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#154 VCファンドの最適なフォローアップ投資のリザーブ比率は?

先週はサンフランシスコから約1時間半ほど離れたワインカントリーであるソノマでチームオフサイトがありました。正確には姉妹ファンドのGFRのオフサイトで、昨年までは私が運営するファンドのチームメンバーは私一人だけで、私がGFRのオフサイトに参加する形式でした。しかし、今年からは私たちのファンドもチームメンバーが増えたので、敷地内で別の場所を設けて、来年の投資戦略からメディアプランまで様々なトピックについてチームメンバーと話をいたしました。2024年も多くの活動を本格的に展開していくことを考えると、もうすでにワクワクです!

オフサイトが行われたSonomaのFairmontホテル

フォローオン投資用のリザーブ(follow-on investments reserve)をどれだけ確保しておくかは、VCファンドの非常に重要な投資戦略の一つです。これを示すリザーブ・レーシオは、ファンドの何パーセントがフォローオン投資(follow-on rounds)のために確保されているかを表します。

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ここで、投資可能資金が100億円あり、リザーブ・レーシオが30%のVCファンドがあるとします。 このファンドは、スタートアップの初回投資に70%を使います。このVCがシードステージに集中するファンドの場合、約70億円をシードステージのスタートアップ投資に回します。一部のポートフォリオ企業が成長するにつれて、シリーズAラウンドのような中・後期ステージのラウンドの資金調達を行います。すると、このVCは30億円を使って、ポートフォリオスタートアップのシリーズAとBのような後続ラウンドに投資することになります。

ここで重要な質問は、VCファンドのリザーブ・レーシオをどの程度にすべきかです。30%、40%、または0%。どれが正解でしょうか?レーシオを高くする一般的な理屈の1つは、VCは投資したスタートアップについて、情報の非対称性により、誰がうまくやっていて、成功する可能性があるかを知っているため、他の投資家よりも先に投資をすることで、ファンドの潜在的なリターンを高めることができるということです。OpenAIの本社から近くにオフィスを構えるシリコンバレーのとある有名なVCは、このような理由でファンドの60%以上の資金をリザーブとして確保しています。

一方で、リザーブが少ないVCファンドは、スタートアップのバリュエーションがはるかに低い(つまり、はるかに「安い」)ときに、可能な限り多くの資金を投資する方がより良いと主張します。スタートアップが後続ラウンドで資金を調達するほど企業価値が上昇するため、VCファンドは同じ会社の株式をはるかに高い価格で取得することになります。シードラウンドでスタートアップの10%の持分を確保するために10億円を100億円のバリュエーションで投資したとします。しかし、シリーズAラウンドで同じ10億円を500億円のバリュエーションで投資した場合、同じ投資額で2%の持分しか得られません。このため、一部の有名な(特に小規模)VCは準備金比率を20%未満に割り当てます。

VCファンドの平均リザーブ・レーシオは約30~40%程度というデータがあります。 また、一部の人々は成功したVCの特定の比率を提示することもあります。しかし、重要なことは、リザーブ・レーシオが高いVCも、低いVCも成功事例があるということです。つまり、誰にでも通用する黄金比というものはないのです。

これは、VCファンドを運用するGPの能力と経験によって異なるべきです。 例えば、フォローアップ投資は初回投資とは異なるスキルセットが必要です。初回投資は本当に得意だが、フォローアップ投資はそれほどでもないVCであれば、リザーブ・レーシオを下げるべきです。その逆もまた同じです。つまり、それぞれのGPに合ったリザーブ戦略を立てることが重要です。

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