マガジンのカバー画像

月刊「ぶんぶくちゃいなノオト」

メルマガ「「§ 中 国 万 華 鏡 § 之 ぶんぶくちゃいな」(祭日を除く第1、2,4土曜日配信、なお第2,4土曜日が祝日の月は第3土曜日に追加配信/月ほぼ3回/年始年末は配信お… もっと読む
中華圏の現地でどのような注目の話題があるのか。必ずしも日本とは関係のない、また日本では話題にならな… もっと詳しく
¥800 / 月
運営しているクリエイター

#中国共産党

【ぶんぶくちゃいな】ポッドキャスト「不明白播客」:彼らはなぜ李克強を悼むのか?

【ぶんぶくちゃいな】ポッドキャスト「不明白播客」:彼らはなぜ李克強を悼むのか?

10月27日早朝、李克強・前国務院総理の訃報が流れた。最初それを聞いたとき、誰もが耳を疑ったことだろう。何しろ、今年3月に10年の総理の職務を終え、引退したばかりだったからだ。また、亡くなるつい1カ月ほど前に敦煌に姿を表し、それも一部で話題になっていたからだ。

もう一つ、人々を驚かせたのは、その情報の公開の速さだ。報道されている情報によると、李は26日に心臓発作を起こして病院に担ぎ込まれ、27日

もっとみる
【ぶんぶくちゃいな】デズモンド・シャム「ぼくは共謀者−−中国の政治、ビジネス、そしてカネ」(後編)

【ぶんぶくちゃいな】デズモンド・シャム「ぼくは共謀者−−中国の政治、ビジネス、そしてカネ」(後編)

今回は「ニューヨーク・タイムズ 中国語版」編集長の袁莉さんが展開するポッドキャストから、日本でも今年刊行された『レッド・ルーレット 私が陥った中国バブルの罠 中国の富・権力・腐敗・報復の内幕』著者、デズモンド・シャム(沈棟)氏のインタビュー後編をお送りする。

前編はこちら:

温家宝夫人と密接な関係のもと、中国政府トップの人脈やカネ、そしてその生活ぶりを暴いた同書は貴重な証言が詰まっており、温家

もっとみる

230601 【現代ビジネス】寄稿:「坑道のカナリア」香港人漫画家の連載打ち切り、軍スローガンをネタにしたお笑い芸人は「罰金2.6億円と無期限興行停止」…庶民から「笑い」さえもぎ取る中国統治

40年間、香港の人たちが毎日楽しんできた政治風刺漫画家、尊子さんの漫画が、最後の掲載紙「明報」で打ち切りに。

香港の主権返還が中国と英国の間で話し合われていた時代に漫画家としてデビュー、もちろん香港の返還にまつわる話題、加えて彼らが描くコミカルな中国共産党トップらのキャラクターは現実の「中国」よりもずっとずっと市民の身近な存在でした。その彼の漫画が、昨年7月に行政長官に就任した李家超・元保安局長

もっとみる
【ぶんぶくちゃいな】デズモンド・シャム「ぼくは共謀者−−中国の政治、ビジネス、そしてカネ」(前編)

【ぶんぶくちゃいな】デズモンド・シャム「ぼくは共謀者−−中国の政治、ビジネス、そしてカネ」(前編)

新型コロナもすでに落ち着き、世界はまた経済の話題が大きく盛り返してきた。

中米の緊張関係は直接世界経済の緊張感を生んでいるし、ロシアによるウクライナ侵攻もまたエネルギー価格の高騰を引き起こし、経済に二次、三次的な影響をもたらしている。バイデン米大統領は広島G7サミットの後、国内の財政問題を解決するために他国の訪問をキャンセルし、きびすを返して帰国した。

毎日チェックしている中国のニュースでも、

もっとみる
230329 【現代ビジネス】寄稿:「中国共産党直属に格上げ」で台湾と同列の位置付けになった香港とマカオ…中国が使う「一機関二看板」というカラクリとは

230329 【現代ビジネス】寄稿:「中国共産党直属に格上げ」で台湾と同列の位置付けになった香港とマカオ…中国が使う「一機関二看板」というカラクリとは

昨秋、習近平が3度目の党総書記になって以来、中国で新しい「組閣」が進むぞという予測の一方で、香港はすっかり「香港国家安全維持法」(以下、国家安全法)によって「安定した」(by 香港親中派)ことだし、今後は「特別行政区」という位置づけは次第に削られ、ますます中国国内の他の直轄市や省と同じ扱いになるのでは、という噂が流れていました。

実際に香港を管轄してきた中国国務院(内閣に相当)直属の国務院香港マ

もっとみる

230216 【ダイヤモンド・オンライン】寄稿:習近平主席の「地元選挙区」がコロコロ変わる理由、中国・全人代選挙の謎

中国で選挙、といわれても…と思う方、たくさんいらっしゃると思います。そうなんですよね、中国の選挙って誰しもが投票できるものではないし、だいたい、いつ行われているのか、どんな人が投票できるのかも、庶民はまったく知らないはずです。

それくらい、権力者の都合のよいように利用されている「選挙」がいかなる意味を持つのか? 習近平の「満票当選報道」から調べてみたら、政府は政府なりにこの選挙を「うまく使いこな

もっとみる

【ぶんぶくちゃいな】左派から民主派へ、そして本土派へと転身した香港人ジャーナリストが残したもの

今年も残すところ、あと1週間。誰もが年末の仕事を慌ただしく片付けながら、今年を振り返り始める頃だろう。もちろん、このまま仕事モードでお正月突入の方々もおられるだろうが。

今この瞬間、筆者のフィールドである中国は、3年前から次第に厳格化され、すでに異様ともいえるほど人々の生活を締め上げていた新型コロナ感染措置がやっとのことで緩和されたと思ったら、大感染が始まった。当初、北京など華北地方中心だった大

もっとみる
【全文無料公開・ぶんぶくちゃいな】元中共党党校教授が語る「江沢民の政治遺産」(後編)

【全文無料公開・ぶんぶくちゃいな】元中共党党校教授が語る「江沢民の政治遺産」(後編)

先週に引き続き、「ニューヨーク・タイムズ 中国語版」の袁莉・編集長が聞き手役を務めるポッドキャスト「不明白播客」から、11月30日に亡くなった江沢民・元国家主席について、中国共産党幹部を育成する中央党校の教授を務めておられた蔡霞さんのお話の後編をお送りする。

前編はこちら:

後編では、江沢民を押さえつけた共産党本来の性質の他、江自身の「弱さ」や複雑さ、身勝手さなどに触れ、党内改革や胡錦濤、習近

もっとみる
【全文無料公開・ぶんぶくちゃいな】元中国共産党党校教授が語る「江沢民の政治遺産」(前編)

【全文無料公開・ぶんぶくちゃいな】元中国共産党党校教授が語る「江沢民の政治遺産」(前編)

江沢民が亡くなった。

彼は、日本ではあまり良いイメージを持たれていなかった指導者だった。最も彼のイメージを悪くしたのは、最高指導者として訪日した際にありとあらゆるところで日本の戦争責任に触れ、「自分(及び中国人)は決して忘れていないし、忘れない」ことをアピールしまくったことだった。それが、あのコワモテの顔つきと結びつき、「歓迎されざる外国首脳ナンバーワン」として論じられていたことを覚えている。

もっとみる
221113 【ダイヤモンド・オンライン寄稿】中国ゼロコロナ政策は「成功」だから終わらない…iPhone工場大脱走、消毒液漬けの自宅

221113 【ダイヤモンド・オンライン寄稿】中国ゼロコロナ政策は「成功」だから終わらない…iPhone工場大脱走、消毒液漬けの自宅

「中国のコロナ措置はもう聞き飽きた」という声も聞こえてきそう。いや、なによりも、すっかり中国の庶民が疲れ切っています。いつ、どこで、何が、ひっかかって足止めを食らうかわからない。その一方で明らかにされない感染の具体的事情、ずっと行動をともにしているのに片方だけに警報が現れる不思議…昨年、一昨年に比べて、ずっと合理的な説明がないままズブズブの措置が行われ続けています。

実はやっとこの週末直前にこう

もっとみる
【全文無料公開・ぶんぶくちゃいな】経済学者許成鋼に聞く「中国経済に希望はあるのか?」(後編)

【全文無料公開・ぶんぶくちゃいな】経済学者許成鋼に聞く「中国経済に希望はあるのか?」(後編)

前回に引き続き、中国人ジャーナリスト袁莉さんによる、インペリアル・カレッジ・ロンドンの客員教授であり、スタンフォード大学中国経済制度研究センターシニア研究員の許成鋼・教授のインタビューの後編をお届けする。

前編はいかがだっただろうか? 筆者は個人的に許教授の思い切った政治指導者への評価が興味深かった他、大躍進や文革のころに経済の地方分権が進んでいたという話が非常に興味深かった。だからこそ、今大き

もっとみる
【全文無料公開・ぶんぶくちゃいな】経済学者許成鋼に聞く「中国経済に希望はあるのか?」(前編)

【全文無料公開・ぶんぶくちゃいな】経済学者許成鋼に聞く「中国経済に希望はあるのか?」(前編)

中国では10月16日から20回目の中国共産党大会が開かれる。5年毎の党大会では新しい指導者層の人事が最大の注目を浴び、特に偶数回は党書記らの最高指導者の入れ替えも行われてきたため、それ以降の中国政治の転換期とみなされてきた。

だが、2018年に国家主席に10年間の任期を定めていた憲法が改正され、その任期が撤廃され、今回の党大会ではその任期撤廃を推し進めた当人の習近平が第3期に入るのは間違いないと

もっとみる
【ぶんぶくちゃいな】口コミ評価は今年最高、なのになぜ作品が消されてしまったのか?

【ぶんぶくちゃいな】口コミ評価は今年最高、なのになぜ作品が消されてしまったのか?

10月1日は中国の建国記念日、「国慶節」。いつもなら、早朝の北京の天安門広場で行われる国旗掲揚に全国から多くの人たちがやってきて見守り、そこから7日間続くゴールデンウイークに突入する。だが、今年はあちこちで散発するコロナ感染者の出現で多くの地域で「静黙」、つまり名前を変えた外出禁止措置が実施されている。旅行者が足を踏み入れたら休暇はおじゃんどころか、休暇が終わっても自宅に戻れるかどうかわからない。

もっとみる
【ぶんぶくちゃいな】中国外交生態系に大異変? 末端人事に見るその予震

【ぶんぶくちゃいな】中国外交生態系に大異変? 末端人事に見るその予震

今週の中国は注目の「大事件」が次々ほぼ同時に起こり、SNSのタイムラインが連日大いに盛り上がった。

まず最初に注目を浴びたのが、「中国NewsClip」でも取り上げた、河北省唐山市で起きた集団暴行事件だ。事件の経過はすでに現場の串焼き店の防犯カメラ映像が公開されて明らかになっているが、もともとのきっかけは店内で女性4人で食事をしていた一人に、隣の席に座っていた男が近づき、彼女の身体を触ったこと。

もっとみる