生、1人1人が他の人にはない特別なものを持っているのを知っているから。


それが掛け合わされば、きっと強い早稲田を取り戻せると信じているから。



残り4試合、試合ボードを黄色のマグネットで埋めよう。


そして、笑顔で引退しよう。


4年生全員が早稲田に来て良かったと思えるように。

◇森璃太(もりりいた)◇
学年:4年
学部:スポーツ科学部
前所属チーム:川崎フロンターレU-18
★アルビレックス新潟2024シーズン加入内定

【アルビレックス新潟加入内定に関する記事(早稲田スポーツ新聞会 企画・編集)はコチラ☟】


【森璃太のプレー集はコチラ☟】

【過去の対談記事(早稲田スポーツ新聞会 企画・編集)はコチラ☟】


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