見出し画像

「鏡に映らない自分」 1年・森璃太

まず始めに、このブログはチャールズ・クーリーという学者が説いた、「鏡に映る自我」を引用し、今と過去の自分と照らし合わせ、自分なりの考えをまとめたものである。


それでは本題へ


私たちは日常の中で鏡を見ることが多い。
朝起きて顔を洗う時、髪の毛をセットする時、身なりを整える時、女性ならばメイクをするときなど様々な場面で私たちは鏡を前にして、自分を見る。
私たちの生活において鏡は必要不可欠である。

しかし、鏡で唯一自分には見えない部分がある。


それは、 人間の本質・中身  である。


鏡を見た時に人間の本質・中身が見えた人はおそらくいないだろう。


では、その本質はどうやって見ることができるのだろうか。

それは他者からの評価、他者とのつながり、コミュニケーションなどによって見ることができる。
家族や友人と話していて、自分はこういう人間なのだと気付かされた経験はないだろうか。また、他者からの客観的な評価で自分の現在の立ち位置を知る、他者と比較されて劣等感を抱くなど、そういった経験は誰しもがあるはずだ。

しかし、人間は自分の鏡に映った自分をありのままの自分だと判断する。信じる。
他者から何か不満を言われても受け入れなかったり、反発したり、陰で悪口を言ってストレスを発散させるなど、自分には非がないと都合の良い言い訳を考え、自分を守る。

つまり、人間は、他者の鏡に映っている自分を信じようとはせず、自分の映っている鏡を信じようとする。
わたしは、サッカーを十数年続けてきて、自分の鏡には映らないものを受け入れようとはしなかった。小学校6年生で川崎フロンターレのセレクションに合格し、ジュニアユース、ユースに昇格。
自分が活躍すればいい、自分が上手くなればいい、自分がいいチーム、いい学校に行ければいい。すべての行動に「自分が」という主語が存在した。私はこれまで自分中心に考え、トレーニングし、試合を積み上げてきた。
もちろん、個人能力は成長した実感がある。常に自分に問いただし、いいプレーをするために、結果を残すためにやってきた。そのおかげで選抜や代表に入った経験もある。
しかし、大学に来てこの自分の考えに違和感を覚えた。
試合に出れない選手がなぜあそこまでサポートするのか、サッカーに関係ない仕事をなぜ進んで取り組めるのか、疑問でしかなかった。もちろん、試合に出れない選手がサポートするのは当然、チームのために仕事をするのは当たり前のことだという認識はあった。にも関わらず、なぜそこまで疑問に感じるのだろうか。

その疑問を解決してくれたのがア式蹴球部の熱量と姿勢だ。ただ言われたことをこなすだけ、面倒くさがりながら仕事を行うという姿勢がア式蹴球部からは感じなかった。特に4年生はその熱量と姿勢がものすごい。1つ1つの行動や言動に人を引きつける力がある。こういう人間になりたいと素直に思った。約半年間、ア式蹴球部として活動してきて、いいチーム。一体感がある。仲間思い。などと常々感じる。
日々活動をする中で、先輩からは「1年生のうちは自分のことだけ向き合っていればいい」と言われることが多々ある。今までの自分であればその言葉素直に受け入れていただろう。

しかし、今の自分には違和感でしかない。

サッカーの練習だけをしていればプロになれるという考えは今の自分にはない。

だが、自分の今がこれまでの自分と変わったかといわれたら、考えは変わったかもしれないが、行動はまだまだ変わっていない。この考えと行動が変わった時に、私は大学に来た意味、価値、成長を見出せると思う。
私の好きな本にこんな一節がある。「成功とは自分だけじゃなく、周りの人を巻き込んで成功することこそが本当の成功だ」。これをサッカーに置き換えるなら、試合に出場して自分が活躍するだけでなく、試合に出てない選手、スタッフたちと一緒に喜び、勝利を分かち合うこと。それこそが本当の成功ということだ。


一流の選手は人間としても一流。


サッカーを始めた幼少期の頃から、母に言われていた言葉である。

19年間サッカーを続けてきて、やっとこの言葉の意味が分かった気がする。

仲間から憧れられること。誇られること。尊敬されること。そういう人間になりたい。

人間としての成長が大学で求められること。それに気づき、行動した選手がプロになれる。他者に影響を与えられる人、周りを巻き込める人、発信できる人、サッカー選手以前に人間として成長すれば叶えたい夢に近づくだろうし、大学に来た意味を見出せる。

高卒でプロになった選手と4年間の差がある。その差をサッカーの練習だけで埋めるのか、人間として成長し、人間力で高卒選手を上回るのか、4年間を遠回りと言わせないためにどうすればいいのか。


自分の鏡で映った自分を見るだけでなく、他者の鏡に映った自分を見ることではじめて、自分を知ることができ、誰かの活力になれる。

私はこの4年間で、他者の鏡を通して、人間としてサッカー選手として成長していく。

「サッカーがなくなったら何もない」と言われてしまったら、私の人間としての本当の価値はどこにあるのだろうか。


誰かのためにプロになる。


応援してくれる人、支えてくれる人、喜怒哀楽を分かち合ってくれるすべての人のために。

この目標を達成できた時に初めて他者の鏡に映った自分を受け入れ、成長できた証だと私は思う。

画像1


森璃太(もりりいた)
学年:1年
学部:スポーツ科学部
前所属チーム:川崎フロンターレU-18

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?