彷徨
シンから欲しいと望むものは、当然手に入れにくく、
また、幸せはこのようなものを好んだり選んだりする事だと、手を伸ばせば、それは本心ではないと払われる。
正直に生きようとすれば、上手く渡る者たちと衝突し、
体裁よく進もうとすれば、今度は耳の奥で小さな自分が声を上げる。
マインドベクトルは方向性を失い、延々と彷徨い続ける。
いつかその身を憩う場所へ辿り着けるのかもわからないまま。
世の中のどのタイプにも属さない自分の立つ足先に道はつかない。
個性を特別と置き換え、他人と差別化して視ることで信じ、進み、そして見守られることのないことに突然気づく。
偉そうに言えば言うほど、小さな喪失に傷つく自分を見る。
周りと違う自分で歩んだ軌跡は、時に輝き、時に腐敗する。
「なぜ自分だけが?」そんな安っぽい問いかけを、空(くう)に向かってしているのは自分だけではないのも知っている。
自分に似た者はそれぞれに似たようでいて、別々の窮屈な道に光を探す。
時々逃げ出したくなるが出口のないことに気づいて、元来た道を進めるしかないと知る。
自ら漕いでつける深くて遠い道の先に希望があるかなんて、だれも教えてはくれない。
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