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#183 LPより500回「No」と言われる、VCの1号ファンドのローンチ

私は約10年前からロボット掃除機であるルンバを使ってきました。長い間、週末の掃除時間を少しでも節約してくれたとても便利なやつだったのですが、1年前くらいに壊れてからそのまま使っていませんでした。ところが、先日コストコに行ったらちょうど新しいモデルのルンバを安く売っていたので買い直しました。今回購入したモデルが最上級モデルではないにもかかわらず、10年間で本当に多くの進化を遂げたと感じています。室内地図もかなり正確に描けるし、掃除の品質自体もかなり良くなりました。今はグーグルホームにも接続されているので、毎朝「Ok Google, start vacuuming」と呼び掛ければ、我が家のリビングとキッチン、玄関をきれいに掃除してくれます。やはりヒューマノイド型の普及は相当時間がかかるだろうし、このように一つの機能をうまくこなすロボット(自動運転もその一つと言えます)のがゆっくり、そして少しずつ影響を大きくしていくのかもしれません。


一般的にファンドごとのLP数が少ない日本ではあまり知られていませんが、米国のベンチャーキャピタルファンドはファンドごとに100人以上のLPを持つ場合が多いです。 この情報は、米国証券取引委員会(SEC)に義務的に提出しなければならないADVというフォームを通じて確認することができますが、これを通じて各VCのファンドレイジング状況を少し垣間見ることができます(我々GREE LP FundはSECに登録されているRegistered Investment Advisorです)。

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大型のトップティアファンドでもこの傾向はよく出ています。アンドレセン・ホロウィッツの2022年ファンド「AH 2022 ANNUAL FUND, L.P.」のLPの数は約156です。ファウンダーズファンドの「THE FOUNDERS FUND VIII ENTREPRENEURS FUND, LP」のLPの数は80、ユニオンスクエアベンチャーズの「USV 2022, LP」は157社のLPを抱えています。

このパターンはもちろん、新興VCにも当てはまります。元グーグルCEOのエリック・シュミット氏が率いる投資会社シュミット・フューチャーズ出身のジョーイ・ワインバーグ氏が率いるEx/Anteの最初のファンドには101社のLPが参加しています。GenZ投資家として名を知られているページ・ドハーティ氏が率いるBehind Genius Venturesも100社以上のLPから資金を調達し、デビューファンドを立ち上げました。ベテラン投資家であるトーマス・トゥングース氏が設立したTheory Venturesも例外ではなく、92のLPから資金を調達しました(GREE LP FundはEx/AnteとBehind Genius VenturesのLPです)。

しかし、この数字は全体像の一部に過ぎません。VCが100回の「Yes」を得るためには、おそらく300回、400回、あるいはそれ以上の「No」をLPから受けたことでしょう。このような過酷な状況なので、最初のファンドや2号ファンドの資金調達に1年以上かかることも少なくありません。 このため、スタートアップが資金を調達するよりも、VCファンドを組成する方がはるかに難しいと言う人もいます。

しかし、面白いことに、このような困難な道のりが、新興ファンドがベテランのファンドよりも優れたパフォーマンスを発揮する理由の一つでもあります。限りないポジティブな考え方と絶対に諦めない精神でファンドを立ち上げるまで数多くの拒絶を乗り越えた新興VCは、自分の価値を証明し、苦労して得たLPの信頼を正当化するために精一杯頑張ることになります。言い換えれば、彼らは自分たちのファンドを成功させるために本当に一生懸命働くことになるのです。

さらに、ファンドレイジングの難しさをよく知っている新興VCは、自分のビジョンを信じてくれる初期LPとの関係を重要視するようになります。私自身も、本社のGREEからアンカー資金を受けたものの、外部からも資本を調達しています。そのため、そのダイナミクスをよく理解していますし、我々の今のLPとの関係性をとても重要に考えます。私は新興VCのポートフォリオファンドのGPと一緒に仕事をするのがとても楽しいですが、それはお互いに信頼関係が築けているからだと思います。我々のLPの方々も私と一緒に仕事をするのが楽しいと思ってくれたら良いなと思います!

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References:

Investment Adviser Public Disclosure website - https://adviserinfo.sec.gov/

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