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UAP問題に関する考察

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2024年1月の記事一覧

International Journal of Astrobiology が UAP に関する心理的研究を発表

International Journal of Astrobiology が UAP に関する心理的研究を発表

Cambridge University Pressという権威ある学術系出版社から、UAPの目撃者の心理的側面を分析した研究が発表された。

この研究では、未確認異常現象 (UAP) について、合計 245 人を対象に調査を行ったとされ、そのうち 93 人は UAP を直接目撃したという。
調査ではUAP の心理的影響に特に注意を払い、UAP の公式リリースに関する意見、現象への科学的アプローチ、

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ジョー・ローガンの番組でダイアナ・パスルカ(Diana Pasulka)がUFO現象について論じる

ジョー・ローガンの番組でダイアナ・パスルカ(Diana Pasulka)がUFO現象について論じる

宗教学者でUFO現象についてジャック・ヴァレと共通する観点からいくつかの著作を出しているダイアナ・パスルカ(Diana Pasulka)が「ジョー・ローガン・ポットキャスト」に出演し、その内容が話題になっている。

ジョー・ローガンの番組は過去にルー・エリゾンドやデビッド・グルーシュ、トム・デロングをはじめ、時のUAP界隈のキーパーソンが出演して長時間突っ込んだ議論をすることで知られる番組の一つ。

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ウィキ情報操作(disinformation)に対するLuis Elizondoによる声明

ウィキ情報操作(disinformation)に対するLuis Elizondoによる声明

昨日の記事などでも触れたが、UFO/UAPディスクロージャーを推進しようと動いている人々や内部告発者たち(ルー・エリゾンド、デヴイッド・グルーシュ、ロス・コーサートら)のウィキペディアを改ざんし、彼らの信用を貶めようとする動きがある。

これに対し、ルー・エリゾンドが声明を発表した。

ディスクロージャーはディスインフォメーション(情報攪乱、情報操作)との戦いでもある。

何が本物で何が偽物か、識

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ジャック・ヴァレ:UFOと地球外起源説に対する反対仮説

ジャック・ヴァレ:UFOと地球外起源説に対する反対仮説

昨日論説を紹介したUFO研究者・Jacques Valléeのこれまでの活動について簡潔にまとめた動画があったので、そのスクリプトの邦訳を載せる。

* * *

おそらくフランスの天文学者でコンピューター科学者のジャック・ヴァレほどUFOの研究において影響力のある思想家はいないだろう。

1960年代後半から、ヴァレはUFO研究者の注意をUFO報告の象徴的または「メタロジカル」な性質に導き、歴

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ジャック・ヴァレ「非人間知性(NHI)の臨界点」

ジャック・ヴァレ「非人間知性(NHI)の臨界点」

著名なUFO研究者として世界的に知られるJacques Vallée(ジャック・ヴァレ)による最新の論評が反響を呼んでいる。

Jacques Valée は、Documatica Financial の主任研究員であり、宇宙開発や情報管理におけるテクノロジー関連の新興企業への多角的な投資家でもある。コンピュータ・ネットワーキングに関する数冊の教科書の著者であり、UAP(未確認航空現象)の科学的研

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人類の歴史を永久に変えるには一つの「本物」があれば十分

人類の歴史を永久に変えるには一つの「本物」があれば十分

ガーディアン紙のバランスの取れた論説記事。

要約:

米国ではUFOに関する透明性の欠如が続いており、宇宙人の存在だけでなく、陰謀を暴いた場合の心理的影響についての懸念も引き起こしている。

UFO についての真実がついに明らかになろうとしていると思っている人は、考え直した方がいい。 昨年末、UFOに関連するすべての機密文書と遺物の管理された公開を義務付けるはずだった米国政府の法案は、議会を通過

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アメリカにおけるUFO問題への取り組みの変化(6)

アメリカにおけるUFO問題への取り組みの変化(6)

2017年以降、レスリー・キーンはラルフ・ブルメンタールと連名でニューヨーク・タイムス紙にUFO関連の記事をいくつか書いた。それらの記事はミステリーサークルやナスカの地上絵といったこのジャンルの王道をずっと避けていたが、2020年7月の記事では周辺領域に踏み込んだ。

その記事は、出所ははっきりしないが米国議会のブリーフィングで上映されたと思われる「一連の機密扱いされていないスライド」について取り

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アメリカにおけるUFO問題への取り組みの変化(5)

アメリカにおけるUFO問題への取り組みの変化(5)

2017年12月のニューヨーク・タイムスの記事が出てから1カ月も経たないうちに、ペンタゴンのUAP関連のプロジェクトは2つ星の将軍と同ランクに相当する情報文官に任されることになった。この匿名の後継者はすでにレスリー・キーンの本を読んでいた。彼はメディアの関心の高まりを受けて、「分類できない目撃報告を処理するプロセスがなければ、硬直した官僚組織は標準的なパターンに従わないものを見過ごしてしまう」と語

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アメリカにおけるUFO問題への取り組みの変化(4)

アメリカにおけるUFO問題への取り組みの変化(4)

2011年6月、元大統領首席補佐官ジョン・ポデスタは彼が設立したシンクタンク「センター・フォー・アメリカン・プログレス」での内密に行われたプレゼンテーションにレスリー・キーンを招いた。

キーンは、ジョンズ・ホプキンス大学の物理学者や外国の軍関係者らと共に登壇し、NASAやペンタゴン、運輸省、議会スタッフ、退職した情報機関関係者らからなる聴衆を前に、UAPを神話や疑似科学とする説を補強してきた50

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アメリカにおけるUFO問題への取り組みの変化(3)

アメリカにおけるUFO問題への取り組みの変化(3)

UFOが自分のライフワークになると確信したジャーナリスト、レスリー・キーンは、ロズウェルのような歴史的事件にこだわるのではなく、「プロジェクト・ブルーブック」終了後に報告された「本当に良質な事例」に的を絞ることにした。パイロットなどの専門家が目撃し、できれば複数の証人がいるもの、写真やレーダーの追跡記録で実証されているもの、そして特に専門家がUFO以外の解釈を排除している事例である。

キーンが注

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アメリカにおけるUFO問題への取り組みの変化(2)

アメリカにおけるUFO問題への取り組みの変化(2)

レスリー・キーンは、アメリカで最も古い政治的家系の子孫としてニューヨークで育った。彼女の祖父ロバート・ウィンスロップ・キーンは、10期にわたって連邦議会議員を務めた人物である。祖先を辿ると父方には大陸会議のサウスカロライナ州代表だったジョン・キーンが、母方にはマサチューセッツ湾植民地を建設した清教徒のひとりであるジョン・ウィンスロップがいる。中でもキーンは、祖父の曽祖父にあたる奴隷解放論者ウィリア

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アメリカにおけるUFO問題への取り組みの変化(1)

アメリカにおけるUFO問題への取り組みの変化(1)

以下は、この記事を参考に、事実関係などを加えて再構成したものです。

2001年5月9日、ヴァージニア州の救急医スティーヴン・M・グリアは、ワシントンD.C.にあるナショナル・プレス・クラブで記者会見を行い、「ディスクロージャー・プロジェクト概要説明書」と題した492ページに及ぶ資料を配付した。

そこには、数十人の政府関係者や、クリフォード・ストーン軍曹を含む軍関係者によるUFO回収、リバースエ

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「UFOタブー」の維持とそれに対抗する姿勢について

「UFOタブー」の維持とそれに対抗する姿勢について

この記事の続き。

「UFOタブー」を政治的に維持するための手法には三つあるという。

一つは政府、科学界、メディアなど現実を公的に定義する権限を持つ人々による、UFOとは何かについての権威ある説明である。彼らは、主に次の四つの説明を用いて、UFOについて真剣に受け止めるべきではないと言うコンセンサスを強化してきた。
1 UFO現象には合理的(自然的、人為的)な説明が可能である。
2 UFOは国家

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「UFOタブー」とは何か

「UFOタブー」とは何か

アメリカのジャーナリストで、あの2017年12月のニューヨークタイムス記事と2023年6月の「デブリーフ」記事を書いたレスリー・キーンの著書『UFOs 世界の軍・政府関係者たちの証言録』(原題:UFOs: Generals, Pilots and Government Officials Go On the Record、2010年。邦訳:二見書房、2022年)は、アメリカ政府のUFO問題に対する

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