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#171 スタートアップの持分、VCはどれくらいを狙うべきか?

先週末は友人たちと一緒に久しぶりにキャンプに行ってきました。家から1時間もかからない場所に行きましたが、ここは本当にシリコンバレーかと思うほど、電波もない茂った場所でした。日本のキャンプ場に比べれば、アメリカのキャンプ場は何の施設もなく、ただ山の中で寝る感じです。しかも今回はずっと雨も降って気温もかなり低く、かなりのハードなキャンプでした(興奮していたのは娘だけ)。それでもキャンプの良いところは、大変だからこそ他のことを考えずにその瞬間に集中できるという点だと思います。今回もその点に関しては余裕で目的を達成した感じです。

雨と風の中でのキャンピング、喜ぶ娘

スタートアップのキャップテーブル会社であるCartaが発行しているニュースレターであるData Minuteの最新版で、各投資ステージでどの程度持分が希薄化されるかについて取り上げました。 かなり面白い内容でしたが、例えば、初期段階になればなるほど、マクロ環境に関係なく希薄化される程度があまり変わらないということです(実際のバリュエーションと投資額も変わりません)。下のチャートの通り、過去4年間シードラウンドはあまり変化していません。

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しかし、私がこの記事で強調したいのは、このデータはシード投資家が投資を実行する際に、どの程度の持分を取るべきかを考える上で有用なデータポイントになるということです。以前の記事で何度も述べたように、一般的に「ファンド・リターナー(Fund Returner)」という概念は、持分目標について考える際に非常に有用です。これは基本的に、ユニコーンの企業価値で投資先がエグジットする際に、投資額全額を回収できる必要があるという概念です。例えば、Aという会社が10億ドル、つまりユニコーンバリュエーションで買収されたとします。次に、XというVCが1億ドル規模のファンドを組成し、この会社の株式の10%を所有しているとします。A社の買収が無事に成立した場合、Xは1億ドルの投資リターンを得ることになります。 ファンドサイズと同じサイズの投資リターン、つまりファンドリターナーになるのです。

スタートアップはステージが進むにつれて、より高い価値でより多くの資本を調達するため、シード投資家の持分は徐々に希薄化されます。 そのため、ファンドが投資した時点でシード投資家が10%の株式を所有していたとしても、投資回収時点での実際の持分はかなり低くなります。上のCartaのチャートからわかるように、10%の持分を所有しているシードラウンド投資家の場合、シリーズA段階では20%希薄化され、持分は8%になります。

もし、あるスタートアップがシリーズDでエグジットすると仮定し、上記チャートのデータの中央値通りに希薄化されると仮定すると、エグジットするタイミングでは、シード投資家の出資比率は初期ラウンドの半分以下になります。スタートアップAとVC Xの例をもう一度使うと、VC Xがシード投資時に10%の持分を持っていたとしても、実質的にエグジットをするタイミングでは5%以下の持分を保有することになります。 単純に考えると、VC Xはシード投資時に20%の持分率を目指すべきということを意味します。 もちろん、実際にはほとんどのファンドがfollow-on投資のためのReserveを確保しているため、それを反映して持分目標を設定する必要があります。

ファンドマネージャーのポートフォリオモデルの構築を支援するTactycのような専門的なサービスもありますが、今回のCartaのデータは、VCファンドマネージャーが所有権目標について考える上で大きな助けになると思います。

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