ますこゆき

日曜日のパティシエ。または夜中のビーガンシェフ。ビーガン料理家です。動物性食材を使わず…

ますこゆき

日曜日のパティシエ。または夜中のビーガンシェフ。ビーガン料理家です。動物性食材を使わず、今は自宅のゲートレックテーブルの上でエピキュリズムを追求しています。自分の評価は自分で決めたいのです。

最近の記事

ひょんなことからメルボルンに旅した話と記録(始める前にちょっと番外編)

そういえば、旅から帰ってきて、色々忘れないうちに、と書き始めてしまったけれど、今回の旅行は、行く前にやっぱり、今旅行とか行くべきなのか、やめとくべきなのか、考えたんだ。 世界のあちこちでまだ戦争やジェノサイドが起こっていて、お正月から能登で地震があって多くの人が亡くなって、「こんな時に旅行ってどうなのかな」って一緒に行く妹とも話したんだ。 それでも私たちが今回エイやっと行くことにしたのは実はいくつか理由がある。 まず、妹の家には猫がたくさん(7匹かな)いて、そのこたちが重篤

    • ひょんなことからメルボルンに旅した話と記録(序章)

      2月のあたまにメルボルンに旅をした。 メルボルンはオーストラリアの都市で、世界地図でざっくり見るならば、広大なオーストラリア大陸の一番下、右の端。さらにゆっくり日本からオーストラリアと同じくらいの距離、下に視線を移すと南極がある、というような位置。笑 昨年中から、妹とタイのチェンマイに行く旅を計画していた。Jing Jai Market (ジン ジャイ マーケット)というベジタリアンやビーガンフレンドリーなマーケットに行きたかったから。 当初、妹からパスポートの有効期限を聞

      • かっこいいものは全部教授に教えてもらった

        坂本龍一さんが亡くなってから、自分で思っている以上にバイタルが下がっている。 それはあまりにもたくさんの思考や音楽や素敵だと思うものを、変な例えではあるが、いつも取り込んで自分を作ってきてしまったからなのかな と思う。 その存在が不在である、という寂しさ。 それに適応できないでいる。 小学生の時、「阿修羅のごとく」という向田邦子さんの作品がNHKでドラマ化され、その劇中にYMOの楽曲が使われていた。 ドラマの中に流れるテクノポリスをはじめて聞いた時から私の生活の中の真ん

        • 境界線

          それは不思議な風景だった。 いつも座っている居間のテーブルから見える一面緑の視界の一角、ヒメシャラの鉢の根元から、何か艶のある棒のようなものが、左右に大きく振れながら上に向かって動いている。 そのねっとりとした皮のような艶を帯びたみた目から、とかげ?と思ったがとかげにしては大きすぎる。 一呼吸おくくらいの間があり、蛇だ、と脳が認識する。 蛇がヒメシャラの木を上にむかってがくがくと登っている。枝に巻き付いてスルスルと、ではない。ぐらぐらと、揺れながら上に向かっている。 一番

        ひょんなことからメルボルンに旅した話と記録(始める前にちょっと番外編)

          なぜ君はヴィーガンなのか(黎明期の回想からの今)

          動物性の食材を使わない食生活に変えてみよう、と思いたち、はじめてから約15年が経つ。 当時、毎日新聞社ビルで働いていた私は、ビルの1階にあった流星書房という本屋さんのとある一角に、休み時間になると足しげく通っていた。そこには数は少ないながら、質の良い料理の本が厳選されて置いてあり、どの本も素敵で見るのが楽しみだったのだ。そのなかには当時はめずらしかったビーガンやマクロビの本もあり、今思えばそれはほんとにセンスの良いチョイスで、私はそれをわくわくしながら次から次に手に取って(立

          なぜ君はヴィーガンなのか(黎明期の回想からの今)

          【実験】ビーガンのシュークリーム?!

          シュークリームは、なかなかレシピ通りに作ってもうまくいかないお菓子の代表格のようで。 ましてや、卵を使わない「ビーガン」のシュークリームなんてほとんど未知の領域。(※) 卵黄が入らないとできないお菓子、という位置づけで固定観念もありました。私はいまのところ唯一「ビーガンでは同じようには作れないお菓子」とレッテルのような(レッテル??)をはっていて、順番待ち実験対象リストにも入っておらず、リアル卵がないと作れないお菓子であり、ビーガンパティシエとしてはご縁がないもの、と決めつけ

          【実験】ビーガンのシュークリーム?!

          たまごについてホントのところ 〜その1〜(連日の鶏インフルエンザによる殺処分のニュースに関連して)

          みなさん、卵は好きですか? きらいな人、あんまりいないですよね。 ふわふわでおいしくて、便利で値段もお手頃、いろんな料理に入っています。 毎日の食卓やお菓子作りにも欠かせない便利食材です。 お料理やお菓子を作る人には、よく使う食材の筆頭にあがる優秀な食材だと思います。 そして、その卵ですが、どんな風にして皆さんのお手元まで届くか、ご存知でしょうか。 なんとなーく、卵が産まれるところのイメージって、鶏の巣の中に雌鶏がコロンとたまごを産んで、あたたか~いほわんとしたようなイメー

          たまごについてホントのところ 〜その1〜(連日の鶏インフルエンザによる殺処分のニュースに関連して)

          肉料理をやめた三つ星シェフ

          アラン・パッサール、というシェフをご存知だろうか。 勿論知ってる、という方、なんとなく聞いたことあるかな、という方、様々だと思う。 アラン・パッサールさんは、お肉料理とその火加減のエキスパートであるがゆえ「肉の魔術師」と呼ばれたフレンチの3つ星シェフである。 10数年ほど前、フミコの柔らかな指〜料理の生まれる風景〜という本に出会い、その本の中にまだプロの料理人になる前の狐野扶実子さんが、あこがれのアラン・パッサールさんのレストラン、アルページュの門をたたき働かせてもらう、とい

          肉料理をやめた三つ星シェフ

          断面図でわかるいろんなこと

          海外のビーガンのサイト、またそうでないもの(Cook&DineやBon appétitやマーサスチュワートやパリのリッツホテルやその他たくさん)のレシピサイトや動画を見てみてみまくって、そのうちみる時間が足りなくなって保存して保存して保存しまくっているうちに、そのお菓子の断面図でそれがおいしいか、おいしくないか、がわかるようになってしまった。ほぼ間違いなく。 断面図をとった写真には空気が(気泡というのか)映る。目がかたく詰まって細かい空気が見えない断面図はたべても固くおいし

          断面図でわかるいろんなこと

          天使か宝石か。Viollette de sollies(ビオレソリエス)

          突然ではあるが、無花果(いちじく)マニア、である。マニアをつけて追っかけている食べ物がたくさんあるが、いちじくもその1つだ。他にはヘーゼルナッツ、アーティチョーク、ポワール、桃、あげればきりがない。 こうしてみると、私は幸せだ。黒毛和牛、とかA3ランク?のお肉、とかどこそこの卵の卵かけご飯、とか多くの人がおいしいと思っておいかけているものにまるで興味がない。(勿論ビーガンになる前は小さい頃から手塩にかけた料理を母が作ってくれていたのでお肉もお魚もほんとにおいしくいただいてい

          天使か宝石か。Viollette de sollies(ビオレソリエス)

          veganへの選択肢とその道 part1

          こんにちは。久しぶりのnoteです。 振り返って最初のnoteの記事を見ると、noteはじめた理由に「自分がveganになった理由が始めた当初から変化&進化しているからそれをつづってみようと思った」と書いてあります。 友人、知人からもよく聞かれることがあります。「なんでveganになったの?」と。 以前、バイト先のcafeにステーキ屋帰りのお坊さんが来て、その質問をされました。「なんでveganなの?」と。その時は「余計な殺生をせずにすむから」と答えそうになって、さすが

          veganへの選択肢とその道 part1

          クランブルマニア

          朝起きた時のこと、枕の横、シーツの上にお菓子の屑のようなものが少しだけ散らばっていた。 きっと夜中、ベッドにパウンドケーキでも持ち込んで食べてその屑が落ちてしまったのだろう、とさっさと屑を片付けた。 私は以前摂食障害もちで、その症例の1つとして、寝ている間の夜中や明け方に、顕在意識が働かない間ほとんど無意識で甘いものを食べる、という慣習があり、その慣習も長年続いた。 最近ではその夜中に無意識に甘いものを食べることもほとんどなくなったが、昨晩も久しぶりに試作で焼いたパウンド

          クランブルマニア

          空気が必要なんです

          いまだに、菜食やビーガンのお店を紹介するテレビ番組などで、レポーターが 「ニューヨークでビーガンのお店に入った時に鳥の餌たべてるみたいだったんですよね、それとはだいぶイメージちがいますね」 みたいなコメントしてる人!!いますね〜、多いですね〜。 い・ま・だ・に、よく見ます。 確かに、卵も入らなければ、グルテンフリーだったりするとさらに、がちんがちんの目の詰まった重ーい塊、のようなお菓子やパンに遭遇してしまうこともありますが、今はだいぶそうでないものの割合が増えてきたのではな

          空気が必要なんです

          そろそろ色々本格的に

          はじめまして。vegan料理家のますこゆきです。 今ちょうどネットショップオープンに向けたスイーツの試作を重ねていて、やっと自分の厳しい合格点をパスしたものが6種類できあがりました。 世の中はコロナウィルスの蔓延でストレスもマックス、テンションはだだ下がり状態ですが、医療関係従事者の方々、罹患されている方々、飲食業や旅行業などなど、実際に仕事が継続できなくて心が潰れそうな方々の気持ちを考えようとするだけで大きな得体のしれない何か、例えるのがむずかしい『何か』にボディブロー

          そろそろ色々本格的に