I 女のしんぶん

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「I 女のしんぶん」は、毎月10日、25日発行。月額400円(2部・送料別)。お得な年間6,300円(送料込)もあります。 購読申込→ 03-3816-1862/info★ijosei.jp(★を@に変えてください)。このnoteでは内容の一部を転載します。

最近の記事

【寄稿】猿田佐世さん/自発的対米従属から主権を取り戻し日米地位協定の改定を

▼裁かれぬ米軍の犯罪・事故 米兵による犯罪や環境汚染に苦しむ沖縄県が、地位協定の各国比較プロジェクトを数年がかりで実施した。  日米地位協定は日本では評判が悪い。産経新聞の世論調査ですら「改定を求めるべき」との回答が8割を超え、全国知事会でも全会一致で改定が提言された。しかし、1960年の締結以来、一度も改定されたことがない。 問題があるのは明らかである。沖縄では、1972年の本土復帰から2022年末までに、米軍人等による刑法犯罪が6163件(1カ月平均10件)、航空機

    • 甲状腺がん裁判/新たな知見を無視する東京電力

      ▼国・東電の「古過ぎる」主張 被ばくと健康リスクについて、左図(環境省HPより)のような解説を目にしたことのある人は多いだろう。これまで「100㍉シーベルト以下の被ばくでは放射線による発がんリスクの増加は確認されていない」「それが国際的に合意されている知見だ」というのが国・東電のお決まりの主張だった。 3月6日、東京地裁で行なわれた「311子ども甲状腺がん裁判」では、この100㍉シーベルト以下に健康影響はないという東電の主張が、進捗する科学を無視したものであると指摘された。

      • 危ない「離婚後共同親権」―親権たてに支配関係続く恐れも

        (フリーライター 田島 望) 何でも「両親の合意」が必要に? 離婚後の子どもの養育について、父母双方が親権を持つ「共同親権」に道を開く民法改正案が3月8日閣議決定され、国会での審議が始まる。 日本はこれまでどちらか一方が親権を持つ「単独親権」だった。父母双方が子どもの養育に責任を持つというのは一見理想的に見えるが、両親が合意できなければ子どもの教育や医療が何も決まらなくなるなど、大きな混乱の芽をはらんでいる。とりわけDV、虐待の被害者からは離婚後も相手の支配から逃れられ

        • 【寄稿】添田孝史さん/大地震と原発が集中する日本 次々と露呈する原発のリスク

          1月に起きた能登半島地震(M7・6)で、北陸電力の志賀原子力発電所の地元の町では震度7を記録し、原発では想定していた最大の揺れを一部で超えました。2011年の東京電力の事故後、運転は止まっていて核燃料も冷えていたので大事故にはなりませんでしたが、変圧器の故障で外部電源の一部は使えなくなりました。多重の安全策の一部を失い、安全のレベルは下がっています。 新潟県中越沖地震(2007年)、東日本大震災(2011年)など、原発が被害を受ける地震が続いています。地図1を見ると、マ

        【寄稿】猿田佐世さん/自発的対米従属から主権を取り戻し日米地位協定の改定を

          4人に1人が「年収の壁」で就労を制限 今すぐ児童扶養手当の増額や所得制限緩和を

          (フリーライター 田島 望) ▼働きたくても働けない… シングルマザーの4人に1人が児童扶養手当や奨学金などを受給するために就労を制限した経験があることが、NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」(東京都)の調査でわかった。最低賃金が上がる中、各種手当や給付の所得制限の見直しが追いつかず、働きたくても働けない人が多いことが見て取れる。一方、物価高の中、低く抑えた収入と児童扶養手当だけでは最低限の生活が成り立たず、食事がまともに取れない状況にあることも浮かび上がった。児童

          4人に1人が「年収の壁」で就労を制限 今すぐ児童扶養手当の増額や所得制限緩和を

          【寄稿】上野千鶴子さん/保険〝詐欺〟にさせないために闘い続けて介護保険を守ろう

          ■狙われ続ける改悪 2024年度は介護報酬・診療報酬・障害福祉サービス報酬改定が同時期に並ぶ「惑星直列年」と言われている。介護報酬は1・59%増、という結果になった。コロナ禍での介護職の奮闘ぶりを見れば、いくらなんでもマイナス改定はないだろうが、物価上昇率の2%にも及ばない。最低賃金が上昇しているのに、その影響も介護職には届かない。 とりわけホームヘルパーの処遇は悪い。有効求人倍率は15倍、どれだけ募集をかけても人が集まらない。60代以上が40%を占め、やめたくてもやめさ

          【寄稿】上野千鶴子さん/保険〝詐欺〟にさせないために闘い続けて介護保険を守ろう

          署名、62194筆集まりました!

          すべての子どもに学ぶ権利を― 署名提出集会を開催 6月13日、参議院議員会館で、「子どもの学びの権利 署名提出集会」が開催された。主催は、すべての子どもに学ぶ権利の実現を! 研修・交流会実行委員会(朝鮮民主女性同盟、朝鮮女性と連帯する会、女性会議で構成)。文科省、こども家庭庁の担当者を交え、朝鮮学校に通う子どもを持つ母親、支援者らが一堂に会した。 昨年4月に施行された「こども基本法」では、基本理念の第一に「すべてのこどもは大切にされ、基本的な人権が守られ、差別されないこと」

          署名、62194筆集まりました!

          【寄稿】小島ブンゴード孝子さん「デンマーク「普段着のデモクラシー」から学び市民の力で政治を変えよう」

          幼少時から学ぶデモクラシー デンマークは夫婦共働き社会。学校入学前の子どもたちは、昼間は保育園に通い共同生活をしています。 その子どもたちを見守り、指導している「ペダゴー」と呼ばれる幼児教育者は、国のガイドラインに示されている子ども目線でのデモクラシーを育むための「学びプラン」を参考に、園児一人ひとりの「自己決定と自助能力」を伸ばし、園児たちが共同体の一員として決定に参加するよう、常に心がけています。 義務教育の学校(小中一貫制)には学校理事会があり、保護者・教職員・地

          【寄稿】小島ブンゴード孝子さん「デンマーク「普段着のデモクラシー」から学び市民の力で政治を変えよう」

          【寄稿】内田 聖子 さん(PARC(アジア太平洋資料センター)共同代表)杉並区×ミュニシパリズム

          ミュニシパリズムのスピリットは、地域のことは住民が主体的に決めていくという、民主主義の基本です。日本では、議会と住民と行政が不健全な形で機能し、住民は行政に不信感を抱くことが多い。職員にしても、住民の声をクレームとしか受け止められないことがよくある。協働できていないんです。これを変えるのは住民の声。行政を動かし、どうやって実行してもらおうかと切り替えると、見える風景が変わるのではないか。そのためには、良い首長、議員がいないと。だから選挙が大事なんですよね。 区長選を経て、私は

          【寄稿】内田 聖子 さん(PARC(アジア太平洋資料センター)共同代表)杉並区×ミュニシパリズム

          今も残る「男子のみ」学生寮 阻害される地方女子学生の学び

          I女性会議富山県本部から、東京にある学生寮(富山県人寮)が男子用しかない問題について自治体に働きかけたいという連絡があった。これを機に、全国の状況を調べると、6割以上の県人寮が男子のみ対象であることがわかった。 * * * まず、なぜ女子学生が差別されてきたのか、その背景を振り返ってみたい。 かつて「女人禁制」であった旧帝国大学では、東北帝大で1913(大正2)年、女子の入学が初めて認められた。その後、九州帝大が1925(大正14)年、東京文理大と広島文理大は1929(昭

          今も残る「男子のみ」学生寮 阻害される地方女子学生の学び

          【寄稿】映画監督・古居みずえさん/ガザ―いつまで続く 人々の苦しみ

          ●占領され難民となった人々 長年通い詰めたガザ地区。私が次に行くことがあるとすれば、全く変わった姿になっていると思う。想像するだけで怖い。 ガザ地区は地中海に面した穏やかな気候で、イスラエル占領前は観光地として栄え、マンゴーやイチジク、ぶどう、あらゆる果物が売られ、海岸にはホテルが並んでいたという。主な産業は漁業で、エジプトからレバノン近くまで漁をすることができたと聞く。 1947年の国連決議により、パレスチナの地はユダヤ側とアラブ側に分割され、翌年1948年にイスラエ

          【寄稿】映画監督・古居みずえさん/ガザ―いつまで続く 人々の苦しみ

          【寄稿】お茶の水女子大学名誉教授 戒能 民江/半年後に迫る「女性支援法」施行予算・人材・連携で実効性ある支援を

          画期的な公的責任の明記 2022年に議員立法で成立した「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」(以下、女性支援法)の施行を半年後に迎える。 女性支援法は、売春防止法を法的根拠とした「婦人保護事業」の差別的な殻を脱ぎ捨てて、当事者中心主義の新たな支援システムを構築し、女性の人権保障と男女平等社会の形成への寄与をめざす。困難な問題に直面して支援が必要なのに、制度の谷間に落とされ、支援を求めることが難しい女性に、地域の様々な機関や民間団体が力を合わせて「最適の支援」を届け

          【寄稿】お茶の水女子大学名誉教授 戒能 民江/半年後に迫る「女性支援法」施行予算・人材・連携で実効性ある支援を

          馬毛島基地問題から見える「国家の暴力」

          2023年1月、(鹿児島県西之表市)の自衛隊基地建設が着工された。「自衛隊基地」と言うものの、実際は硫黄島(東京都)から移転される米軍空母艦載機の離着陸訓練(FCLP)を主眼とし、護衛艦の「空母化」に備えた自衛隊機の訓練などが計画されている。 環境調査なども含む建設工事費は、2022〜2023年度だけで8392億円。入札を経ないまま随意契約した係留施設、仮設桟橋、滑走路の工事費は当初予定の1680億円から倍増し、3500億円を上回ったという地元紙の報道もあり、今後も膨らみ続け

          馬毛島基地問題から見える「国家の暴力」

          【寄稿】虐殺や戦争を繰り返さないために歴史否定を許さない社会へ 安田浩一(ジャーナリスト)

          警察官に付き添われるようにして集団が移動する。その中の1人が罵声を飛ばした。 「朝鮮に帰れ! おまえらはゴミ!」。 関東大震災から100年目の9月1日、横網町公園(東京都墨田区)。今年もまた、同じ風景が繰り返された。 同公園内、関東大震災・朝鮮人虐殺犠牲者追悼碑の前で行なわれる同犠牲者慰霊式に合わせ、外国人排斥を訴える差別者集団が押し掛けるようになってから7年が経過した。 ●小池都知事の責任 きっかけをつくったのは、小池百合子東京都知事である。歴代都知事はこの慰霊式

          【寄稿】虐殺や戦争を繰り返さないために歴史否定を許さない社会へ 安田浩一(ジャーナリスト)

          【寄稿】朝鮮人大虐殺 記憶と継承で新しい100年の始まりを 一般社団法人ほうせんか理事・愼 民子

          近くの小学校教師の絹田幸恵は「あんな大きな川を人間が作ったなんて信じられない」という子どもたちの疑問に答えるため、1975年頃から地域を歩き、当時の様子を調べ始めました。 墨田区辺りで聞き取りをすると、1923年に起きた関東大震災時の話が何人もの人から出てきました。家族にも話さなかったことを、小柄で優し気な絹田を前にして、心に閉じ込めていた幼少期の記憶をついに語りだしたのでした。 ●「追悼する会」の発足 「旧四ツ木橋の下手の川原では10人ぐらいずつ朝鮮人を縛って並べ、軍

          【寄稿】朝鮮人大虐殺 記憶と継承で新しい100年の始まりを 一般社団法人ほうせんか理事・愼 民子

          【寄稿】取り残された「原爆被害者」が投げかけること──ジャーナリスト 小山美砂

          ●「昔話」ではなく今の問題 原爆被害に終わりはない。 この視点で、広島を拠点に取材を続けている。終戦から78年を迎え、社会の関心はもっぱら「被爆体験の伝承」に向けられている。しかし、まだ「被爆者」として認定されず、救済されていない人たちがいる。この課題を考えたくて、全国紙記者を辞めて今春からフリーになった。人生を賭けるほど大切なテーマだと思っている。 大阪市出身で、広島に縁はない。大学時代に初めて聞いた被爆証言に衝撃を受け、新聞社に入社後は広島支局への配属を希望した。原爆を

          【寄稿】取り残された「原爆被害者」が投げかけること──ジャーナリスト 小山美砂