見出し画像

#180 重要な違い:ファンドの3倍 vs 投資金の3倍

先週は平日に娘を預かってくれるナニーが有休を取ったので、私も家族旅行に行くことにしました。飛行機に乗るのはちょっと面倒なので、サンフランシスコから車で5時間ほどかかるLA近郊のビーチと大学都市であるサンタバーバラと、その中間にあるカリフォルニアのもう一つの有名なワインタウンであるパソロブルに行きました。子供と一緒の旅行なので、海辺でゆっくり休んだり、ワインテイスティングを楽しむような旅行とは程遠いものでしたが、娘と一日中一緒に過ごせただけでも、旅のやりがいを感じました。 また、いつもナパとソノマの影に隠れて特に興味を持てなかったパソロブルには、いつかもう一度行ってみようと思いましたね!

パソロブルのAirbnbにて

ベンチャーキャピタリストとして良い投資を行うことは最も重要なことです。しかし、それだけではありません。ファンドの「財布」を効果的に管理することも同様に重要です。これがGPがファンドマネージャーとも呼ばれる理由です。

theLetterでニュースレターを購読 & ポッドキャストで聞く

GPは2種類のウォレットを管理します。1つは運用会社のためのウォレット、もう1つはファンドのためのウォレットです。下の図で緑色のボックスとルビー色の丸で表している部分です。

ファンド用のウォレットからは、スタートアップへの投資金以外に、監査、ファンド管理、保険などのその他の費用を払います。その中でも管理報酬が最も大きな費用です。ほとんどの場合、GPはLPと会うための出張費など、ファンドレイジングに必要な活動にもファンドの資金を使用することができます。したがって、GPがこのウォレットをどのように活用するかによって、ファンドのパフォーマンスに直接影響が出ます。

基本的に、投資関連以外の費用が多ければ多いほど、投資に回せる資金が少なくなります。例えば、100億円規模のファンドでGPが年間3千万円の費用を支出した場合、10年間合計3億円、つまりファンドの3%に相当する費用が発生します。これに毎年約2%、10年間で20%の管理手数料を加えると、総費用は約23%に達し、77%が投資可能な資金として残ります。 したがって、100億円のファンドであれば、スタートアップ投資に77億円が使えるようになります。

このファンドからのスタートアップへの投資金が10年間3倍になったと仮定してみましょう。一見良い収益率に見えますが、これはファンドの収益ではなく、純粋な投資金の収益です。 これはLPからすると、3倍の77%である2.31倍の収益率になります(Net Return)。LPが3倍の純収益を達成するには、投資額が4倍に近い3.9倍に増加する必要があります。全てのスタートアップ投資が平均4倍程度にならないといけないということです。GPが3倍の純収益を出すのが容易ではない理由でもあります。

Management fee recycleや成功報酬など、他の様々な要因によって上記の計算は異なりますが、重要なのは、最終的にファンドレベルで魅力的な収益(純収益)を生み出すためには、GPはファンドの財布をよく理解し、管理しなければならないということです。

theLetterでニュースレターを購読 & ポッドキャストで聞く

References:
How VC Funds Work – Structure Chart for Venture Capital Fund (US Fund) - https://www.theventurealley.com/2011/02/how-vc-funds-work-typical-fund-structure/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?