逆上がり

結婚て逆上がりみたいだ。

三十歳を過ぎ、婚活に躍起になっていた頃、自分なりのこんな見解が出た。

小学生の頃、鉄棒の授業があった。課題の逆上がりをどんどんクリアしていく同級生達。

鉄棒を前に列を成し、ひとりずつ挑戦していく。出来なかった者はまた列に並び直す。

出来た者は出来ない者への応援にまわる。これがひどく屈辱的だった。

私は最後までできないクチだった。みんながクリアしていくのを横目に不甲斐なさを感じ、列にならばずにノロノロ歩いているコオロギを捕まえてサボったりした。

周りが嫁いで行くたびに、逆上がりをクリアしていく同級生と重なるようになった。みんなが出来て自分にはできないもの。。。そんな風に【結婚=逆上がり】と感じるようになった。

なにかの拍子に、幸せな結婚をして二児の母であるかつての同僚にそんなくだらん話しをしてしまったことがあった。彼女からはこんな言葉がかえってきた。

「私たちは一生鉄棒から降りれないのよ。あなたはまだブランコにもジャングルジムにも砂場にもいけるじゃない」と。

逆上がりができたら一生の種目を「鉄棒」に決めた、ということになるらしい。私のように鉄棒ができないなら、気分転換に適当にブランコに揺られてみたり、平均台でどきどきしたり、時にはジャングルジムの頂上から景色を眺めてぼーっとしたり、気まぐれに砂の城を蹴飛ばしてみたり、そんなことが自由にできる、というのだ。

私が本気でその事を鼻にかけたら、それがどうしたと言われないだろうか。

そうはいうが逆上がりを極めた彼女は、一生鉄棒のうえだったとしても、逆上がりどころか、大車輪とて何百回しても振り落とされたりしないのだろう強さが伺えた。

例え転落しようと、一度ケガしたところは以前より強くなるともいうし、やはり一度鉄棒一本に絞ってみたほうがいいのか?いやいや何を言う、絞ろうとして何度も失敗してきたではないか。そのたび棒には指先すら届きもしなかっただろう?忘れるな、肝に銘じるのだ。

そしてこんなモノを書いている間、流れてきたBGMは皮肉にも木村カエラの「バタフライ」。


そういや、某タレントがこの「バタフライ」を聞きながら毎日結婚情報誌を眺めていたら結婚できた!などという都市伝説的な話を昔聞いた事がある。

当時、結婚に有益と思われる情報はなんでもやった私。当然これにも実践を試みた。が、結婚情報誌は分厚く重い。これを毎月買うとなるとかさばるし、狭い部屋のスペースを埋めてく。面倒になり、大好きなプロレス雑誌を読みふけた。BGMは変えずに・・・。

数ヶ月後に大好きなB×Bハルクに飲み屋で会えたっけ。

あながちこの都市伝説はバカにできない。かもしれない。

命短し恋せよ乙女・・・。


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