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【掌編小説】嘘つき教師は今日も誠実な嘘をつく

 六月に回収した進路調査票にはそれぞれの希望が書かれている。具体的なものと、ふざけているもとが半々。高校生でもまだ将来が見えていない子は割といる。

「これはどういう意味?」

 進路指導室に呼び出したのは私のクラス、二年二組の三枝木真奈さえきまなだ。動物やキャラクターなど、落書きだらけになっている調査票を二人で眺めた。


『第一希望:異世界転生』
『第二希望:優しいお金持ちのペット(ムチムチの猫が良い)』
『第三希望:のんで、くって、ねる』


 ここまでふざけたものを見るのは、ずいぶん久しぶりだ。
 三枝木は朗らかに笑った。

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