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獣医師ふーちゃんのやりなおし感染症

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#感染症

あなたは誰ですか?ファーミキューテス門の細菌たち:phylum Firmicutes

あなたは誰ですか?ファーミキューテス門の細菌たち:phylum Firmicutes

動物業界向けの色が強い記事です。わかりにくい用語があったらすみません。

犬や猫の腸内細菌の論文を読むと、さまざまな細菌が出てきます。
犬や猫で細菌による感染症はよくあるのですが、実は病原性のある菌というのは限られています。犬や猫の体に常在細菌として存在する細菌はさまざまな種類があり、ごく一部がたまに悪さをして私たちの目に留まります。

腸内細菌の論文を読むと、普段は悪さをしない菌、つまり臨床業務

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犬とキスしない方がいいのはどうして?

犬とキスしない方がいいのはどうして?



※本来細菌の名前はイタリック字体で示すべきなのですが、変更の仕方がわからずそのまま表記しています。変更の仕方が分かり次第、修正します。お見苦しく申し訳ありません。

犬の胃袋には主にLactobacillus属菌(ラクトバシルス、乳酸菌のひとつ)とHelicobacter属菌がいます。

ラクトバシルスは乳酸菌として有益であり、胃から肛門まで腸管のいたるところに存在しています。
Helicob

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細菌と動物の熱き戦い~グラム陽性菌編~

細菌と動物の熱き戦い~グラム陽性菌編~



自由研究のヒント
グラム陽性菌は分厚いペプチドグリカンという糖からなる壁をもっているよ!
動物の粘液に含まれるリゾチームはこのペプチドグリカンをぶったぎって殺菌的に働くよ!!!

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 グラム陽性菌は体の外側にペプチドグリカンという糖の一種でできた分厚い層があります。(グラム染色の過去記事はこちら)
犬猫や人の体はこうした細菌と戦うための武器をいくつ

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細菌と動物の熱き戦い~前日譚グラム染色編~

細菌と動物の熱き戦い~前日譚グラム染色編~



自由研究のヒント

細菌感染症の治療を考える時に、細菌の特徴を知る重要な検査にグラム染色があります。
青紫に染まるのがグラム陽性菌(ペプチドグリカン層が一番外側)
赤色に染まったように見えるのがグラム陰性菌(LPSなどが一番外側)です。

グラム陽性菌は、赤い色を加えないと透明なままです。原理としては、ペプチドグリカン層の厚さで細菌を区別しているのです。
この一番外側がペプチドグリカンなのかL

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生物の名前ってどうやって決まるのかな?

生物の名前ってどうやって決まるのかな?



自由研究のヒント:
生き物の多くは二名法という方法で決まっている学名があるよ!正式名称だね。
例えば犬はCanis lupus familiaris っていう学名なんだ。
”Canis 家のlupus familiarisくん”というイメージだよ♪

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そういえば今話題の新型ウイルス感染症の件でひとつ興味深いこと読んだので今日は生物の名前について投稿します。

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草食動物の抗菌薬は難しい(獣医師ふーのやりなおし感染症シリーズ)

草食動物の抗菌薬は難しい(獣医師ふーのやりなおし感染症シリーズ)



ウサギや馬の盲腸には、セルロースを分解して栄養素を作ってくれる細菌などの微生物がたくさん!
だから、細菌をやっつける抗菌薬はモノによっては酷い下痢を起こすこともある!
使える抗菌薬の種類は犬や猫より少ないんだよ!

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ウサギは我々小動物診療獣医師にとって犬や猫とはまた別の注意ポイントがある動物です。

ウサギさんは植物から摂取した植物繊維を腸管の中に住ん

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