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書評『愛と死・そして「再生」~最後の40日』

1 書評作品の紹介

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出版社(受注サイト):

 今回は、「増補改訂版」の書評となります。

2 書評

『存在と時間』(ハイデガー先生の主著の一つ)の巻頭言にこうある、

あらゆる存在了解内容一般を可能にする地平として時間を学的に解釈することが、以下の論述のさしあたっての目標なのである。

 思うに、この「あらゆる存在了解内容一般を可能にする地平として時間」は、簡明に言うと、「変化」ではないだろうか?
 そして、この「変化」には、人類のみならず、例外なく、あらゆる全ての生物が最終的な到達点として臨まなければならない「『瞬間』という時間」即ち「死」が、当然ながら在る。
 私達人類だけではなく、動物や昆虫、ごく一部の、ほぼ脳の無い生物ですらも、「死」と言う存在並びにその内容を了解しているのである。

哲学で、事物や事象を成立させ、また、表面に現れている実質・意味。
内容(ないよう)の意味 - goo国語辞書
物事の内容や事情を理解して承認すること。了承。
了解/諒解(りょうかい)の意味 - goo国語辞書

 そして、「死」と言う存在を創り出す(可能態)「変化」即ち「時間」は、「地平」即ち「形式」つまり「一方通行」なのである。

哲学で、事物や事象の成立・発現のしかたやその構造、またそれらの関係などを抽象したもの。
形式(けいしき)の意味 - goo国語辞書

 生物は死後、その存在は、「決して二度と存在せずに、永遠に存在しなくなった存在。」となるのだ。これが「形式」であろう。
 しかし、「内容」はどうだろうか?これは、一方通行だろうか?いいや、そうでも無いだろう。少なくも、私達に、「意識」並びに「学習」そして「愛」が有れば、多通行となるであろう。思うに、それこそが、「学的に解釈する」ということではないだろうか?そして、芸術の存在意義並びにその深奥さは、そういうものではないだろうか?

「模倣」(再現)を行い、「模倣」(再現)によって学び(真似び)、また「模倣」(再現)されたものを見て悦ぶというのは、人間の本性に根ざした自然な傾向であるとして、詩作をそうした人間性質の反映の一種(「人間の営為」の「模倣」(再現))として捉え、その性質の完成という目的(テロス)に向けた発展過程として、詩作的営みの全体像を説明しようとしている。
詩は人心が発露したものである。人心にあるのが志で、これが言に発されて詩となる。心の中で感情が動けば、自ずと言葉に表れる。言葉に表しただけでは足らず、そこでこれを慨嘆し、慨嘆しても足らず、更に長く声を引いて歌う。歌ってもまだ足らず、そのまま覚えずして手が舞い、足を踏むようになる。

 まつおさんのご家族のことについて、私は、言葉を以て表現すれば、「たたただ黙って頭を下げばかり」という想いを以て、哀悼させて頂きます。
 そして、まつおさんのご決心と力作(同様に、後に紹介させて頂く画家のゆめのさん)から、「芸術の善き実用化」(究極の例が、療養や救済など)について、哲学的な創造の志をさらに高めることが出来ました。
 祖国ベトナムでも、本当に残念な惨状が続いております。

 医学や臨床哲学等、「死を阻止して、生を継続させる。」というものと、「死後の支援や救助」という分野の中に、「芸術」をさらに見出していきます。

3 結語

 今回、まつおさんと出版社「みこちゃん出版編集部」のおかげ様で、増訂版を拝読させて頂くことが出来て、嬉しい限りです。また、まつおさんのご健康やご前進ぶりが、何よりも嬉しいことです。
 また、増訂版の拝読後に、微力ながら、画家である「ゆめの」さんの応援をさせて頂くことになりました。


ありがとうございます。心より感謝を申し上げます。