八音都和

[はちね とわ]と読みます。お酒とドラゴンゲートを愛しつつ、密かに作家を目指す女です。…

八音都和

[はちね とわ]と読みます。お酒とドラゴンゲートを愛しつつ、密かに作家を目指す女です。コンテストに落選したものは惜しまずここへはき出します!※生意気ですが当ブログに掲載されている文章の無断転載はご遠慮願います^^;

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    大好きなプロレスのこと(ほとんどドラゴンゲート)について偉そうに語ります^^;

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    唯一ブログっぽい内容で。。。

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馬鹿(1)

目覚めたら、下着がなかった。下着だけ履いてなかった。 昨夜は飲み会だった。調子に乗って飲みすぎたようだ。家に戻った記憶は、ない。 時計は朝4時10分を指していた。背中に痛みを感じた。酔って転び、生傷をつくることはしょっちゅうだったが、背中の痛みは打撲のように体の深い部分まで到達していた。 下着をさがそうと立ち上がろうとしたとき、角度を変えた脳がかすかな記憶を蘇らせた。 さっきまで誰かがこの部屋にいた。玄関のドアを出て行った後ろ姿の気配を思い出した。 うっすら

    • 馬鹿(2)

      確かに誰かがこの部屋にいた。男だ。 昨夜の飲み会では飲みすぎた。なに、いつものことだ。 若い方だったか、いや40代の方だっか気がする 。 タクシーに誰かと乗ったのは覚えている。その後の記憶はない。 うちに上がり込んだのか、引っ張り込んだのか。確かめる術はない。 丸出しの陰部に手を伸ばし、状況を確認した。ダメージはない。よし。 いったい昨日会ったあの中年男は、何をしたんだ。下着まで脱がしておいて、何もせずに帰っていったのか。泥酔した女を相手にすることに罪悪感があった

      • さよならまたいつか。

        青黒い頬。赤黒く染まった耳たぶ。 下唇には堪えたときにできたらしい、血塊がうすくこびりついている。 17年ぶりの再会、たった半年の想い出。 とても軽いようで、貴重なようで、すごくちょうどいい。 去年の夏、長い空白をはさみ、お互いに少し太って老けた姿で待ち合わせた。 始めて会ったときからは20年が経っていた。 懐かしさと僅かに当時のほろ甘い想いの入り交じった気持ちが染み渡っていく。昔なかったハラを突き出し、私に向かって「そんな小さかったか?」と。互いの劣化に笑った。 む

        • 愛しくて切なくて心強いもの

          無防備な寝姿に愛しさを覚え、仕事で遅く帰る日が続くとせつない。そしてきみに毎日待っていてもらえる私はとても心強い。 20数年の流行歌の意味が今になって腑に落ちた、週末の夜。 それは、愛しくて切なくさせる。そのくせとてつもなく心強くもさせる存在。 君がウチに来てから、無闇に飲み歩くのをやめた。というか自然と足が向かなくなった。 かわいい君が待っている小さな私の部屋へ、今日も帰る。 それでも時には泥のように酔っ払って帰宅する夜もある。 きっと君は酒臭い息を吐きながら横たわる

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        記事

          世の中、痛いか痛くないかの重要性が年増女性社会で上がってきているように思う。 ・実年齢よりうんと若く見える自分に磨き上げる美魔女が痛いのか? ・自然体といえば体裁よく、オバサン化を急速させるオンナが痛いのか? ・結婚もせずいい年こいて、韓流スターなどに夢中になるのが痛いのか? たぶんどれも痛い要素にはなり得るのだろう。 私は早くから自覚している、「自分は痛いオンナ」だと。 タイプで言うと上記の3番目にほど近い。 リアルな恋愛が下手であるゆえ、雲の上の存在にまじで恋してし

          花火大会と浴衣とビール

          子供のころ一発も見逃したくなくて「花火大会」に卑しかった自分。虫に刺されていることにも気づかず花火の虜になった。家に帰ったら赤い斑点に覆われた手足に塗布されたキンカンがきつく染みた。 その頃の私にとって、夏に花火を見ないなんて、東京に行ってディズニーランドに行かないも同然のことだった。 いや、もちろん東京に行ったからといって誰もがディズニーランドに行くわけでないことくらい今は理解しているが、当時東京は私にとって死にたいくらいに憧れた花の都「大東京」だったし、あれほど楽しいアミ

          花火大会と浴衣とビール

          扶養家族

          その小さな身を私にうずめ 、なんとも無防備な寝姿は 小さな心臓をうごかし。わたしにすべてを任せる。 君は、ときに私の子どもであり、時にセラピストだ。 この狭いアパートに引き取られ、君は幸せかい? 私は君にとって、いいパートナー、保護者になれてるだろうか。

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          日和見感染

          まだ、自分の中に残ってた部分。この女の卑しい部分は私の中から三年ほどまえに消えたと思っていた。 しかし、昨晩それは復活した。普段は大人しいウイルスのように私の精神に潜み続け、日和見に起こされた。 「幸福になる必要なんかありはしないと、自分を説き伏せることに成功したあの日から、 幸福がぼくのなかに棲みはじめた」 大好きな名言であり、未だ成し遂げられない課題。 今でも十分幸せだと思っているが、それはわずか顕在意識内でのことだろうか。 こんなもんじゃない、という欲が潜在してい

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          イリュージョン

          今日は残業で遅くに帰宅。 ペットのうさぎがケージから出してくれとどんなに懇願しているだろうと 家路を急いだ。 リビングのドアを勇んで開けたら、てんてんがドアの前でお出迎え。 確かにケージの扉には鍵をかけて出てったはず。 こないだ夜中に上の扉から飛び出してきたことがあり、上の扉にも鍵をかけてた。 なのに、なぜ君は脱出してるの? 鍵を確かめると、確かにきつくしまっている。 君は引田天功か? もはや引田てんてんか? ケージの網の間にはどうやっても丸いフォルムの君が通り抜けれ

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          セラピスト

          君を前にして僕は、時に親に、時に友人に、そしてある時は患者になる。 その小さなカラダで、この業の深い欠陥だらけの僕をどうにか常識のある人間として保たせてくれる。 いつだって壊れることを加味して生きてる僕に、握れば折れそうな小さな指を、弱い力で膝に押しあてる。 殺傷能力をまるで持たない君は、どうして強くてあったかくて…… その度に自分の弱さを知る。 内に潜む闇を照らし、精神のバランスを平衡に、命ある限り守り続けることを誓おう。 君はもはや本来の役目を超えた存在になった

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          彷徨

          シンから欲しいと望むものは、当然手に入れにくく、 また、幸せはこのようなものを好んだり選んだりする事だと、手を伸ばせば、それは本心ではないと払われる。 正直に生きようとすれば、上手く渡る者たちと衝突し、 体裁よく進もうとすれば、今度は耳の奥で小さな自分が声を上げる。 マインドベクトルは方向性を失い、延々と彷徨い続ける。 いつかその身を憩う場所へ辿り着けるのかもわからないまま。 世の中のどのタイプにも属さない自分の立つ足先に道はつかない。 個性を特別と置き換え、他人と差

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          酔寝

          よく寝ます。飲んでも飲まなくてもよく寝ます。 所構わずよく寝ます。 こたつ、電車の中、デスク、トイレ、床。 寝床を選ばずよく寝ます。 家のトイレの壁には、時々まゆ毛型のシミができます。 下着を引き上げ忘れて時々転倒します。 飲んでも飲まなくてもよく寝ますが、飲むと余計によく寝ます。 近所の飲み屋のカウンターは自分のベッドの次によく寝る場所です。 今まで行った飲み屋さんで、寝なかった店を数えるほうが早いです。 昔実家で、餅つき機で電気を大量に使い、ブレーカーが落ち

          酒と病と父と私

           現在、私に父はいない。2010年の夏に食道がんを患いこの世を去った。父は若い頃からよく酒を飲み、泥酔して帰宅する度に母に怒られていた。私が思い出す父は、酔っぱらいの姿と母と言い争っている場面ばかりだ。父は煙草も好んだ。酒に酔い、着替えることなく酒と煙草の息を吐き出しながらだらしなくソファで眠りこける。そんな父を子供ながらに冷ややかに見ていた。決して体を大事にする人間ではなかった。片田舎の薄汚い酒場に寄って帰るのが父の日課だった。なぜあんな不衛生な上にサービスが良いわけでも料

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          KB挽歌

          先日病院で便潜血(べんせんけつ)検査用の容器を手渡された。「検便」のことだ(以下KB)。内視鏡検査をされるとハラをくくっていたのでホッとした。2日分のKB容器を持ち帰り、摂取したのち月内にもってくるようにと。 とある小学生がKB提出当日の朝、うまく事が運ばず登校途中でみつけた犬のソレを提出した結果、人間ではありえん何かが検出され、検査員を酷くびびらせた。というカジュアルな話をマンガで昔見た気がする。 ほかにも可愛い女の子のKBを盗んだだの、高級ブランドの紙袋に入れていたら、

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          改めて自分なりにプロレスの魅力について考えてみた

          お互いの役割と試合が成立する事の面白さ、それがエンターテイメントとしてのプロレスの魅力である。 と故 上田馬之助は言った。(著書:金狼の遺言より) プロレスの魅力を伝えるのに、これ以上の言葉があるだろうか? ドラゴンゲートに出会ったとき「これ以上に面白い興業が世の中にあるだろうか!?」 と心の臓はすぐにバクバク、すぐにのめり込み、その日から一日もプロレスを忘れる日はない私。そう、私は"にわか"じゃない筋金入りの「プ女子」だ。 それからというもの寝ても覚めてもドラゲー一色

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          逆上がり

          結婚て逆上がりみたいだ。 三十歳を過ぎ、婚活に躍起になっていた頃、自分なりのこんな見解が出た。 小学生の頃、鉄棒の授業があった。課題の逆上がりをどんどんクリアしていく同級生達。 鉄棒を前に列を成し、ひとりずつ挑戦していく。出来なかった者はまた列に並び直す。 出来た者は出来ない者への応援にまわる。これがひどく屈辱的だった。 私は最後までできないクチだった。みんながクリアしていくのを横目に不甲斐なさを感じ、列にならばずにノロノロ歩いているコオロギを捕まえてサボったりした

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