経営資源として知的資産を活かす #165 知的資産経営
企業は、その目的を果たすために、経営理念に基づいた戦略を立案し、それに沿って事業活動を推進します。
そして、それらの活動には、経営資源が不可欠とされています。
経営資源を提唱したエディス・ペンローズによれば、企業の成長に限界が来るのは物理的な制約からではなく、相対的に経営資源が不足するからと示しています。
そのため各企業は、良質な経営資源を確保することを目的とした経営戦略を推進します。
従来、経営資源と言えば、経営資源ですが、従来は、ヒト(人材)、モノ(製品・設備)、カネ(資金)といった有形資産のことでした。
しかし、近年では、無形資産である情報や知的財産なども加えて経営資源と総称されています。
尚、ここでの無形資産は、貸借対照表上に計上される無形固定資産と同義ではなく、企業が保有する形の無い経営資源全てを意味します。
特に情報技術(IT)の発展や知的財産の価値拡大の影響は大きく、それに伴い法整備も整い知識社会を大きく進展させました。
同時に技術力、組織力、顧客とのネットワーク、ブランドなどの無形資産も、企業独自の価値として企業経営への影響力を高めることとなりました。
現在、経済産業省では、これらを総称して、知的資産と位置付けています。
知的資産とは、一般的に形のある動産および不動産である有形資産に対して、社内の創造的活動により生み出した独自の技術上または営業上の情報です。
しかし、これらを保有するだけでは意味がありません。
その権利を保護および効果的活用をすることによって、会社内における創造的業務活動を促進させることでイノベーションを創造し、企業価値を維持、拡大させる知的資産経営を推進する必要があります。
特に独自性が高い価値の知的資産には、法令に定められた権利、または法律上保護される利益に係る権利として、それを侵害する行為に対して排他的な効果が求められる知的財産権(知的所有権、無体財産権)が与えられます。
それらは、産業上あるいは文化的な「知的創造物についての権利」と「営業上の標識についての権利」に分類されます。
特に製造業の立場としては、「知的創造物についての権利」とは、製品開発や製造に伴う技術的な発明や考案として、特許権、実用新案権、意匠権などが該当します。
また、「営業標識についての権利」とは、ブランディング戦略を左右する重要なものであり、商標権、商号、商品表示、商品形態などが該当します。
知的資産経営では、この「知的創造物についての権利」と「営業標識についての権利」を表裏一体で捉える必要があると考えています。
つまり、「知的創造物」とは、経営資源の潜在的な価値であり、「営業標識」は、顕在的な価値であると言うことです。
「知的創造物」とは、独自の価値であるコアコンピタンスであると捉えられます。
しかし、どんなにコアコンピタンスが優れていようとも、それを社会や顧客に求めてもらえなければ意味がありません。
そのためにマーケティングでその価値を訴求する必要性があります。
また、その価値を純粋想起していただけるように象徴としてブランディングするのが、「営業標識」であると考えております。
今後も独自の価値を差別化して提案することで価値あるニーズを生み出す知的資産経営を推進して行きます。
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