【掌編小説】美しい世界の住人
愛犬のサンゴと一緒に、散歩コースをいつも通り歩いていた。
サンゴは穏やかな性格のゴールデンレトリバーで、引退した盲導犬だった。引退犬飼育ボランティアというものを知り、応募して出会った子だ。
近頃はあまり走り回る事も無く、ゆったりした散歩を好むようになった。それなら景色を楽しめるようにと、散歩コースに海を入れたら大当たりで、サンゴは海を眺めている時間が一番楽しいようだった。
太陽が顔を出し始める時間からサンゴとのんびり砂浜を歩いていた時のことだ。珍しいことに、サンゴが海