「後悔のない人生を歩みたい」起業を目指した彼が、地方企業の事業責任者として挑戦するキャリアを選んだ理由


2年間の期限つきで中小企業の経営者の右腕として働き、経営力やマネジメント力、起業家精神を養う、VENTURE FOR JAPAN(以下:VFJ)の「ステップアップ起業」プログラム。

今回は、2019年、VFJ1期生として岩手県釜石市に本社を置くmaruwamart株式会社に入社。2021年3月にVFJを卒業後も事業統括者として在籍し、現在は事業の全国展開に向けて取り組んでいる山口 俊貴(やまぐち としき)さんに話を聞きました。VFJで2年間の経営実践の場を得た後、その企業に残り、新しくVFJで学生を採用する立場に至るまでの意思決定の瞬間や過去のストーリーに迫ります。

山口 俊貴(やまぐち としき)
佐賀県唐津市出身。大学進学を機に県外での生活を始める。大学在学中からインターンシップに挑戦し、大学3年生の時に復興・創生インターンに参加し、maruwamart株式会社に出会う。

地方や今の企業に接点をもったきっかけを教えてください。

最初のきっかけは大学進学です。大学受験での挫折を経験し、他人と比較してしまうことによる悔しさを経験したと同時に、初めて地元から出ることで地元魅力に気づくことができました。今思うと、この時期が自分のターニングポイントなのかと思います。大学受験での挫折をきっかけに、後悔しない人生を送りたいと思い、在学中は自己成長のためにインプットとアウトプットに励みました。

インプットでは本を年間200冊読むことを決め4年間実行。また、インプットだけではなくアウトプットも兼ねて長期休暇を利用しインターンにも挑戦しました。様々なインターンに挑戦したのですが、その中で大学3年生の時に復興・創生インターンに参加し、今の勤務先であるmaruwamart株式会社に出会いました。

インターン生から新卒入社へ。決心はすぐにつきましたか?

実は最初は、maruwamart株式会社での学びを糧にして、並行でインターンしていた東京のベンチャーに入社したいと思っていました。
当初は、東京のベンチャー企業に魅力的を感じていたのですが、自分の必要性をここでは感じることができないのではないかという感じることがありました。「今自分がやっている業務は他の誰かでもできるのではないか」と。一方で、maruwamart株式会社では自らの意思で、社長にビジネスモデルの提言をする機会がありました。社長に直接提言できる社員が少ない中で、自分にはそれができるという存在意義を感じることができました。思い立ったその瞬間に、maruwamart株式会社の社長に「入社したいです!」とメールを送りました。社長もびっくりしていましたね。笑

山口さんの入社が決まってから、会社がVFJの制度を導入されたと聞きました。V F Jの研修は実際どうでしたか?

会社にとって初めての新卒採用ということもあり、研修制度もなかったため社長がV F Jの制度を導入しました。VFJを介して就職するのが基本だとすると、かなりイレギュラーな流れだったので、実は導入研修を受けるまでは「VFJってなんだろう」と思っていました。

しかし、研修が始まってみると、ボーダレス・ジャパンの鈴木雅剛さん、READYFORの米良はるかさん、メルカリの小泉文明さんといった普通だったら絶対に出会えない著名な方々にお会いすることができて、直接研修を受けられる仕組みが素直に面白いと思いました。特に、株式会社経営共創基盤 代表取締役CEOでIGPIグループ会長の冨山和彦さんにお会いできたことは、自分自身が挑戦しているmaruwamart株式会社の事業再生と冨山さんがJALを事業再生された実体験と少し重ねることができたので非常に嬉しく、勉強にもなりました。

VFJサポーターの皆様との出会いは、VFJだからこそですよね。2年間の「ステップアップ起業」プログラムの中で、特に記憶に残っていることはありますか?

毎月のメンタリング(制度)が一番よかったと思っています。事業課題への取り組みは一喜一憂することが非常に多く、苦しい思いをすることもありました。そんな時に、VFJ事務局の方は自分を否定せずに寄り添ってくれました。人として、経営者として、時には客観的な数字をもとに相談にのってもらうことで、多種多様な意見がもらえる機会でしたし、心の観点でもすごく助かったと思います。新卒入社してからの2年間においてはとても価値のある時間でしたね。

事業課題に向き合う中での苦しい思いもあった反面、やりがいや達成感を感じる出来事はありましたか?

関わってきた事業を休止することがあり、精神的にもかなり追い込まれました。しかし、その経験があったからこそ達成感を得ることもできました。
事業を終わらせる段取りは非常に苦しかったのですが、それでもどうにか事業を終えたとき、「事業は1人ではできない、いろんな人に支えられて成り立つものだ」と改めて気づいたんです。そのとき、今までとは違う責任感が芽生えて、物事が立体的に見えるようになりました。今までは2Dでしか見えなかった世界が、3Dでいろんな角度から見えるようになり、課題を客観的に捉えられるようになっていました。その結果、大幅赤字を抱える事業再生に成功することができ、大きな達成感を得ました。これは事業責任者として迎えた大きなターニングポイントでした。

一喜一憂の中でも忘れられないターニングポイントがあったのですね。現在はどのようなことに注力されていますか?

いくつかありますが、中でも直近では、地域の飲食店の商圏を広げることを目的とした店舗事業に奮闘しています。元々スーパーマーケットとして開始した事業ですが、震災等の環境の変化を経て事業転換し、盛岡駅に訪れるお客様に地域のシェフが作ったこだわり弁当の販売等をしています。

また、このような地域の食文化をつくり、守っているのは飲食店さんです。なので、飲食店さん無しでは地域の食文化を守っていくことができないと考えています。今後は店舗事業を拡大しながら、私たちが飲食店のためのプラットフォーマーになることで、近い将来に「シェフのセレクトショップ」を作り日本全国に広めていきたいと考えています。お客様を喜ばせながら、収益を飲食店の方と一緒に作ることができる「三方よし」を実現したいと考えています。実は明日もこの構想のプレゼンがあります。

王道のキャリアルートとは少し違った道を選んだと思います。後悔することはありましたか?

後悔したことはないです。強いていうなら福利厚生とかは大企業と比較すると正直なところ悪いと思います。ただ、一番大事なのはいかに自ら収益を作り出すか。リターンもそこから得るものだと考えています。なので、私はこの会社に入る前に、会社にコミットすることで自ら収益を作っていきたいと決めました。だからこそ会社を大きくしたいと強く思えますし、人生を面白く生きることができるだろうなと思っています。このような一つひとつの挑戦が後悔しないことに寄与していると思います。

VFJから新しく新卒を採用されますね。決意した背景はありますか?

先ほどお話した店舗事業の拡大に伴い人が足りない状況です。そんな時に、フェアに議論できる存在が欲しいと思いました。そういった人材がいると、実行に向けたスピードが上がっていくはずです。必要な素質はやる気や、適切なコミュニケーションができればよくて、そこに年齢は関係ないと捉えています。むしろ若い方が柔軟に対応できるとさえ思っています。通常の採用サイトで募集するよりもVFJで募集した方が求める人材に出会える印象ですし、1〜2年後に採用した学生が大きな存在になるのではと思い、V F Jでの採用を決めました。

今後の山口さんの目標や挑戦したいことを教えてください。

元々起業したいと思っていましたが、今は、限られた人生を後悔せずにやりきることを特に大切にしています。実際に起業は手段の一つでしかないですし、早まる必要はないと考えています。
ジェフベゾスのAmazonに関する本を読んだときに、通常であれば2〜3年のスパンで事業の構想を考えるけど、これを7年というスパンで考えるとどうだろうかという問いがありました。そうすると、考え方や事業の発展の仕方が変わるということに納得し影響を受けました。まずは、今の会社で長いスパンでできる大きな挑戦に注力した方がいい。ここで得た利益を次に投資する方が、より大きな挑戦に繋がると思っていて、その観点で挑戦し続けたいと考えています。

学生さんに一言お願いします。

自分に合った経営者の下で働くことができるかどうかは非常に重要です。この経営者良いなと思っても、長い目で見ると違うかもしれません。実際、私も東京のベンチャーに決めていたら、素晴らしい経営者のもとで働いていても、自分の存在価値を感じることができていなかったかもしれません。今の会社の経営者のもとで働くからこそ成長できる、と感じた瞬間が大切でした。
どんなに素晴らしい経営者であっても、自分の素晴らしい人生に繋がるとは分からないんですよね。自分自身が活躍でき、存在価値を発揮することができ、成長できるのはどのような経営者がいる会社なのか。また、どんな環境の会社でそこで自分が何をできるのか。そこをしっかりと見極めて選ぶことが大事だと思います。

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