煎茶

お茶ほめられる

2006年3月13日 (月)

「お茶も料理のうち」

ウチでは新人さんが来ると、必ずこの言葉を言いながら、お茶の淹れ方を教えます。

お金をいただくものではありませんが、美味しいお茶は料理と好一対、絶対に欠かせないと思うからです。

なにより単に自分が「お茶好き」なんですが、仕事場ではまずコーヒー紅茶を飲みません。

いや、両方とも好きですし、別に我慢しているわけじゃありませんが、一日中、ほぼ日本茶を飲んでいます。

ただし私は、残念ながら茶道、煎茶道に限らず「お茶」を正式に習ったこともありませんし、勉強したこともありません。

出入りのお茶屋さんに淹れ方を聞いたり、本を読んだりはしてみましたが、とうてい素人の興味本位程度のことしか知らないと思っています。

まあそれでも、自分が好きだと、美味しいものを出したい!と思いますから、それはそれで理にかなっている、と言うべきなんでしょうかね…?

お客様へ出すお茶は、ほうじ茶と煎茶です。

(あ、そうだ!ほうじ茶というと、「番茶ね―」と言う人が居るのですが、全然別のものですよ~。「番茶」は、一番茶二番茶を採ったあと、三番四番と採る時期が下がったお茶のことですね。葉も茎も厚く太く、渋みが強く甘みは少ない、あまり高級でないお茶を総称して「番茶」と呼ぶのです。ほうじ茶は、文字通り火にかけて「焙じ」てつくるお茶です。茶色の茶葉と、香ばしく赤っぽい水色が特徴ですが、紅茶のように発酵したものではなく、火を入れることによってそうなったわけですね)

ほうじ茶は、90~100度の高い温度の湯でさっと淹れ、香りのよさと甘みを楽しみます。

不思議なことに淹れて時間が経つと、赤みがどんどん強くなり、あっという間に黒っぽく渋くもなるので、注意が必要です。

緑茶に火を入れているので、刺激物がある程度抜けていて、その分身体に優しいお茶と言えますかね。

煎茶は、なんと言っても香りと甘みが大切です。

70度~80度(玉露は5~60度)で1分半~2分強、きれいな緑のとろみがある水色に、さわやかな香りで淹れられれば合格ですね♪

時間をかけすぎると、苦味と渋みが出すぎてしまい、時間が足りなくても、葉が充分開かないので旨みが出ません。

何度か淹れるうちにコツというか、感覚がつかめるんですが、新人さんはしばらくの間、先輩達にお茶を淹れながら練習するというわけです。

料理の世界では、煎茶は、食事前~食事中のお茶であり、ほうじ茶は食後のお茶です。

でもウチでは「どちらがいいですか?」って聞いちゃいます。

「ほうじ茶を」って言われれば食事中でも喜んで淹れますよ。

緑茶は眠れなくなる、と言う年配の方もいますし、妊婦さんも刺激物が少ないほうじ茶が良いって聞きますし、ね♪

嗜好品ですから、希望があれば遠慮なく言っていただいています。

お茶は、前の料理の味を洗い流し、舌の感覚をリセットしてくれますし、どんな料理ともケンカしません。

お酒の飲めない方は、甘いジュースやコーラよりも、ずっとお茶だっていいと思うんですね。

お代わりのお茶は、言われる前に持って行きたいもの。

焙じ茶用の湯呑み、煎茶用の茶碗も何種類かありますので、淹れるつど、違う茶碗で飲んでいただく楽しみもあります。

お金をいただかない、ということは「=経費」ということなんですが、どうしてもお茶のランクを下げる気にはなれません。

「ここはお茶も美味しいからねぇ…」と言われるのがホントに嬉しい!

さんざんお酒を飲んだ接待のお客様達が、最後にお茶を一口飲んで「お?」と言う表情をされるのも嬉しい!

お茶は脇役に過ぎないかもしれませんが、脇役がいなければ、主役は引き立ちませんものね。

今日も美味しいお茶、淹れてま~す!

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