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【実験】ビーガンのシュークリーム?!

シュークリームは、なかなかレシピ通りに作ってもうまくいかないお菓子の代表格のようで。
ましてや、卵を使わない「ビーガン」のシュークリームなんてほとんど未知の領域。(※) 卵黄が入らないとできないお菓子、という位置づけで固定観念もありました。私はいまのところ唯一「ビーガンでは同じようには作れないお菓子」とレッテルのような(レッテル??)をはっていて、順番待ち実験対象リストにも入っておらず、リアル卵がないと作れないお菓子であり、ビーガンパティシエとしてはご縁がないもの、と決めつけていたものです。

いまやアクアファバ(豆の煮汁を卵白の代わりに使う)の登場で、卵白の代わりになるものが存在するので、ビーガンでも工夫しさえすればメレンゲのお菓子が同じように作れるようになりましたが、『卵黄』これについては、代用品、とうたわれるものは数あれど、レシピの卵黄の分量をその代用品に置き換えてみたところで、まるで別物ができあがるのは、もうこれはどうしようもない、という状況です。
卵って、やっぱりこれまで作られていた伝統的、はたまた伝統的でなくてもお菓子がお菓子たる姿でできあがるのにかかせない材料なんですよね。


そして、シュークリーム。特に皮の部分はたいていの人がはじめは失敗をさけて通れない失敗確率の高いもののようですが、フワっと膨らんだシュー皮にクリームが詰まっていて、なんともいえずおいしい。みんなが大好きなお菓子ですよね。でもやっぱりこの皮をビーガンで作るのは中々にむずかしいらしく、数ある海外のビーガンレシピサイトや実験サイトでもみかけることのないのが、このビーガンのシュークリーム皮レシピでした。まあ、卵を使わない時点ですでに普通のお菓子のレシピからしたら失敗作なのですから、卵を使っても失敗するレシピを卵すら使わずに作れるか、無理だろう、いやもうわけがわからなくなてきた、というところなのです。

さて、ではシュー皮が膨らむしくみを以下に説明します。

シュー生地中の水分が、オーブンの中で過熱されることにより水蒸気になって体積が増え膨張することにより、中に空洞ができて、あのシュークリームの皮然としたまあるい形ができあがります。

では失敗するときと、成功するときのパターンをあげてみましょう。

【失敗パターンその1】 ただ材料を混ぜただけの生地をそのまま焼くと、
オーブンの中で生地が加熱されることで発生した水蒸気は、そのまま生地の隙間から漏れていくため、空洞はできず膨らみません。
【成功パターンその1】 材料を混ぜた生地を焼く前に加熱して練ってから焼くと、オーブン中で加熱されて発生した水蒸気は生地の中で風船のようにふくらむため、あのまあるい形となって焼きあがります。

この両者のちがいは、何か。生地の状態で加熱するか、しないか、です。小麦粉と水を加熱しながらかき混ぜると、糊状に生地が変化するためその事前の加熱によってできた糊が、皮の内側で膜となって膨張した水蒸気をガッチリ逃がさず生地が丸く膨らみ中に空洞ができる、というわけなのです。

実際、シュー皮の内側を見てみると、糊の壁で膜ができていているのがわかります。
加熱によってできた空洞は、この糊のおかげで水蒸気が抜けにくくなり、それで大きく膨らむというわけです

まず最初に実験してみたのは、ふつうのシュー皮のレシピの卵の部分を、煮詰めたアクアファバで作ると、はたしてシュー皮のようなものはできあがるのか、でした。
アクアファバはあくまでも卵白の代わりなので、リアル卵の代役をさせるのは心もとなかったのですが、生地も加熱して、卵を混ぜる時に、卵のレシピと同量の、濃いめの豆の煮汁を加えてみました。
見た目とテクスチャはリアル卵を入れた生地とそっくり。ちゃんと熱々にして、絞り袋に入れて絞り出したところまでは、まったく同じ。
に見えましたが、いざ焼いてみると、膨らんではいかず、ひらべったい巨大なコーンフレークみたいなものができました。
はたまた、甘くないチュイール?
まあ、そう簡単にはいかないよな、と気を取りなおして、もっと水蒸気が逃げることができない糊状の生地を卵を使わず、ビーガンで実現するには… うーむ。。。あ、思いつきました。
フラックスシードエッグです。
フラックスシードエッグは、日本ではまだあまり卵の代わりに使っている人がいないかもしれませんが、海外のビーガンスイーツでは定番中の定番。今スーパーでもよくみかけるようになった亜麻仁油。そうあの亜麻仁(アマニ)がフラックスシードです。このアマニ=フラックスシードは、そばの実くらいの大きさで茶色くつやがある実なのですが、細かい粉状にして、水とまぜて放置すると5分くらいで、ねばねばのすりおろしたヤマトイモみたいになり、これを卵のかわりに使う、というのがフラックスシードエッグです
私のレシピには、いくつかあるパイ生地や、スポンジ生地、パウンドケーキなどこのフラックスシードエッグを使っているものがたくさんあります。
このフラックスシードとアクアファバのダブル使い、は最近自分的に気になっている組み合わせのトップトピックスです。
片方ずつ登場することはあれど、これらを一緒に使うことでかなり何か飛躍的に便利な、これまであきらめていたレシピもできたりするんじゃないか、と思っていたところでした。

そして、アクアファバにフラックスエッグを加えてネッバネバの糊状にしたものに、熱したオイルとアクアファバ、ここに小麦粉をいれてペースト状にしたものを合体させ、絞り袋に入れて絞り出し焼いてみたところ。。。
なんと!なんとなんと!!!
リアル卵で作ったような、中に空洞のできた、シュー皮ができちゃいました。(ページ上部タイトルの上に貼った写真はそのビーガンシュークリームです。もちろんクリームもビーガン)

まだ完成形ではないので、レシピの詳細は今回は公表しませんが、いくつかのパターン(予定ではあと8パターンほど)豆の煮汁の豆はひよこ豆なのか白いんげんなのか、煮汁の濃度はどれくらいか丁度いいか、生地を焼く直前にあたためるか否か、などなどを実験して試した後、いちばんうまくできたレシピをみなさんにも作りやすい形にして、オープンシェアしようと思っています。レシピや自分的すごい発見!みたいなものも、オープンソースにしてシェアすることで、そこにもっと凄いアイディアや素敵なひらめきを追加していってもらって、ビーガンをどんどん進化系にする、というのが、私のこれからの目標なので。

では、今後の実験パート2以降にもご期待ください。
※ (白崎さんがへたおやつのなかで掲載しているシュー皮は、一般的なシュークリームの皮とはまるで別物のふくらまないものなので、未知、としました)


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