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アメリカにおけるUFO問題への取り組みの変化(6)

2017年以降、レスリー・キーンはラルフ・ブルメンタールと連名でニューヨーク・タイムス紙にUFO関連の記事をいくつか書いた。それらの記事はミステリーサークルやナスカの地上絵といったこのジャンルの王道をずっと避けていたが、2020年7月の記事では周辺領域に踏み込んだ。

その記事は、出所ははっきりしないが米国議会のブリーフィングで上映されたと思われる「一連の機密扱いされていないスライド」について取り上げ、そのスライドは「別の世界」の乗り物や「墜落物の回収」について言及しているという。

キーンは、当初は懐疑的だったが取材を進めていくうちにUFOの残骸がどこかに保管されていると思うようになったと語る。2019年にはルイス・エリゾンドがタッカー・カールソンにそのような残骸が存在すると漏らしている。

キーンは、現役で最も有名なUFO研究者であり、映画『未知との遭遇』の中でフランソワ・トリュフォー監督が演じた人物のモデルとなったジャック・ヴァレを引き合いに出す。ヴァレはスタンフォード大学の免疫学者であるギャリー・ノーランと協力して、科学的な出版のために、墜落の残骸とされる物質の分析を続けている(彼は査読プロセスが損なわれることを懸念して、この件について公表を前提として話すことを拒否しているが、記者の取材に対して「査読付きの科学雑誌に掲載された初めてのUFO事件になることを期待している」と語った)。

記事の中でキーンとブルメンタールは、ハリー・リード上院議員が「他の世界から来た乗り物の墜落事故が起きていて、そこで回収された素材は何十年にもわたって、多くの場合、政府と契約を結んだ航空宇宙会社によって密かに研究されてきたと信じている」と書いたが、掲載の翌日、ニューヨーク・タイムスは次のような訂正記事を追加した。
「リード上院議員は、墜落の残骸が研究のために民間の軍事企業に割り当てられたとは考えていなかった。彼は、UFOが墜落した可能性があり、もしそうであればその降下物を研究すべきだと考えていた」。

ハリー・リード自身はどんな残骸の証拠も見たことがないとしたうえで、次のように述べている。
「わたしは何十年も前から、ロッキード社がこれらの回収素材の一部を持っていると聞かされてきました。そこで、確かそう、わたしはそれを見に行ってもいいという機密扱いの認可をペンタゴンから得ようとしたのです。しかし、認可は下りませんでした。全部でいくつあるのかも、どのような種類の機密なのかもわかりませんでしたが、とにかくペンタゴンはわたしにそれを見せてくれようとはしなかったのです」。

リードは、国防総省は理由を説明しなかったと言う。AATIPのためにSAPステータスを要求したのはそのせいですかとの質問には「そのとおり、だからAATIPの人間に見てもらいたかったのです。しかし、国防総省はわたしに許可を与えませんでした」と答えた(ロッキード マーチン社の担当者はこの記事へのコメントを拒否している)。

2021年4月上旬、著名なUFOジャーナリスト、ジョージ・ナップとドキュメンタリー映画監督ジェレミー・コーベルが、UAPタスクフォースの機密情報報告書から流出したものとするヴィデオと一連の写真を公開した。ヴィデオは暗視ゴーグルで撮影されたもので、そのなかで3つの空飛ぶ三角形が断続的に不気味な閃光を発しながら星空を背景に回転している。

翌日、国防総省はこのヴィデオが本物であると認め、海軍関係者が撮影したものであると発表した。デバンカー(UFO否定論者)として知られるミック・ウエストは、「ピラミッドは、レンズの影響で歪められた飛行機と2つの星である」と説明した。ペンタゴンは公式発表以上のコメントを拒否した。レスリー・キーンは、「まだ状況を調べ始めたばかりだが、ウエストの説は「妥当だと思う」とコメントした。

以上、2000年から2021年までのアメリカにおけるUFO/UAP問題に対する取り組みの変化について概要を述べてきた。

御存じの通り、情報開示(ディスクロジャー)に向けた動きは、これ以降も議会や議員を巻き込んで、新たなキーパーソンを加えつつ、ますます盛り上がりを見せている。

まさに本日(1月12日)も、議会関係者に対するICIG(情報共同体監察官)によるUAP問題についてのブリーフィングが行われることになっている。

一方では、ジェレミー・コーベルが公開した「ジェリーフィッシュ(クラゲ型)UAP」の動画の真偽が話題をさらっている(この情報についてはあまり追いかけていないので詳細は不明)。

今後も引き続きUAP問題のディスクロージャーを注視していきたい。

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