馬鹿(1)

目覚めたら、下着がなかった。下着だけ履いてなかった。
昨夜は飲み会だった。調子に乗って飲みすぎたようだ。家に戻った記憶は、ない。
時計は朝4時10分を指していた。背中に痛みを感じた。酔って転び、生傷をつくることはしょっちゅうだったが、背中の痛みは打撲のように体の深い部分まで到達していた。

下着をさがそうと立ち上がろうとしたとき、角度を変えた脳がかすかな記憶を蘇らせた。
さっきまで誰かがこの部屋にいた。玄関のドアを出て行った後ろ姿の気配を思い出した。

うっすら

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