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たまごについてホントのところ 〜その1〜(連日の鶏インフルエンザによる殺処分のニュースに関連して)

みなさん、卵は好きですか?
きらいな人、あんまりいないですよね。
ふわふわでおいしくて、便利で値段もお手頃、いろんな料理に入っています。
毎日の食卓やお菓子作りにも欠かせない便利食材です。
お料理やお菓子を作る人には、よく使う食材の筆頭にあがる優秀な食材だと思います。

そして、その卵ですが、どんな風にして皆さんのお手元まで届くか、ご存知でしょうか。
なんとなーく、卵が産まれるところのイメージって、鶏の巣の中に雌鶏がコロンとたまごを産んで、あたたか~いほわんとしたようなイメージ、あるかもしれません。

しかし、一般的な採卵養鶏において、まずオスのひよこは産まれてすぐ生きたままシュレッダーにかけるか圧殺するか窒息させるかガスで殺すかして、殺処分されます。
卵を産まないから(卵を採る上で生産性がないから)、です。

日本では巨大なコンテナの中に、不要な卵のカラといっしょに生きたままどんどん放り込まれ、上から積み重ねられるにつれて、下のほうの雛を圧死させる、という方法が多くとられているようです。いちばん苦痛が長引く方法、とも言われています。

昨年末くらいから、テレビやネットで、鳥インフルエンザに養鶏場の鶏が感染し、何万羽殺処分した、というニュースが連日流れていますね。
大きな窓のない工場みたいな、体育館を巨大にしたような建物に、防護服を着た人たちが入っていく。
ちょっと怖い映像もニュースで流れるので、え?自分が食べてる鶏の卵と、この何か怪しい建物、何か関係あるのかな?と思った人もいるかもしれません。
もとい、自分が食べてる卵とこの怪しい風景、特に何ら関係ないと思っている人が大半であるかもしれません。
あの怪しい建物の中にはメスの鶏が何万羽もケージにぎゅうぎゅうに入れられて卵を産んでいます。
鳥インフルエンザが見つかると、防護服を着た人たちはこの建物の中に入って、みんなが大好きな「卵」を産んでくれてる鶏を殺しにかかります。

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大半は感染していない鶏ですが、感染した鶏がみつかるとすべて殺処分しなくてはいけないので、元気な鶏も手づかみでケージから1羽ずつ取り出して大きなプラスチックのバケツに移し替え、炭酸ガスを注入し続け殺します。鶏は突然の殺戮に激しく鳴き暴れます。それを延々と何時間も繰り返し続けて大きな窓のない灰色の建物の中の鶏を全部殺します。
「殺処分しました」とニュースでさらっと言っていますが少し細かく書くとそういったことになります。しかも今回、前例のない100万羽以上、というニュースもあり、驚愕しました。

なんでこんな具合の悪くなるようなことをわざわざたくさん書いているかというと、海外のサイト等で動物愛護団体の発信する、鶏がぎゅうぎゅうに大きな工場(ファクトリーファーム)のような鶏舎にパンパンに入れられて劣悪な環境で飼育されている映像をご覧になったことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、あれはどこか遠い国の話ではなく。日本も一緒なんです、ということをお伝えしたかったからなのです。

みなさんが「おーいし~!」といって毎日食べてる卵も、ほんとは地面の上を歩きたいけど、細い金網の上でうまくつかまれず不安定で足がぼろぼろになりながらなんかよくわからないけど前後左右に他の鶏たちと身動きとれないくらいにくっつきながら落ち着かない中で鶏のお母さんが産んだ卵だ、ということをまず知ってみてほしかったからなんです。
擬人化とかしているわけではなく、動物愛護でもなく、鶏の生態や習性からお話しするとファクトリーファームは家畜にとってまさに生き地獄、ストレスマックスの修羅場、というわけです。

鶏の生態や習性は、自分たちがイメージしているものと異なるところもあり、知らない方かほとんどだと思うので、以下のリンクからぜひ見てみてください。
https://www.hopeforanimals.org/broiler/408/

え?でも自分は平飼いの卵を使ってるし、うち鶏飼ってるし!私関係ないもんね!と思ってる人、いるかもしれません。
でも残念ながら、そういう話でもないかもしれません。それとは別のところにある問題なんです。
なぜって?
日本でケージ飼育されている鶏は全体の何割かご存じでしょうか?
約9割です。
平飼い卵使ってるから食べてるからダイジョブだもんね!派の人は、全体の1割の動物福祉に適合した環境の鶏を使っている、食べているのですが、日本全体で考えたら、その他多くの9割がの劣悪環境で骨もぼろぼろになりながら、ケージの金網の上で、抗生物質の入った餌を食べさせられながら産まされている、そんな卵を使い食べているんです。
1割に属していても、9割はなくならずに確実に存在しています。
少し別のことで例えてみるならば、世界中で今なお餓えに苦しむ人々が無くならない状況であるけれど、自分はスーパーの売れ残り野菜やもったいない野菜を使ってフードロス軽減に加勢しているので飢餓には関係ない、というような感じかもしれません。しくみそのものを根本から変えていくことをしないと問題は何も解決せずそのまま進行してしまう、というのがほんとのところです。

じゃあ、もっとみんな鶏がうろうろできる平飼いの環境にすればいいじゃん!そう思った人もいるかもしれません。
それこぞが本題で、その考え方はアニマルウェルフェアといって、もともとは1965年にイギリスではじまった運動です。
消費者が声をあげて、いくら家畜とはいってもこんな劣悪な環境下で搾取された動物を食べるのはやめたい、家畜の習性や生態を科学的な裏づけから、人間様に食べられちゃう前の期間の短い間だけど、動物の精神衛生面も含め健康が保たれるよう定められた動物福祉の考え方なんです。
いまから8年も前の2012年から、EU諸国では、工場の中に鉄のケージ(バタリーケージ)での飼育ぎゅうぎゅうに鶏を並べて卵産ませるというのは禁止されています。8年も前に、です。
日本でアニマルウェルフェアという言葉の認知度は約4%、100人のうち4人ほど、だそうです。

日本だと、ちょっといいスーパーや道の駅的なところに行くと”平飼い卵です!”と大々的に見出しをつけて別枠の小さなスペースで売られていたりしますが、その他はほぼ、大きな体育館の中の鉄のケージにぎゅうぎゅうパンパンに入れられて骨が折れたりしながら産んだ卵です。
「今日、〇〇で卵めっちゃ安かった~!99円でセールやってた!!」みたいな卵は100%間違いなくケージの中で劣悪環境で雌鶏が産んだ卵です。
なので、今自分が買おうとしている卵やお肉が安かった場合。なんで自分はこの卵やお肉をこんなに安く手に入れることができているのか?を、まず卵安い!嬉しい!の前に?疑問を持ってみてほしい、うたがってみてほしいんです。

なんで〇ックのハンバーガー100円なの?
なんで、どこぞの焼き肉屋さんの食べ放題あんなに安いの?
なんでスーパーのアメリカのステーキ用のお肉、あんなにおっきくて安いの?

全部理由があるのです。
そして次回は、ここからが本題の、また昨年末からの「元農林水産大臣が辞職」したニュースにつながっていきます。

to be continued

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