見出し画像

クランブルマニア

朝起きた時のこと、枕の横、シーツの上にお菓子の屑のようなものが少しだけ散らばっていた。
きっと夜中、ベッドにパウンドケーキでも持ち込んで食べてその屑が落ちてしまったのだろう、とさっさと屑を片付けた。

私は以前摂食障害もちで、その症例の1つとして、寝ている間の夜中や明け方に、顕在意識が働かない間ほとんど無意識で甘いものを食べる、という慣習があり、その慣習も長年続いた。

最近ではその夜中に無意識に甘いものを食べることもほとんどなくなったが、昨晩も久しぶりに試作で焼いたパウンドケーキでも食べていたのであろう。

翌朝。また起きると、枕の横にクッキー屑のようなものが落ちている。
昨日より若干量が増えている。
はて。
またアウトオブコントロールになりつつあるか。
落ちている場所もいつも枕の左側。
昨日は何を食べたのだろう。どうやら散らばっているのは大好きなクッキークランブルのようだ。

そしてまた次の朝。
またクッキークランブルが枕の左側に。日に日に量が増えている。

朝起きると、枕の左側に盛られているクッキー屑のようなものはだんだんこんもりと山のようになっていった。
その頃からか、日中歩いているとまっすぐ歩けなくなった。
まっすぐ歩いていると、左に回転してしまう。

暑いし自律神経もこの暑さで参っているのかもしれない。


朝テレワーク前に顔をあらって鏡を見た。

背面の化粧水やシャンプーなどのストックを入れいる棚が顔の向こうに透けてうっすらと映っている。
??
半分透明???
んなわけない。いや、ある。

気にしない気にしない。

翌朝も起きると枕の左側にはこんもりとクッキークランブルが盛られていた。

ベッドの上のクランブルの量は日に日に増えていき、体もほとんど透明になってしまった。

夏がそろそろ終わりに近づいたある日、朝日の中、ベッドの上にはクランブルだけが地図のように身体の形にちらばっていた。

(BGMはプライマルスクリームの  "Rocks" 大音響で。)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?