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好きな曲は好き~恋愛スピリッツ/チャットモンチー~


はじめに


今日はチャットモンチーの『恋愛スピリッツ』という曲についてお話しします。


これまでチャットモンチーについて3曲お話ししてきました。


この曲はチャットモンチーのなかでも恋愛要素が強い、むしろ恋愛要素の曲だと思っています。
しかし、歌詞が飾り気のないまっすぐな言葉だけで構成されているからこそ、恋愛要素しかないように思えます。

しかし私はこの真っすぐすぎる心情は、恋愛感情だけではない愛情全般に言える事だと思います。
Wikipediaによるとこの曲は作詞のえっちゃんが好きな人に電話をする際の心情を綴った曲だそうです。
私は恋愛的ではない解釈をしながら中学~高校生の頃この曲を夜に聞いていました。

!!!以下に図書館戦争のネタバレを含みます!!!

どうか無意味なものにならないでね

この曲はイントロなくすぐに歌から入ります。
ロックなイメージの強かったチャットモンチーでは特に印象的でした。

今までひとつでも失くせないものってあったかな
今までひとつでも手に入れたものってあったかな

こう歌われると、ふと考えてしまったりしませんか?
私は中学生の頃この曲を聞く度に考えていました。
「失くせないほど大事なものって何だろう」
「私が自分で手に入れたものは何だろう」

当時の私は「何もないかも…」と聞く度に思っていました。
今の私だったら中学生の頃の私に「命とか勉強して得た知識とか!」って言ってあげられるかもしれませんが、
今考えた方が「なにもないかも…」って思ってしまいます。

何もない方が良いって考えることの方が多くて、大事すぎるものは何も得ないようにしたいです。

それでも大切にしたいと思える友人がいるのは矛盾でしょうか?
…ホモサピのせいにしときましょう。

どうか無意味なものにならないでね
今すぐ意味のあるものになってね

この歌詞を聞く度に、私は母親のことが思い浮かびます。
黒木渚さんの『美しい滅び方』という曲の
普通の人にはならないでって君が呪った私を呪った
という歌詞と通ずるところがあると思っています。

勿論、恋愛的な意味で「自分にとって特別な人であってほしい」という気持ちが込められた歌詞であるとも解釈できます。
ただ、これは恋愛感情だけではなく、愛情に言える事だと思っています。

大事だから、大切だから、特別な存在だから、ずっと特別な存在でいてほしい。

そんな風に相手に対する欲が過剰になっている母親と重なりました。
中学生の時には特に何も思っていなかったのに、そんな母親の欲と希望とそれを疎んでいる自分の気持ちに気付いた高校生の頃、この曲を聴きながら夜にこっそり泣きました。

あの人がそばにいない
あなたのそばに今いない
だからあなたは私を手放せない

ここはきっと、大好きな人の好きな人or好きだった人の存在があるから不安になる様子を表しているのでしょうか。

私は、姉の存在を想いました。
私の両親は姉が進学やその他重要なイベントがあると敏感になります。
過剰なほどにです。
その時は私への感情が一時的に収まり、姉への干渉が増します。
その逆も然りです。

私が受験などの重要な時期に両親の注意が一気に私に集まった時、
いじめ始めのようなターゲットにされるような気持ちになりました。

「次はお前だ」

といわんばかりの視線と熱意と愛情を感じました。
私も狂っていますよね。


まだ探していたい

二番です。

今までひとりでは探せないものってあったかな
今までひとりでは作れないものってあったかな
どうか無意味なものにならないでね
今すぐ意味のあるものになってね

中学生の頃に思った、「私には何もないかも」という気持ちをいまだに以て生きていますが、私は一人で探せるようになりたいです。

私は母親に「人間一人では生きていけないのよ?!」と言われました。
一人で生きてみたこともない人に言われました。
きっとそうなのかもしれません。
助けて、助けられて生きる方がきっと心身共に生きていけるのかもしれません。
それでも私は早く両親の元から自立したかったです。
「私がいるからお前は生きていけているんだ」
なんて絶対に言わせないように、自立したいです。

愛は一人では探せないし、築けないものなのかもしれません。
でも友人や動物、2D、概念、学問、いろんなものへの愛で熱中する人もいますし、そこで愛を知ることもできると思います。
私はまだ私を“愛”という大きな言葉で縛ってはいけないような気がしています。
だから両親にも縛らせたくないです。
「愛しているから心配しているから」なんていう言葉で私を縛らないように自分を保っていたいです。


私はこの曲に図書館戦争を見た

次の歌詞です。

あの人をかぶせないで
あの人を着せないで
あの人を見ないで私を見てね

ここの歌詞が一番心に来ます。
恋愛だと元カレとか元カノとか、付き合っている人に気がある他者の存在とかそんなことが気になって不安になってしまうものなのでしょう。

私は母にこれを聞きたいです。
私の選択や希望を否定するたびに、「じゃあどう生きてほしいの」と言いたくなります。
そうするときっと綺麗事を言うでしょう。
でも私の選択は否定するのです。
そのたびに考えていました。
「お母さんは私にどうやって生きてほしいんだろう」
「誰を見ているのだろう」
と。
私のことを見ていないのは確かだったので、そう考えていました。
『私を見てね』
きっと、心がすれ違ってしまう度にこう思うのでしょう。

あの人がそばに来たら
あなたのそばにもし来たら
私を捨ててあの人つかまえるの?
あの人をかぶせないで
あの人を着せないで
あの人を見ないで私を見てね

私はこの曲を親子関係として聴いていたので、この歌詞を聞く度に思い出すことがありました。
それは『図書館戦争③』という本です。
え、なんで?と思われるかもしれませんが、本書には主人公:笠原が両親に職種を反対されているという描写があります。
ずっと隠していた職種が両親にばれてしまい、母親が怒りそのまま笠原を辞めさせようとする場面があります。
その時、笠原が言った言葉が印象的でした。

母親「(略)よそのお嬢さんのことまでは知りません、うちの娘のことです!うちの娘にはもっと安全で手堅い職業に…」
笠原「だったらあんたの理想の娘をどっかからもらってきたらいいでしょ!」

ほとんど反射で発したその一言は、自分で自分の堰をぶった切った。

笠原「あんたの理想どおりに女らしくておしとやかで親に逆らわない、間違ってもあたしみたいに乱暴でガサツじゃないお嬢さんを探してきたらいいじゃない!こういう私に文句あるなら縁切ってもらっても全然かまわないよ!」

こういうことをはっきりと声に出して言える事は覚悟と勇気が必要だと身をもって実感しています。
私にはできないので。
なぜできないのかというと、
この曲の歌詞のように私も母親が見ている私ではない“理想の私”を見るのが怖いのかもしれません。

…弱いですよね。

あの人がそばにいない
あなたのそばに今いない
だからあなたは私を手放せない
だからあなたは私を手放せない
だからあなたは私を手放せない
だから私はあなたを想っている
だから私はあなたを想っている

しかし、母親はまだ娘である私に執着しているようです。
だから母親は私を想って、私は母親を思います。

全然明るい未来が見えなくて、苦しい気持ちになるけれど、思っています。
多分これからももっと思うのでしょう。

さいごに

この曲を恋愛的にではなく解釈しました。
きっと恋愛的に解釈するべき曲なのかもしれませんが…。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
♡励みになりますありがとうございます。

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