見出し画像

肝心なのは、家族に練習させておくことだ

ギボンは兵役についているあいだも、時間を見つけて学術研究を続け、行軍の際もホラティウスの著書を持ち歩き、テントのなかで異教徒やクリスチャンに関する学説を調べていた

〈一即多〉一つが解れば全体が解る。〈多即一〉全体が解れば一つが解る。───解らないものは具体性を持って説明するとすんなり解る。

不快感に耐える能力が大事なのは、キャンプ上手になるためでも、立派な兵士になるためでもない。そういう能力を身につけた人は強く、賢く、精神の働きが敏捷になる。それに何よりも、少々のことではびくともしない強固な幸福感を持てるようになる(中略)たとえば野外のキャンプに行くと、シャンプーも水洗トイレもないし、テントの隙間からは気味の悪い虫が入り込んでくる。しかしそういう状況でも平気な人がいる。それと同様に精神面においても、怒り、罪悪感、退屈などの不快感に尻込みしない人たちがいる。彼らは不快感に耐えられるだけでなく、そうすることが適切な場合には、そのダークな感情を活かすこともできる人たちだ。

怒り、罪悪感、退屈などの不快感に尻込みしない人たちがいる

達道の人、つまり達人とは、悪い言葉で言うと常習犯にもなるわけで、これがほんまに面白いところです。

本当の達人だったら、たぶん、たぶんだよ、たぶん、なんとか踏みとどまれるかもしれない↓

その人の性質が少なくとも51%は利他的で、あとの49%が利己的なら、確実に一歩抜きんでていると言っていい。ほとんどの人間は70〜99%利己的だからね。 戦術として利他主義を使えるか? できるが、利他主義は長い間見せかけられるものではない。僕の知る限り、それをやろうとして成長できた人は、経済面か精神面で破産する前にすでにビッグだった人だけだ。

経済面か精神面で破産する前にすでにビッグだった人

消防士のピーター・レスチャックはこう書いている。「火災などの緊急事態に直面したとき、不安に耐えるだけではだめで、それを楽しむくらいでなければ、消防士などやっていられない。そういう境地に達するためには、何年もの訓練と経験を通して、精神的、肉体的、専門的にあらゆる準備をすることだ。人は生きるために生きる。サバイバルの準備は日々の行動の中にある」

専門的にあらゆる準備をする

経験から知恵を引き出せる人ならば、道を逸れることなく最後まで突き進むことができる。しかもそういう人に限ってその過程を楽しんでいるものだ。

経験から知恵を引き出せる人

生命の危機が迫っているとき、およそ七十五パーセントの人は頭が働かなくなる(中略)生き残るタイプの人は、最悪の事態を想定して以前から備えていた人たちである。そういう人々は、そのための下調べをした(中略)こういう人々は、大惨事のさいにじっくり考えたりしない。じっくり考えるのはすでにすませてしまっているからだ(中略)正常バイアスをはねのけられる人は、そうでない人が行動しないときに行動を起こす。ほかの人が動くべきかどうか考えているときに、もう動きだしているのだ。

ユーモアは対立心を和らげ、非難をそらせ、緊張を和らげ、モラルを向上し、伝えにくいメッセージを伝えるのに役立つ。調査によると、最も有能な経営者たちは、ごく普通のマネージャーたちと比べて二倍もユーモアを用いるという。サラは言う。「持ち前のユーモアのセンスは、より広い意味の管理能力と絡み合い、それを示す指標にもなっている。それは優れた『心の知能指数』だ」

ユーモアのセンスと寿命の長さには相関関係があることが、実際の研究によって明らかになっている↓
多くの部隊を生き残らせ、軍艦や戦闘機を無事に帰還させたのは、将軍ではなくて証券マンだった↓

神経心理学者のデビッド・ウィークス博士によれば、「変わり者の人びとは社会的進化の変異種であり、自然選択に関して理論的な資料を提供している」という。

部隊の三七九人はその多くがアーティストで、本当はいない米軍部隊が存在するかのように欺く任務を請け負った(中略)この部隊に軍事規則は適用されず、隊員たちは奇人・変人の集まりで、戦闘員というより芸術家だった。非番のときにはトランプではなく、スケッチをしていた。比較的こじんまりした部隊で、わずかな武器しか持たず、敵の関心を故意に引きつけようとしていた。一〇〇〇人に満たない隊員で三万人の師団を装っていたのだ(中略)創造的天才たちは通常の人よりサイコパス的な傾向を示すが、その度合いは精神障害者より軽度である。彼らは適度な変人度を持つようだ

トップエグゼクティブたちが休日に行っているのは、ストレス解消というより「趣味」↓

あらためてクリエイティヴな人とはどういう人か、独創的な才能とはどういう能力か(中略)さしあたり「全体的な状況を把握し、顕在知(顕在認知過程)と、暗黙知(潜在認知過程)との間を自由に往環しつつ、考え続けられる人(能力)」(中略)さまざまな視点からの分析や知見を、潜在知の領域に溜め込んでいく。その結果として、関連する事柄について、顕在知より潜在知の領域に圧倒的な物量が

善良な人とは、ストレス下にあっても自分の高潔さ、感受性、思いやりを捨て去ることのない人

サイコパスは私たちの身近にもいるはずだ。 迷惑な人物としてだけでなく、時にはきわめて有能な人物として。成功したビジネスマンや、指導力に富む政治家、あるいは腕のいい外科医らの資質は、サイコパスの属性に通じるものがある。強烈なプレッシャーにも動じず、冷静に集中力を保ちながら物事を進めることができる人びとだ。

多くのサイコパス研究は、 対象をほとんど男性にしているか、あるいは男性だけを対象にしている。Cleckleyの最も古い記載によると、サイコパスは男女ともにみられ、15人中2人が女性であった。実際は、男性での有病率とほぼ同じであると考えられている。

彼ら(※サイコパス)が一部の正常な人間のなかにも潜んでいる反社会的感情にアピールすることがある ※引用者加筆.

才能あるサイコパスとは、自分を抑制できる奴だ(中略)「真の人格は、人間がプレッシャー下に置かれた時の選択に現れる──プレッシャーが強いほど、その露見は深く、選択はその人格の本質に近くなる」(中略)クリストファー・ノーランは映画『インセプション』の中で、この種の信念を植え付けることの困難さを表現している。君の心の中に、気づかぬうちに信念を植え付けることのできるのはマスターだけだ(中略)ノーランはインセプションという言葉を、元来の「始点」という意味から拡張している。

ストレスとは善の試金石ともいうべきものである。真の意味で善良な人とは、ストレス下にあっても自分の高潔さ、感受性、思いやりを捨て去ることのない人のことである。

手品師は説明というハイウェイの上で観客を導いていく(中略)ほとんどの人間は想像力が欠如している(中略)世の中には敢えて自分が火の粉を被り、後ろに付いてくる人間に戦利品を残すという覚悟を決めた人間がいる

手品は、身近にあるものを使うことが大切です↓

手品師は自然界と同じく、錯覚を使って見る者の予測を裏切る名人だ。その代表格がイギリスのジャスパー・マスケリンだ。彼は第二次世界大戦の初冬に舞台から降り、戦場でその卓越した奇術の腕を披露することになった(中略)ドイツの航空偵察機からイギリス軍を隠すという任務を与えられた彼は、化学、工学、舞台、美術の心得のある兵士を集めてチームを作り、ドイツ軍を騙す仕掛けをつくることにした。「マジック・ギャング」と名ずけられたそのチームは、ベニヤ板と絵の具を塗ったカンバス地でダミーの戦車を作った。その戦車を指定の位置に設置し、さらには砂の上に戦車の通った跡を巧妙に刻みつけた。このチームは一九四一年にもっと大がかりな仕掛けを創った。エジプトの主要港アレクサンドリアを一時的に「消滅させる」ため、実物大の港を近くに建造したのだ。ダミーの建設、灯台、ときどき明るい光を放つ対空用砲台まで備えた港は、本物と見分けがつかないものだった。

怒りの感情は創造性のひらめきを生じさせる

創造的な人々は非常に謙虚であると同時に傲慢である。顕著なこととして、尊大で横柄だろうと思われる人に会ってみると、遭遇するのはむしろ、自己卑下と内気さだけということがある。しかし、こうならざるを得ない正当な理由がいくつかある。第一に、これらの人々は、自分たちがニュートンの言葉で言う「巨人の肩の上」に立っていることを十分に自覚しているのである。自分たちが働く領域への敬意によって、領域にこれまでなされてきた数々の貢献の長い歴史を意識するようになりそれによってみずからの貢献を俯瞰することになる(中略)ある程度伝統主義者でなければならない。したがって、人が、伝統的かつ保守的であると同時に反逆的かつ因習打破的であることなしに、どのようにして創造的であり得るかを考えることは困難である。伝統的でいるだけでは領域は変化しない。また、過去に評価されてきたものを無視し、絶えず危険を冒すことが、進歩として認められる斬新さに結びつくことはめったにない(中略)しかし、リスクを追おうとする意欲、伝統の無難さと袂を分かつ意欲も必要となる(中略)創造的な人間とは、禁じられた知識を求めようとする探究心を、許容され得る好奇心へと転換することに成功した人といえる。新しい表現形式の発見を試みる芸術家の熱意や自然の謎を解明したいという科学者の衝動は、両親のセックスを目撃したときのに子どもが感じる混乱した印象や、一方の親に向かう矛盾した性的感情を理解しようとする、巧みに隠蔽された試みなのである(中略)創造的な人々の多くは、みずからの仕事について説明するために、こうした話をぼやかしながら使い、時折、リビドーが興味の源泉である可能性についてほのめかす(中略)革新が大きいほど、そこに至るまでの潜伏期間は長い(中略)創造的な仕事の特徴の一つは、終わりがないということである(中略)彼らは、きわめて困難な仕事に取り組んでいる際の非常に集中した没頭した状態を、陽気な遊び、歓喜に満ちた、愉快な冒険として経験していた(中略)彼らは仕事か遊びかの区別もなく、自分たちが愛することに取り組む贅を享受している。ここには真実の一つの要素が含まれているかもしれない。

怒りの感情は人を創造的にすることができる

軍の世界では、戦闘でまっさきに犠牲になるのは真実だと言われる(中略)散らばったピースが行方不明になったジグソーパズルのように、みながそれぞれピースを持ち寄ることで全体像が見えてくる(中略)つねに冷静でいることが重要だということである。これは、戦士が喜びを知らないという意味ではない。喜びを掛け算するためには、記憶のなかにユーモアと笑いを見出すことも必要だ。それはたいてい俗っぽい、ときには卑猥なユーモアである(中略)サー・ジョン・キーガンは、その古典的な著作『戦闘の顔』でこう書いている。「あらゆる時代を通じて、明らかに進んで大きな危険を冒そうとする、というよりそれを楽しんでいるように見える人間がいる。そのことを考慮に入れなくてはならない」。キーガンはその一例として、第二次世界大戦の英国軍の突撃隊員ロフティ・キング伍長をあげている。キングの上官は彼についてこう語る。「心底戦争を楽しんでおり、戦っている時が一番楽しそう、というより活き活きして見えた」(中略)撃たれたとわかるのは生きている証拠であり、これはよい徴候だ。非常に強烈な警告の一発を受けたと考えよう。「最高の状態じゃないが、最悪でもない」と自分に言い聞かせよう(中略)銃弾によって心臓が止まることはあるが、そのあとでも五秒から七秒は命があるそうだ。その数秒間でなにをするかである(中略)経験者に言わせると、骨に当たった場合はすさまじく痛むそうだ。これは重要な知識だが、もうひとつぜひ知っておきたいのは、骨が折れても人は死なないということである(中略)人間の身体にはおよそ五リットル半の血液が流れており、その三〇パーセント、すなわち二リットル弱の血を失うまではオイル切れは起きない(中略)死に直面して初めて、人は真の生を知る。そのために戦う者だけが、生のほんとうの味わいを知っている。保護されていてはけっして知ることのない味わいを(中略)あなたは戦闘に備えて、配偶者に対処法を教えているだろうか。子供たちや両親には? これはだれもが口をそろえて言うことだが、配偶者に備えをさせるさいにいちばんむずかしいのは、「いいか、これから教えるとおりにするんだぞ」と言うときだ(中略)牧羊犬、つまり戦士だからといって道義的にすぐれているわけではないが、戦士にはひとつ現実的な強みがある。ただひとつだけ。それは、人口の九八パーセントがだめになる環境で生き残り、本領を発揮できるということだ(中略)戦士に変身するためには、戦士を研究しなくてはならない(中略)肝心なのは、家族に練習させておくことだ

一般に歓迎されないが増強装置となりうる資質は、特殊な状況で本領を発揮するのだ。さながら一般道を走れないF1カーが、レーシングコースで新記録を打ち立てるように↓
怒りの表現が功を奏することもある

たぶん覚醒というのは、失われていた組み合わせが再び出会うことを言うのだと思います。

怒りも、糖化を引き起こす↓

引退後のシェイクスピアは、悠々自適の生活を送っていたようだ。ただ、その最晩年に、彼の気持ちを大きく傷つける事件が起きる。 次女ジューディスの結婚相手が、別の女性と浮気し、妊娠させてしまったのだ(中略)怒り狂ったシェイクスピアは、すでに書き上げていた遺書を修正し、財産分与の相手から次女の夫の名を削除した。そして、その約一ヶ月後の一六一六年四月二十六日に他界した。

自制心のない人や反抗的な人の場合、怒りを誘発させると創造性は逆に低下

五日の午後、(※アンベードカル)夫人が主治医のマルヴァンカル博士を伴って買物に出かけ夕方遅くまで帰らなかった。アンベードカルはすっかり機嫌を損じ、何度も召使いを呼んでは彼女の帰りを問いただした。夕方五時半、ラットゥがきてみるとアンベードカルはかんかんに怒っていた。丁度その時夫人が帰宅した(中略)夜八時頃になり、アンベードカルの癇癪の虫も少し治まったようであった。六日の朝、夫人のシャルダーはいつも通り起床し、アンベードカルの寝室を見にいった(中略)(※アンベードカル)をゆり起こそうとした瞬間、彼女の心臓に氷のような旋律が走った。冷たく固いその体は死んでからすでにかなりの時間が経っていることを告げていた。医師である彼女に錯覚はありえなかった(中略)彼(※アンベードカル)は生前、自分の相続人たちは法廷で互いに争うことはないと信じている、といっていたが、彼の息子と妻とは法廷で財産権を争うことになった。※引用者加筆.

無実の人間は、自分が疑われているということに本当に怒っているので、それがずっと持続する↓

怒りの感情は創造性のひらめきを生じさせる まさか!と信じない人のためにもう一度言うと、怒りの感情は人を創造的にすることができる(中略)怒りは、脅威に立ち向かうために感情が高められた状態なので、あらゆる面で行動の準備がなされる(中略)「あとで後悔するような暴言」と「有効に働く怒り」を分けるものは、怒りの大きさではなく、状況である。怒りの表現が功を奏することもある(中略)怒りを表現することは、誤りで逆効果もあるが、状況によっては最適な方法でもある(中略)怒りを誘発された人たちの中で、誘発されなかった人たちより創造性が多く引き出されたのは、状況のルールを理解して自制を働かせようとする人たちだった。一方で、自制心のない人や反抗的な人の場合、怒りを誘発させると創造性は逆に低下した。つまり人によっては怒りが創造性につながる場合があるというわけで、怒りの感情はすべてがよくないというのは偏見

クリックで再生↓

この教え───「訓練」と言うほうがいっそう正しい───は骨の折れる仕事である(中略)私が述べている恩寵と心の病とのかかわりは、オレステスとフューリーの偉大なギリシャ神話に見事に描かれている。※引用者加筆.


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?