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気まぐれ小説

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馬鹿(2)

確かに誰かがこの部屋にいた。男だ。

昨夜の飲み会では飲みすぎた。なに、いつものことだ。

若い方だったか、いや40代の方だっか気がする 。

タクシーに誰かと乗ったのは覚えている。その後の記憶はない。

うちに上がり込んだのか、引っ張り込んだのか。確かめる術はない。

丸出しの陰部に手を伸ばし、状況を確認した。ダメージはない。よし。

いったい昨日会ったあの中年男は、何をしたんだ。下着まで脱がし

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馬鹿(1)

目覚めたら、下着がなかった。下着だけ履いてなかった。
昨夜は飲み会だった。調子に乗って飲みすぎたようだ。家に戻った記憶は、ない。
時計は朝4時10分を指していた。背中に痛みを感じた。酔って転び、生傷をつくることはしょっちゅうだったが、背中の痛みは打撲のように体の深い部分まで到達していた。

下着をさがそうと立ち上がろうとしたとき、角度を変えた脳がかすかな記憶を蘇らせた。
さっきまで誰かがこの部屋に

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