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あなたは誰ですか?ファーミキューテス門の細菌たち:phylum Firmicutes
動物業界向けの色が強い記事です。わかりにくい用語があったらすみません。
犬や猫の腸内細菌の論文を読むと、さまざまな細菌が出てきます。
犬や猫で細菌による感染症はよくあるのですが、実は病原性のある菌というのは限られています。犬や猫の体に常在細菌として存在する細菌はさまざまな種類があり、ごく一部がたまに悪さをして私たちの目に留まります。
腸内細菌の論文を読むと、普段は悪さをしない菌、つまり臨床業務上はあまり聞かない菌がたくさん出てきます。そのたびにこの菌はなんなんだ、誰なんだと思っていたので、しばらく犬や猫の腸内に住んでいる菌を調べていきます。
下記の情報はアメリカ国立生物工学情報センターNCBIのTaxonomy browserで調べました。この生き物は生物学ではどんな分類がされているのだろう?と思った時によく使います。
今日はFirmicutes(ファーミキューテス、フィルミクテス)門(phyllum)です。
これは菌種の名前ではなく、様々な種を含んだ群の総称です。
グラム陽性菌で、染色体のDNAのグアニンとシトシンを含む量が25-55mol%で少なめに持つ菌たちをまとめて総称しています。
分類学的にいうと、門phylumのしたには綱class(こう)が続き、その下に目order、科family、属genus、種speciesが続きます。(生物の分類過去記事参照ください)
Firmicutes門を構成するもので所属する代表的な菌の分類は以下の通りです。
Firmicutes門
・Bacilli バシラス綱:
・Bacillales バシラス目
・Bacillacease バシラス科:芽胞を作ります。炭疽の原因になるBacillus anthracisなど病原性のある菌だけでなく、納豆を作ってくれる有益な菌である枯草菌のBacillus subtilis nattoも含みます。
・Staphylococcacease スタフィロコッカス科(ブドウ球菌科):動物の体表にいることの多い菌です。常在細菌としても存在しますが、皮膚炎などの起炎菌になることもあります。人だとブドウ球菌S.aureusが、犬などペットだとS.pseudointermediusなどが皮膚に定着しています。
・Lactobacillales ラクトバシラス網:
・Lactobacillales ラクトバシラス目 :
・Lactobacillaceaeラクトバシラス科(乳酸桿菌):乳酸桿菌として人や動物に有益な働きをもたらします。人やペットの腸内細菌を構成する主要メンバーです。市販されているヨーグルトにもよく入っています。
・Streptococcaceae ストレプトコッカス科:(連鎖球菌科):動物の体表にいることの多い菌です。常在細菌としても存在しますが、皮膚炎などの起炎菌になることもあります。
・Clostridia クロストリジウム網:芽胞を作るクロストリジウム目の細菌が含まれます。Clostridium dificileは抗菌薬を飲んで腸内細菌叢のバランスが崩れた時などに下痢を起こすことがあります。ほかにもClostridium perfrigensは食中毒を起こすなど病原性のある細菌も多いのがこのグループです。
参考
NCBI Taxonomy Browser :https://www.ncbi.nlm.nih.gov/Taxonomy/Browser/wwwtax.cgi?mode=Info&id=1239&lvl=3&lin=f&keep=1&srchmode=1&unlock
犬や猫、ウサギの獣医師です。色々と勉強中の身ですが、少しでも私の経験や知識を飼い主さんや動物に還元していきたいと思います。