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小腸に炎症があると、まず先述したように、炎症を鎮めるためのコルチゾールが大量に必要になり、副腎が疲れます

塩の結晶の中に生息している細菌もいる。雲の中に生息している細菌もいる。地下一・五キロメートルの石油の中に生息している細菌もいる。デイノコッカス・ラディオデュランス(Deinococcus radiodurans)という細菌種は、ガラスを劣化させるほどの強い放射線を受けても生き延びられる。第二次世界大戦中に広島と長崎に投下された原子爆弾の放射線量は一〇〇〇ラドだった。ヒトは一〇〇〇ラドで死んでしまうが、デイノコッカス・ラディオデュランスは二百万ラド近くまで耐えることができるのだ。

クマムシは顕微鏡レベルの生きもので、脱水の冬眠状態になると極度の高温から絶対零度、毒ガス、激烈な放射線まで耐えられる。宇宙の真空にもやられなかったのだ。だがこれらにしてもワムシの生き延びた五百〜千グレイの放射線では不妊になった。

腸内細菌は動物の体内に棲み、化学物質の分泌をリアルタイムに微調整することによってその心に影響を与える。

体内のドーパミンの約半分、セロトニンの90から95パーセントが腸で作られる

腸内環境をきちんと整える食生活を送っていると、キラーT細胞は胸腺に代わって腸管のパイエルドームで多く作られるようになる(中略)がんに対して強い効果を発揮するのは、キラーT細胞を含むT細胞(中略)パイエルドームを直接刺激してくれるのが水溶性食物繊維(中略)パイエルドームの表面には、M細胞という表面を粘液で覆われた細胞がいます。このM細胞は粘液にくっついたさまざまな病原体をパイエルドームのなかに取り込みます。パイエルドームのなかには図16にもあるように、マクロファージやNK細胞、B細胞、ヘルパーT細胞、キラーT細胞など多くの免疫細胞が集まっています。これらの免疫細胞は、パイエルドーム内のリンパ節で大量に作られている

すべては「何をどう食べるか」にかかっている(中略)「人が病気になるか、健康に生きられるか」は、腸のコンディション(中略)すべての病気には前段階として「腸の不調がある」(中略)免疫システム全体の約7割が腸に搭載されています(中略)体内で活性酸素が生み出される原因は、紫外線、放射線(中略)腸のためにも、こうした原因をできるだけ取り除き、活性酸素発生量を抑える(中略)小腸は体が必要としている物質を生み出す工場のようなもの。(※消化管ホルモンや)ビタミンB群やビタミンKなども小腸において合成されています(中略)精神的・身体的ストレスも、腸内環境を悪化させる大きな原因(中略)小腸においては、セロトニン、ドーパミンといった物質の前駆体がつくられています(中略)「腸もれ」があると、セロトニンやドーパミンが十分つくられず、精神的コンディションにさまざまな不調がもたらされる(中略)「がん」と「炎症」は一見結びつかないように見えますが、多くのがんは炎症が発展したもの。たとえば、胃がんは胃炎が悪化して発生しますし、肝がんも肝炎の悪化によって起こります(中略)腸内細菌が多くの短鎖脂肪酸を生み出している ※引用者加筆.

メラトニンのいちばんの製造元は、消化管の粘膜にいる腸内分泌細胞だ(中略)消化管には松果体の400倍以上のメラトニン(※コルチゾールレベルの調節)がつねに存在する(中略)甲状腺ホルモンが思考力に関係する(中略)甲状腺ホルモンは脳の処理速度や実行機能の効率性をはじめ、学習行動全体に影響を及ぼす(中略)ただし、甲状腺ホルモンはたしかに重要だが、リン脂質がなかったら、そのホルモンは的確な仕事ができない(中略)リン脂質にはストレス下での思考力を支えるという魅力的な側面もある ※引用者加筆.

大腸菌はビタミンKをつくってくれる(中略)ビタミンとその親戚であるミネラルについての知識の大部分は、驚くほど最近になってわかったことだ

体によくない菌が入ってきた時に、「追い出せ!」という指令を出すのは、じつは脳ではなく腸内のセロトニン(中略)腸が原因と考えられる病気は、脳から心臓、関節、心まであらゆる部位に及ぶ(中略)便秘が続くと、腸の中では大腸菌やウェルシュ菌などの悪玉菌が優勢になります。 さらに大量の活性酸素も発生(中略)腸内細菌がバランスよく、数多く存在していないと、ビタミンが合成されないために、セロトニンやドーパミンを十分に分泌できずに、ちょっとしたことでイライラしてしまったり、訳もなく不安になったり、時にはうつ状態になって、仕事や家事に手がつかなくなってしまう(中略)腸内バランスがくずれていると、肌の細胞をはじめ、体のいろいろな細胞が活性酸素によって傷つけられてしまいます。活性酸素は酸化力が非常に強いので、細胞を酸化させて傷つけ、老化を促進(中略)動脈硬化の発症と進行にも腸内細菌が大きくかかわっている(中略)悪玉菌が異常増殖すると、うつ病や不安神経症などの心の病気を導く(中略)腸内環境が悪くなると、セロトニンやドーパミンがうまく合成できなくなります。すると、元気がなくなり性欲も減退(中略)人体におけるセロトニンの総量は10ミリグラム程度とされていますが、このうちの90%が腸に存在し、そこから脳や体内の臓器に運ばれている(中略)何度も言いますが、大腸菌そのものは悪くありません。たとえば、私たちが食べる野菜の主成分、繊維質(セルロース)を分解してくれるのは、大腸菌をはじめとした腸内細菌───藤田紘一郎教授(著書名失念)

フクシマ原発事故が起こる前の日本におけるセシウム137の放射能レベルは、ほとんどの食品で1キログラムあたり0・2ベクレルだったのに、その500倍の100ベクレルでも「安全な食品」だというのである。魚介類では、事故前の日本近海魚の平均値は0・086ベクレルだった

副腎の疲労を解消するには、体内の炎症を改善させることが第一(中略)「甲状腺の治療をしても、いまいち効果が上がらない」といったことが起こる(中略)ホルモンには生産される優先順位、図のようなヒエラルキーが存在します。これは「もっとも生産の優先順位が高いのが性ホルモン」ということではなくその逆で、一番ベースに生きていくために必要な副腎のホルモンがあり、次に甲状腺が作り出すホルモン、最後に性ホルモンが続くという意味です。副腎のホルモンがしっかりと作られていないと、(※P47)図上で上にあるホルモンも作られなくなってしまう(中略)小腸に炎症があると、まず先述したように、炎症を鎮めるためのコルチゾールが大量に必要になり、副腎が疲れます(中略)副腎疲労の患者さんは、ほぼ100%の方が腸に問題を抱えています。便秘や下痢といった自覚症状がある方 ※引用者加筆.

カルシウムは小腸の上皮細胞から体内に吸収されます(中略)マグネシウムが不足すると、カルシウムがいつまでたっても元に戻らないため、こむら返りなどの筋肉の痙攣

亜鉛不足になると炎症や傷の治りが遅れる(中略)亜鉛を摂ることで炎症を起こした腸の再生が期待できる(中略)副腎の機能が低下してコルチゾールの分泌が下がってくると、目の周りが黒ずんできます。目全体を囲むようにクマができてしまうような状態です(中略)(※目が落ちくぼみ)唇に黒い斑点ができることもあります。(※副腎がやられて起こる)甲状腺機能の低下によって血流が悪くなるので、冷え性にもなりやすく、肌の血色が悪く、青白い顔になるので、より一層老けた印象を受けてしまうのです。※引用者加筆.

うつ病以外でも、日常的にやる気がない人が橋本病などによる甲状腺機能低下だったというケースもありますから、精神的な診察を受ける前に内分泌(ホルモン)的な問題点がないかどうかを調べておくべきです。甲状腺ホルモンは、細胞レベルで作用して呼吸量とエネルギー産生量を引き上げて代謝を活性化しています。亜鉛、鉄、ヨウ素、セレン、ビタミンの欠乏があると甲状腺ホルモンの合成が落ちますから要注意です。

セレンのサプリメントなどは、大量に摂取した場合、がんのリスクが高まる

ブラジルナッツは水銀を解毒するセレンを多く含むほか、強い抗酸化作用など体に良い成分がたっぷり含まれているのですが、セレンを過剰に摂取すると神経系の異常が出ることがあるので1日1〜2粒が適量

1日1粒のブラジルナッツで、セレンの1日当たりの推奨摂取量を賄うことができる(中略)患者の多くは、甲状腺の健康がミトコンドリア機能にとっていかに重要かわかっていない。過剰なストレスは、その適応反応として甲状腺ホルモンの分泌を低下させる(中略)甲状腺ホルモンはミトコンドリアに多大な影響力を持つ。甲状腺ホルモンの低下は代謝に影響(中略)ストレスから回復しなければ、ミトコンドリアは修復と充電の機会を得られない。ミトコンドリアを損傷させるライフスタイルの深刻な影響を理解している人は少ない

甲状腺で起こる橋本病やバセドウ病などの治療は、まず甲状腺の土台となる副腎が疲労していないかを疑うところから始めなければいけない(中略)ホルモン治療には、第一に副腎、その次に甲状腺、性ホルモンの順に治療すべきだという優先順位(中略)土台となっている副腎をケアしないまま、甲状腺、性ホルモンの治療をしても、根本的な解決にはならない(中略)ホルモンは、単独で動いているわけではなく、基本的には複数のホルモンがバランスをとりながら、ネットワーク的に生命活動を営んでいます(中略)健康を維持するネットワークを「蜘蛛の巣」にたとえて説明していますが、その中央にあり、土台とされているのが副腎という臓器(中略)副腎疲労の特効薬は何よりもよく寝ること(中略)その目的は、睡眠中に胃腸に負担を書けず、コルチゾールの分泌を抑えることで、副腎をしっかり休ませること(中略)下剤を処方されることがありますが、下剤を飲むと生き残っている善玉菌まで一掃されてしまいます(中略)積極的に乳酸菌や食物繊維を摂るのは、SIBOやリーキー・ガットをはじめとした腸のトラブルを解決してから

亜鉛のサプリメントを摂るというのは納得できます。しかし、亜鉛を働かせるにはビタミンではAやE、B類、ミネラルではニッケルやリン、鉄、銅、カルシウム、ナトリウムなど、さまざまなな微量栄養素が必要になってきます。亜鉛はこれらの栄養素と相乗作用や拮抗作用をしながら我々の体内で働いている(中略)できればヒューミックシェール(米国にある古代植物堆積層)に含まれている豊富で質の高い植物性ミネラルやクロム、セレン、亜鉛など種々のミネラル含有酵母などをとるのが理想的

亜鉛は、酵素の触媒として不可欠だ。細胞の中でベータ・カロテンをビタミンA(※長期間肝臓に貯蔵することができる脂溶性の抗酸化成分)に変えるのも酵素で、この酵素にも亜鉛が必要(中略)酵素の働きを助ける亜鉛が不足すると、ベータ・カロテンからうまく変換されない(中略) 甲状腺ホルモンが不足するとエネルギーが低くなり、寒さに弱くなる(中略)まず、病気の症状よりも、原因を治したほうが結果は良いということだ。全細胞の健康にとって大切なのは、栄養の知識と、その応用 ※引用者加筆.

すべての細胞が必要としている亜鉛(中略)亜鉛は、膵臓でのインスリンの合成・分泌促進に関与して、糖代謝の異常を防ぐ働き(中略)アルコールを分解する酵素になるためには亜鉛が必要(中略)肝臓には亜鉛が含まれていて、肝機能にも貢献(中略)亜鉛の吸収を促進するものとしては、クエン酸、醋酸、リンゴ酸、乳酸などの有機酸、ビタミンC、アミノ酸などがあげられ、吸収を阻害する成分としては、お茶などに含まれるタンニン、活性酸素除去物質として知られるポリフェノール、リン酸、フィチン酸、リグニン、卵アルブミン、タンパク質など(中略)コラーゲンの合成、中枢神経の形成と機能、免疫形成、網膜の機能などにも、亜鉛が関与(中略)亜鉛が不足すると、味覚障害(苦味を感じるケースもある)や、皮膚の乾燥、脱毛、性機能低下、性成熟の遅れ、貧血、精神、神経症状、免疫力の低下や、コレステロール代謝異常、成長障害などの症状が出現(中略)妊娠中に大量に必要だった銅は産後自然と減りますが、たまに体内に銅がとどまったままの女性がいます。ノルアドレナリンは集中力を高める神経伝達物質ですが、銅が多いとノルアドレナリンの量も過剰になり、結果、産後のうつ症状を(中略)亜鉛を摂ることで銅のレベルを自然に下げることができます。また、亜鉛は興奮系の神経系であるグルタミン酸神経を鎮める働きもあります。もう一つの特別な目的はデトックスです。亜鉛を多く摂ると体内でメタロチオネインという重金属を取り込んでくれるタンパク質をつくることがわかっています。解毒のための特別な薬を使わなくても、亜鉛を十分摂るだけでもデトックスができるのは素晴らしいことです。亜鉛は高用量を摂っても比較的副作用が起きにくい栄養素ですが、中には銅が枯渇してしまうなどの例もある

セレニウムが不足すると、睡眠に問題が生じることがある。また、免疫機能と甲状腺機能にとっても、(※少量の)セレニウムはなくてはならない存在 ※引用者加筆.

セレンには、グルタチオンペルオキシターゼを活性化することで、がんの引き金となるDNAの損傷や酸化障害を抑制し、がん細胞をアポトーシスへと誘導する働きがある(中略)セレンが不足すると、がんの発症や冠動脈疾患、心筋障害、動脈効果のリスク(中略)セレン濃度に左右されるものの、パスタや中華麺に使う強力粉などの穀類にも含まれています(中略)セレン以外に、抗酸化酵素の働きを活性化する重要なミネラルとして、亜鉛の存在も無視することはできません(中略)亜鉛には細胞の生まれ変わりに必要な酵素を活性化する力があり、これによってタンパク質合成のための化学反応が促進されます。つまり、セレンなどによってアポトーシスへと誘導されたがん細胞を、正常細胞へと再生させる働きが、この亜鉛にはあるのです。亜鉛が不足すると、遺伝子情報がうまく伝わらず、タンパク質合成が阻害されてしまいます(中略)ただし、亜鉛とセレンは拮抗的な関係にあるため、亜鉛の摂取量を増やすと、セレンの吸収率が低下する(中略)亜鉛は日常のストレス、飲酒、糖質摂取などによって消費されやすくなります。

亜鉛も、赤身の肉やレバー、カキなどの魚介類に多く含まれています。これらの食材は、鉄やビタミンB群も(中略)亜鉛は、私たちの身体に約2g存在し、200種類以上の酵素反応に関与(中略)亜鉛の不足によって、特有の爪のトラブルが起きたり、抜け毛が増えたりする(中略)亜鉛不足は男性不妊の原因(中略)さらには成長ホルモンや甲状腺ホルモンなど、重要なホルモンの分泌や作用に関係(中略)膵臓においては、インスリンの合成や分泌の調整にも亜鉛が深く関係(中略)菜食中心の場合には、重度の亜鉛欠乏になっていることが多くあります

(※Lチロシンは)体内でも合成できるが、ストレスを受けると激減(中略)(※Lチロシンは)甲状腺ホルモンの構成要素 ※引用者加筆.

甲状腺ホルモンが少ないと、記憶力、実行機能、集中力が低下するとともに、うつ病などの気分障害になるリスクが高まる。甲状腺機能低下症、つまり、甲状腺ホルモンが少ないと、体重増加、倦怠感、筋肉痛、関節痛をはじめ、多くの不快な症状が生じる。逆に甲状腺機能亢進症、つまり、甲状腺ホルモンが過剰だと、体重減少、動悸、発汗、イライラなどの症状が現れる

亜鉛は、体内で代謝を調整するおよそ300種類の酵素のパーツとなっています。欠乏すると味覚障害、傷が治りにくい創傷治癒遅延、皮膚炎、糖尿病をもたらす耐糖能異常(中略)亜鉛は細胞分裂や遺伝情報を伝える核酸の代謝に必要な酵素の成分でもあり、タンパク質を合成する際にジグソーパズルのピースであるアミノ酸を並べる働きを担い、タンパク質合成の鍵を握っています。加えて膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞でインスリンを合成、貯蔵、分泌するプロセスにも亜鉛が関わっています。分泌されたインスリンは肝臓で代謝されますが、その際、亜鉛が十分にあると安定化して適度なスピードで分泌が進みます。しかし、亜鉛不足だとインスリンの挙動が不安定で過剰に分解されやすく、血糖値が上がりがちになって2型糖尿病のリスクが上がる

テオは重い病気にかかった。アンドリエス(※テオの妹)は両親への手紙で書いている。《テオは神経系の深刻な病に見舞われて、体を動かすこともできなくなっていたのです(中略)テオの健康状態はかなり深刻なものになっていく(中略)また新たな心配事がもちあがった。(※テオの息子)小ヴィンセントが突然病気になったのだ(中略)子供の病気は、おそらく汚染された不健康な牛の乳が原因だったらしい。※引用者加筆.

ヨウ素は牛の乳へと入り込み、それを飲んだ子どもたちの甲状腺細胞に蓄積されることとなった。そして、そこに蓄積されたヨウ素からの放射線が、時として、甲状腺腫や腫瘍を引き起こしたのであった。

放射性物質を体内に取り込まないことが最善ですが、もし取り込んでしまった場合は、それを排出する方法各種を学ぶ必要があります。本当に難しい治療の多くを知れば、それに比べて極めて簡単なのは内部被曝の管理であることが理解できるはずだ。ですから、まず学ぶべきは、本当に難しい治療をたくさん知ることです。



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