【キネマ救急箱#8】キングスマン:ファースト・エージェント 〜飼ってる動物の習性はちゃんと勉強しておこう〜
こんにちは。
ニク・ジャガスです。
遂に見ることが出来ました!
シリーズ最高峰との呼び声が高い『キングスマン・ファースト・エージェント』です。
完全に乗り遅れたタイミングですみません。笑
劇場公開中に引っ越しが重なってしまい、見逃していたのです。
「しまった」と思ったのも束の間、なんとディズニープラスで配信がスタート。
これ幸いと早速、視聴してきました。
それにしても20世紀フォックスがディズニー傘下に入っただなんて…。
(↑まだ言ってる)
もうコンテンツお化けじゃん…ディズニー…。
話が逸れてゴメンなさい。
早速、感想文を書いていこうと思います!
※本記事は『キングスマン:ファースト・エージェント』のネタバレを含みます。ご注意ください。
あらすじ
“超過激スパイアクション“じゃないっ!嘘つき!と思ってしまったほどの重厚感
予告で何度も耳にした“超過激スパイアクション“という触れ込み。
本編開始から30分あたりで「そうか…?」と思い始めてしまった。
前作『キングスマン:ゴールデン・サークル』はまさに、超デンジャラスかつ抱腹絶倒なスパイアクション・ムービー。
本編開始2分で、Prince&The revolutionの「Let’s go crazy」にあわせてカーチェイスが繰り広げられたり。
終盤、エルトン・ジョンの名曲「Saturday night’s alright」にのせて、巧みなカメラワークで爽快なアクションを見せてくれたり。
そもそも主演のコリン・ファース、タロン・エガートンを始め、ジュリアン・ムーア、ハル・ベリー、チャニング・テイタム、さらにはエルトン・ジョンまでキャストの顔ぶれは超豪華。
たった3分の予告で見るだけで「絶対観たい!」と思ったのを覚えています。
ですが、今回。
「ちぃーと地味では?」と、あろうことかマシュー・ヴォーン監督を疑ってしまいました。
世界中の使用人ネットワークを駆使して情報を集め、自らの手でリスクを排除していく、という筋書きは確かに正統派のスパイ映画に思える。
ただそこに「キングスマン」らしい派手さやハチャメチャ感は見られない。
キャストも落ち着いた面々が揃い、「きゃー!ファースよ!タロンよ!」といった層を容赦なくぶった斬る。
(かくいう私が、そこに片足を突っ込んでました)
歴史上の人物や史実はそのままに、新解釈を加えて描かれている本作。
戦争映画さながらの重厚感を持って描かれ、平和の尊さを観客に訴えてきます。
「今回のキングスマンは、まじめに見なくちゃな」と襟を正し始めた本編40分過ぎ。
「いや最後まで見んかい!」と、マシュー・ヴォーン監督にビンタされることになります。
止まらないラスプーチンへの愛
一見、地味なキャラクターに見えていた「羊飼い」の手先たち。
(俳優は豪華なんですけどね)
映画を見た方には100%同意いただけるでしょう。
ラスプーチンが魅力的すぎることを。
キングスマン一味とラスプーチン(リス・エヴァンス)の戦闘シーンは、間違いなく物語前半のハイライト。
個室に連れて行かれたオックスフォード公(レイフ・ファインズ)は、ラスプーチンから治療のためにズボンを脱ぐよう指示される。
パンツ一丁(ではないんだけど)の衝撃的な姿を見せてくれるレイフ様の勇気にまずは拍手。
青酸カリ入りのパイをアホみたいに食べながら、オックスフォード公の脚を舐め回すラスプーチン。
名優2人によるこの変態シーンだけで、鑑賞代の元が取れるわ〜と思えます。
そして、妖術はまさかの本物であり、見事に傷を癒したラスプーチン。
そのギャップだけでもオチがついたのに、息つく間もなく激しい戦闘シーンへ。
突入してきたショーラ(ジャイモン・フンスー)に対し、バレエのステップとコサックダンスを交えながら優雅に応戦します。
これがギャップ萌えというやつでしょうか。
小汚い変態がキレッキレのステップで敵の攻撃を全てかわす。
時代考証や撮影セット等、それ以外がこだわり抜いて作られてる分、コメディ感が浮き彫りになって、大笑いしました。
大広間でオックスフォード公がラスプーチンに「僧侶か?バレリーナか?」と皮肉ってましたが、壮大なフリに過ぎませんでしたね。
ラストの断崖絶壁!絵に描いたようなクリフハンガー!
やっぱり今回も裏切らなかったキングスマン!
ラストも見事なアクションの連続でした。
「闇の教団」本部に、空中から突入を試みるオックスフォード公。
ですがもちろん、一筋縄では……行かなさすぎ!笑
飛行機から振り落とされるわ、崖から落ちそうになるわ、羊に頭突きされるわ、大男にボコボコにされるわ。
1つでも十分なのに、畳み掛けるようなピンチの連続にラストへの期待感しかありません。
余談ですが、羊が体を張って崖を降りていたシーン。
たくさんの羊が断崖絶壁にいる様子がシュールで、個人的にお気に入りです。
本筋に戻ります。
本部に乗り込んだオックスフォード公とショーラを待っていたのは…亡き英国軍の指揮官キッチナーの右腕、モートン(マシュー・グード)。
黒幕の正体を暴き、激しい決闘が始まります。
ここでもキングスマンらしいカメラワークが垣間見られました。
特に双方の剣のグリップから撮影されているような演出。
剣に相手側の顔が映る、今までに見たことのない斬新な映像でした。
また、戦場を記録したフィルムに重なる二人の剣術シルエット。
戦争が如何に残忍で、無意味なものかを象徴的に表します。
そしてラスト。崖っぷちに追い詰められたオックスフォード公。
もはやここまでか、と思った瞬間。
羊のツノにぶち抜かれるモートン!!!
衝撃のラストに笑ってしまいました。
羊飼いのくせに、羊の気持ちも習性も分かってないんだから…
オックスフォード公は「自分は息子のように勇敢な男だ」と言って、モートンにとどめを刺します。
物語中盤で突然の死を遂げたコンラッド。彼の遺志を結実させた、最高のラストでした。
次回作への期待
「キングスマン次回作は!?次回作は!?」
そう騒ぐオタ達のために、マシュー・ヴォーン監督はさっそく弾込めを始めています。
2つの時代軸で進められるようで、今後の展開に大いに期待。
ただ、私は前作からチャニング・テイタム主演の『ステイツマン』を座して待っているのですが…
え?予定ない?ガンビットも流れたのに可哀想だよ…
でもそれが愛すべき俺たちのチャニング・テイタム。
今回も、米国大統領がステイツマン中毒なことが分かりましたしね!笑
確かに今回、派手で華のあるアクションシーンもなければ、奇抜なガジェットも登場しませんでした。
ですが、歴史の流れはそのままに、史実を裏解釈して描く本作は、間違いなくアメコミの血が流れるエンタメ大作です!
一つだけ細かいところが気になりました。
大統領のイヤーンな場面が写ったフィルム、ネガなのに反転してなかったぞ…!
あれはポジで、ネガはどっかにあるんじゃない!?と邪推してしまいました。笑
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました😊
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