I 女のしんぶん

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「I 女のしんぶん」は、毎月10日、25日発行。月額400円(2部・送料別)。お得な年間6,300円(送料込)もあります。 購読申込→ 03-3816-1862/info★ijosei.jp(★を@に変えてください)。このnoteでは内容の一部を転載します。

最近の記事

【寄稿】小島ブンゴード孝子さん「デンマーク「普段着のデモクラシー」から学び市民の力で政治を変えよう」

幼少時から学ぶデモクラシー デンマークは夫婦共働き社会。学校入学前の子どもたちは、昼間は保育園に通い共同生活をしています。 その子どもたちを見守り、指導している「ペダゴー」と呼ばれる幼児教育者は、国のガイドラインに示されている子ども目線でのデモクラシーを育むための「学びプラン」を参考に、園児一人ひとりの「自己決定と自助能力」を伸ばし、園児たちが共同体の一員として決定に参加するよう、常に心がけています。 義務教育の学校(小中一貫制)には学校理事会があり、保護者・教職員・地

    • 【寄稿】内田 聖子 さん(PARC(アジア太平洋資料センター)共同代表)杉並区×ミュニシパリズム

      ミュニシパリズムのスピリットは、地域のことは住民が主体的に決めていくという、民主主義の基本です。日本では、議会と住民と行政が不健全な形で機能し、住民は行政に不信感を抱くことが多い。職員にしても、住民の声をクレームとしか受け止められないことがよくある。協働できていないんです。これを変えるのは住民の声。行政を動かし、どうやって実行してもらおうかと切り替えると、見える風景が変わるのではないか。そのためには、良い首長、議員がいないと。だから選挙が大事なんですよね。 区長選を経て、私は

      • 今も残る「男子のみ」学生寮 阻害される地方女子学生の学び

        I女性会議富山県本部から、東京にある学生寮(富山県人寮)が男子用しかない問題について自治体に働きかけたいという連絡があった。これを機に、全国の状況を調べると、6割以上の県人寮が男子のみ対象であることがわかった。 * * * まず、なぜ女子学生が差別されてきたのか、その背景を振り返ってみたい。 かつて「女人禁制」であった旧帝国大学では、東北帝大で1913(大正2)年、女子の入学が初めて認められた。その後、九州帝大が1925(大正14)年、東京文理大と広島文理大は1929(昭

        • 【寄稿】映画監督・古居みずえ/ガザ―いつまで続く 人々の苦しみ

          ●占領され難民となった人々 長年通い詰めたガザ地区。私が次に行くことがあるとすれば、全く変わった姿になっていると思う。想像するだけで怖い。 ガザ地区は地中海に面した穏やかな気候で、イスラエル占領前は観光地として栄え、マンゴーやイチジク、ぶどう、あらゆる果物が売られ、海岸にはホテルが並んでいたという。主な産業は漁業で、エジプトからレバノン近くまで漁をすることができたと聞く。 1947年の国連決議により、パレスチナの地はユダヤ側とアラブ側に分割され、翌年1948年にイスラエ

        【寄稿】小島ブンゴード孝子さん「デンマーク「普段着のデモクラシー」から学び市民の力で政治を変えよう」

          【寄稿】お茶の水女子大学名誉教授 戒能 民江/半年後に迫る「女性支援法」施行予算・人材・連携で実効性ある支援を

          画期的な公的責任の明記 2022年に議員立法で成立した「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」(以下、女性支援法)の施行を半年後に迎える。 女性支援法は、売春防止法を法的根拠とした「婦人保護事業」の差別的な殻を脱ぎ捨てて、当事者中心主義の新たな支援システムを構築し、女性の人権保障と男女平等社会の形成への寄与をめざす。困難な問題に直面して支援が必要なのに、制度の谷間に落とされ、支援を求めることが難しい女性に、地域の様々な機関や民間団体が力を合わせて「最適の支援」を届け

          【寄稿】お茶の水女子大学名誉教授 戒能 民江/半年後に迫る「女性支援法」施行予算・人材・連携で実効性ある支援を

          馬毛島基地問題から見える「国家の暴力」

          2023年1月、(鹿児島県西之表市)の自衛隊基地建設が着工された。「自衛隊基地」と言うものの、実際は硫黄島(東京都)から移転される米軍空母艦載機の離着陸訓練(FCLP)を主眼とし、護衛艦の「空母化」に備えた自衛隊機の訓練などが計画されている。 環境調査なども含む建設工事費は、2022〜2023年度だけで8392億円。入札を経ないまま随意契約した係留施設、仮設桟橋、滑走路の工事費は当初予定の1680億円から倍増し、3500億円を上回ったという地元紙の報道もあり、今後も膨らみ続け

          馬毛島基地問題から見える「国家の暴力」

          【寄稿】虐殺や戦争を繰り返さないために歴史否定を許さない社会へ 安田浩一(ジャーナリスト)

          警察官に付き添われるようにして集団が移動する。その中の1人が罵声を飛ばした。 「朝鮮に帰れ! おまえらはゴミ!」。 関東大震災から100年目の9月1日、横網町公園(東京都墨田区)。今年もまた、同じ風景が繰り返された。 同公園内、関東大震災・朝鮮人虐殺犠牲者追悼碑の前で行なわれる同犠牲者慰霊式に合わせ、外国人排斥を訴える差別者集団が押し掛けるようになってから7年が経過した。 ●小池都知事の責任 きっかけをつくったのは、小池百合子東京都知事である。歴代都知事はこの慰霊式

          【寄稿】虐殺や戦争を繰り返さないために歴史否定を許さない社会へ 安田浩一(ジャーナリスト)

          【寄稿】朝鮮人大虐殺 記憶と継承で新しい100年の始まりを 一般社団法人ほうせんか理事・愼 民子

          近くの小学校教師の絹田幸恵は「あんな大きな川を人間が作ったなんて信じられない」という子どもたちの疑問に答えるため、1975年頃から地域を歩き、当時の様子を調べ始めました。 墨田区辺りで聞き取りをすると、1923年に起きた関東大震災時の話が何人もの人から出てきました。家族にも話さなかったことを、小柄で優し気な絹田を前にして、心に閉じ込めていた幼少期の記憶をついに語りだしたのでした。 ●「追悼する会」の発足 「旧四ツ木橋の下手の川原では10人ぐらいずつ朝鮮人を縛って並べ、軍

          【寄稿】朝鮮人大虐殺 記憶と継承で新しい100年の始まりを 一般社団法人ほうせんか理事・愼 民子

          【寄稿】取り残された「原爆被害者」が投げかけること──ジャーナリスト 小山美砂

          ●「昔話」ではなく今の問題 原爆被害に終わりはない。 この視点で、広島を拠点に取材を続けている。終戦から78年を迎え、社会の関心はもっぱら「被爆体験の伝承」に向けられている。しかし、まだ「被爆者」として認定されず、救済されていない人たちがいる。この課題を考えたくて、全国紙記者を辞めて今春からフリーになった。人生を賭けるほど大切なテーマだと思っている。 大阪市出身で、広島に縁はない。大学時代に初めて聞いた被爆証言に衝撃を受け、新聞社に入社後は広島支局への配属を希望した。原爆を

          【寄稿】取り残された「原爆被害者」が投げかけること──ジャーナリスト 小山美砂

          社会に種を蒔く「路上の本屋」

          会社員をやりながら「路上の本屋」という屋号で2022年の夏から、政治や社会問題、フェミニズムなどをテーマにした本を対面で販売する本屋をやっている。店舗は持たず、埼玉県さいたま市の路地裏ガレージマーケットという屋内マルシェに月2回ほど出店しているちょっと変わった本屋だ。 周囲の人からは副業と理解されることもある。しかし、街の書店がどんどん閉店し、都市部の大型書店も閉店・縮小するような時代に、素人がやっている本屋が儲かるわけがない。儲かるどころかほとんど売れない状況だ。 しかも、

          社会に種を蒔く「路上の本屋」

          4月から変わった表示制度 「遺伝子組み換えでない」表示が消える?

          日本消費者連盟 原 英二(2023年5月10日) 食卓にあふれるGM食品 皆さんが遺伝子組み換え(GM)の表示を目にするのは、納豆や豆腐に付けられた「遺伝子組み換えでない」という表示くらいでしょう。では、日本にはGM食品はないのでしょうか? 答えは「NO」です。大豆、トウモロコシ、ナタネ、ワタは、食用油やデンプン原料等として食品に大量に使われていますが、日本は大部分を輸入していて、そのほとんどがGM作物です。 海外と比較すると、日本のGM表示制度は遅れていて、表示基準は

          4月から変わった表示制度 「遺伝子組み換えでない」表示が消える?

          「困難な問題を抱える女性支援法」施行まで1年、問われる行政の本気度

          戒能 民江(お茶の水女子大学名誉教授/2023年5月10日号) 2022年5月成立の「困難な問題を抱える女性支援法」(以下、女性支援新法)施行(2024年4月)まで1年を切った。2022年秋以降、「困難な問題を抱える女性支援施策の基本方針案」および政省令案の検討が有識者会議で進められ、今年1月から約1カ月間、パブリック・コメントの募集が行なわれた。基本方針及び政省令は、同年3月末公布に至った。 短期間であったが、1000件を超える個人・団体から意見が集まった。詳細は公表さ

          「困難な問題を抱える女性支援法」施行まで1年、問われる行政の本気度

          「加害者」と言われるのは嫌だし  好きにしゃべらせてほしいーーNPO法人3・11甲状腺がん子ども基金「当事者の声をきく」

          (吉田 千亜/2023年4月25日) 3月25日、郡山市のミューカルがくと館で、NPO法人3・11甲状腺がん子ども基金シンポジウム 「原発事故と甲状腺がん 当事者の声をきく」が開催された。基金は、2011年の福島原発事故以降に甲状腺がんと診断された子どもを支えるために設立。療養費給付事業「手のひらサポート」の支援を受けた子どもは180人にのぼる。 2年前、初めてオンラインで顔と名前を出して登壇した林竜平さんは会場で参加し発言。女性当事者からのボイスメッセージ、そして鈴木さ

          「加害者」と言われるのは嫌だし  好きにしゃべらせてほしいーーNPO法人3・11甲状腺がん子ども基金「当事者の声をきく」

          「会計年度任用職員制度」から3年  行政サービスの劣化と格差拡大を生む「差別雇用」

          (2023年4月25日号) 3月19日、「公務非正規女性全国ネットワーク(はむねっと)」は結成2周年集会を開催した。保育士、図書館司書、博物館学芸員、社会教育指導員、婦人相談員…等々、正規の公務員と変わらぬ仕事をし、高い専門性を持つ彼女たちだが、雇用契約期間は1年。「会計年度任用職員制度」で更新は2回までと定められており、継続して働きたい場合には3年後に新たな公募に手を上げるしかない。 制度開始から3年目を迎えるにあたり、はむねっとは実態調査や総務省交渉等を行ない、全国1

          「会計年度任用職員制度」から3年  行政サービスの劣化と格差拡大を生む「差別雇用」

          日本の教育の現在地③──為政者への恭順と服従を求めた「改正」

          本田由紀(東京大学教授/3月25日号) 現在の日本の教育を方向付ける根拠法となっているのが、2006年に変更された教育基本法である。変更前の旧教育基本法は、敗戦後に成立した日本国憲法に基づき、新たに民主的な教育を実現してゆくための理念や原則を定めるものとして、1947年に成立した。 ▼悲願の教育基本法「改正」 自由民主党は、1955年の結党以来、日本国憲法と旧教育基本法(以下「旧法」と略記)の「改正」に意欲を示し続けてきたが、長きにわたり実現に至らなかった。 しかし20

          日本の教育の現在地③──為政者への恭順と服従を求めた「改正」

          311甲状腺がん裁判④ 「私たちは今、匿名で闘っていますが、 一人ひとりに名前があります」

          (2023年2月25日号) 第4回「311子ども甲状腺がん裁判」では2人の原告が陳述を行なった。「原告4」の男性と、「原告7」の女性。2人とも20代の若者だ。 「いっそ、死んだ方が楽」 男性は、大学2年生の時に甲状腺がんが見つかった。がんと共に生きる生活は7年。発見した時のこと、初めての手術のこと、淡々と落ち着いた声で語っていたが、何度か、言葉をつまらせた。 「暗い手術室の中で痛みに耐えながら、声が出ないことに強い絶望を感じた。静まりかえった部屋の中で、ひたすら鳴り続け

          311甲状腺がん裁判④ 「私たちは今、匿名で闘っていますが、 一人ひとりに名前があります」