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自由への旅路 第二章 ⑥ 霊能者と霊格

 数年前に引っ越しした際、ダンボール箱にしまったままだった「原因と結果の法則」を今、久しぶりに読んでいる。

あれから10年の間に様々な経験をし知識も深まったと思うが、

新たな視点で見るそれは少しも色褪せず、

むしろ当時の理解がどれほど浅いものだったかが明らかになって恥ずかしい次第だ。

この学びの機会を与えてくれたF婦人には本当に感謝しかない。

「スパルタ」と言っても週イチ2時間の勉強会の内、一時間は書籍の解説、
残りの一時間は経験談と、どちらも中身の濃い興味深い話ばかりだったので、
初めのうちは知識欲が勝っていた。

もしそこで学んだ全てを完璧に会得できたら、

その人は解脱してこの星を卒業出来るのではないか?? 
などと思ったりもした。

 実際、F婦人と自分の一致した意見は、

  「来世はもういいでしょ」

であった。

 現世を愛せていない時点でそれを言うか?

と、今なら突っ込みたくもなる…

「シルバー・バーチの霊訓」の解説によれば、

地球は宇宙で2番目に波動の低い、物質次元の星だとか。

しかし人は修行のためにその「どん底」付近へと、限界のある肉体不完全さをわざわざにまとって光の世界から降りてきたのだから、そんなに簡単であるはずはない…

 そして案の定、残念ながらこの勉強会においても、その不完全さは後々お約束のごとく発揮されるのである。


 F婦人のように、こうした見えない世界について揺るぎない確信を持って語る人に、それまで一度も出会ったことは無かった。

しかも彼女には先生と呼べる人はおらず、ほとんど独学だ。

昔はネットで気軽に情報を得られることも無く、実践で会得したものだから説得力もある。

 ただ、それ故にいささか自信過剰ぎみでもあり、反論はNG

また、霊的な成長よりも、他の有名なスピリチュアリストとの繋がりや自身の物質的成功への言及が多いのも気になった。

 そして、なにか「霊能力」のようなものも、一度も見せてくれなかったのでちょっとがっかりしたが、
これは後に意外な形で発動されるのであった。


 誤解のないようにお断りしておくと、

彼女は決して悪い人ではなく、今でも恩人だと思っている。

だが、霊能力が有ることと霊格の高さであることを彼女を通して学ばされたのも事実である。

 一方でF婦人は、しばしば生前のご主人について、
彼女がアダルトチルドレンであること、スピリチュアルに傾倒していることに理解を示し、全てをありのまま受け入れてくれていた事など、彼がどんなに素晴らしい人格者であったかについて数多く話してくれたが、それを聞く度に、

「もしかしたら霊能力を持たないご主人のほうが霊格が高いのでは?」 


と言う気がしてきて、出来ることならF婦人よりもこの方に会って話を聞きたかったなと、

遺影の中で笑う彼を見るたびに思うのだった。

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