日本で出版されたアジア関連書籍の感想。時には映画などの書籍以外の表現方法を取り上げます。わたし自身の中華圏での経験も折り込んでご紹介。2018年までメルマガ「ぶんぶくちゃいな」(…
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#東南アジア
【読んでみましたアジア本】国際性と民族性を維持するための知恵と努力:田村慶子『シンガポールを知るための65章』(明石書店)
今、中国及び香港でシンガポールに熱い視線が注がれている。
いや、香港での反応をもっと正しく表現するならば、「政府関係者はシンガポールという言葉に青くなる」というべきだろう。
というのも、今や人材や企業や、さらには資金もビジネスチャンスも香港からシンガポールに流出しているのは間違いないからだ。10月中旬に就任後初めての施政演説を行った李家超・香港特別行政区行政長官は「搶人才」をその施策目標の一つ
【読んでみましたアジア本】興味つきない、東西をつなぐヒンドゥー文化を知る/森本達雄『ヒンドゥー教 インドの聖と俗』(中公新書)
今年もあとわずか。今年読んだ本をとりあげるのは今回が最後となる。
正直、今年読んだ「アジア本」にはなかなか読み応えというか、「手応え」のある本が多かった。「読み応え」は人それぞれだと思うが、ここで「手応え」というのは「こんなことが! ほとんどメディアでは触れられてないよね?」みたいな「発見」が多かったという意味である。
自分が持っている知識を第三者の書籍でなぞったり、確信づけるのもそれはそれで
【読んでみましたアジア本】「ピープルズパワー」はいかにしてドゥテルテを生んだのか:見市建、茅根由佳・編『ソーシャルメディア時代の東南アジア政治』
書名を見ればピンとくるだろう、今回ご紹介するのはいわゆる大学の先生たちによる学術研究論文集である。わたしがいちばーーーん、苦手とする種類の書籍だ。
苦手とする理由は、とにかく研究者の書く文章は仲間内でのシェアを考慮して書かれており、また仲間内で知られている条件をもとに「オレの見解では」をアピールするのが必須なので、その学者がどんな位置にあるのかはあまり興味なく、総体論を知りたい一般読者は読んでい