柳川海月

柳川海月

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[詩]コンプレックス

小さい背が ずっとコンプレックスだった それを君が 「お人形さんみたいでかわいい」と 笑って言った ほんのちょっとだけ 嫌な気持ちになったけど ほんのちょっとだけ この…

柳川海月
5か月前
4

「No title」

なあ少年よ 教えておくれ その純粋な 眼で見据える先は 幸か不幸か 善か偽善が

柳川海月
5か月前

「愛して」と言いかけて、 とっさに「る」と付け足した。 私の人生、 そんなものだと思った。

柳川海月
5か月前

幻【詩】

「独りで何をしてるんだい」        街灯が声をかけました。 「死にゆく人を追いかけてるノ」       目を合わせずに僕は言う。 「懸命に走ってる人は懸命に死に…

柳川海月
7か月前
3

人工物[詩]

空へ掲げられたランプ達は 暗くなると 黒いスタンドを無くします それを浮かんで見える人々が 星と名付けるので いつしかほんとうに 浮かんでしまったように感じます

柳川海月
7か月前
4

幻影[詩]

暗き夜には 明かりを食べて 私と一緒に 踊りましょ たんたかた たんたらた ステップなんて ふみながら 形すらも消えてしまうほど 明るき夜には 月を飲んで 私と一緒に 行…

柳川海月
7か月前
3

少年[詩]

教えてくれ、少年よ 曇りなきその眼で 見据えるものを 吁、神はなんと業の深きことをしたのだろう! この罪なき純粋な少年が いつしか、大人になってしまうなんて いつし…

柳川海月
7か月前
2

故郷[詩]

いつの日だろう あの記憶 草花の香の あの記憶 逃げ出すように ここに来て また逃げ出したい ここに来て 家も家族も 捨てたはず 今度は何を 捨てたいの? 嗚呼戻りたい …

柳川海月
7か月前
3

海[詩]

波風よ 私をこのまま攫ってくれ 小鳥の籠に入れられた 私の心を一筋の光にして どこまでもどこまでも 連れて行ってくれ 波風よ 私をこのまま攫ってくれ この体を縛る鎖ご…

柳川海月
8か月前
2

僕達[詩]

夜に溺れる僕達は きっと誰の行方も知らずに 愛だけを追い求め続けて そしていつかは灰になる 嗚呼、哀れなものだな少年よ いつの間に人間は 道化なってしまったのだろう

柳川海月
8か月前
4

愛[詩]

私の中は からっぽ 何も無い 本当に数十年 生きてきたのか疑われるほど 何も無い それなのに そうだったはずなのに 今はあなたがくれたものでいっぱい 忘れもしない はじ…

柳川海月
8か月前

月[詩]

夜が森を食べて あたりが黒におおわれたとき 月がぽっかり顔を出しました。 夜の虫もなきやみ 蛍ももう力尽きたころ 月の頬は未だ虫に食われていました。 夜が森を消化し…

柳川海月
8か月前
2

夜[詩]

月明かりに照らされる交差点を 横目で眺めながら 神様、僕は今日もひとりです。 夜の冷たい空気は 僕の耳元のおとをさらっていきます。 満点の星々は そんな僕を嘲笑でも…

柳川海月
8か月前
1

渡り鳥[詩]

つぼみのクチナシ 顔を出し 酪農の雨 降り注ぐ 三分の桜と 山の香が 風に乗せられ 鼻を擽る この人気静まる 晩春に 散り行く春よ とんでゆけ 百羽の桜 燕となり 春に向け…

柳川海月
8か月前
6

老夫婦[詩]

ああ、たった今 思い出しました 貴方と会ったあの日は それはそれは 映画のように 綺麗な雨の降る 日曜日でした

柳川海月
8か月前
3

初恋[詩]

あなたの脳の中の 1パーセントでも 私が存在していれば 私はそれで満足なのです 私はそれだけで幸せものなのです

柳川海月
8か月前
3
[詩]コンプレックス

[詩]コンプレックス

小さい背が
ずっとコンプレックスだった
それを君が
「お人形さんみたいでかわいい」と
笑って言った
ほんのちょっとだけ
嫌な気持ちになったけど
ほんのちょっとだけ
この背が好きになった

「No title」

なあ少年よ 教えておくれ
その純粋な 眼で見据える先は
幸か不幸か 善か偽善が

「愛して」と言いかけて、
とっさに「る」と付け足した。

私の人生、
そんなものだと思った。

幻【詩】

「独りで何をしてるんだい」
       街灯が声をかけました。

「死にゆく人を追いかけてるノ」
      目を合わせずに僕は言う。
「懸命に走ってる人は懸命に死に向かってるノ」

誰よりも高く望んだ者は
誰よりも醜い最後を迎える

あゝ、
夏の夜の鈴の声は
まるで幻のように感じる。

人工物[詩]

空へ掲げられたランプ達は
暗くなると
黒いスタンドを無くします

それを浮かんで見える人々が
星と名付けるので
いつしかほんとうに
浮かんでしまったように感じます

幻影[詩]

幻影[詩]

暗き夜には 明かりを食べて
私と一緒に 踊りましょ
たんたかた たんたらた
ステップなんて ふみながら
形すらも消えてしまうほど

明るき夜には 月を飲んで
私と一緒に 行きましょう
たんたかた たんたらた
スキップなんて ふみながら
原型すらも留めないほど

少年[詩]

教えてくれ、少年よ
曇りなきその眼で
見据えるものを

吁、神はなんと業の深きことをしたのだろう!
この罪なき純粋な少年が
いつしか、大人になってしまうなんて
いつしか、世の中に絶望を覚える日が
来てしまうなんて

故郷[詩]

故郷[詩]

いつの日だろう あの記憶
草花の香の あの記憶

逃げ出すように ここに来て
また逃げ出したい ここに来て

家も家族も 捨てたはず
今度は何を 捨てたいの?

嗚呼戻りたい あの記憶
嫌だったはず あの記憶
だけど幸せ あの記憶

海[詩]

海[詩]

波風よ
私をこのまま攫ってくれ
小鳥の籠に入れられた
私の心を一筋の光にして
どこまでもどこまでも
連れて行ってくれ

波風よ
私をこのまま攫ってくれ
この体を縛る鎖ごと
私の体を海に溶かして
永遠に永久に
連れ去ってくれ

僕達[詩]

僕達[詩]

夜に溺れる僕達は
きっと誰の行方も知らずに

愛だけを追い求め続けて
そしていつかは灰になる

嗚呼、哀れなものだな少年よ
いつの間に人間は
道化なってしまったのだろう

愛[詩]

愛[詩]

私の中は からっぽ
何も無い
本当に数十年 生きてきたのか疑われるほど
何も無い

それなのに そうだったはずなのに
今はあなたがくれたものでいっぱい

忘れもしない
はじめてあなたがくれた「愛」は
カランと音を立てて
私の中に入れられた

私もいつか 何もなかった私もいつか
あなたの中を
私からの「愛」でいっぱいにできるでしょうか

月[詩]

月[詩]

夜が森を食べて
あたりが黒におおわれたとき
月がぽっかり顔を出しました。

夜の虫もなきやみ
蛍ももう力尽きたころ
月の頬は未だ虫に食われていました。

夜が森を消化したころ
あたりはあおくあおく染まり
けれども月だけは白くそこにありました。

何時間たったでしょうか
夜が森を食べたとき
また月が顔を出しました

夜[詩]

夜[詩]

月明かりに照らされる交差点を
横目で眺めながら
神様、僕は今日もひとりです。

夜の冷たい空気は
僕の耳元のおとをさらっていきます。

満点の星々は
そんな僕を嘲笑でもしているのでしょう。
今日もあんなに楽しそうです。

渡り鳥[詩]

渡り鳥[詩]

つぼみのクチナシ 顔を出し
酪農の雨 降り注ぐ
三分の桜と 山の香が
風に乗せられ 鼻を擽る

この人気静まる 晩春に
散り行く春よ とんでゆけ
百羽の桜 燕となり
春に向けまた とんでゆけ

千羽の桜 燕となり
春が来たらまた 戻ってこい

老夫婦[詩]

老夫婦[詩]

ああ、たった今
思い出しました
貴方と会ったあの日は
それはそれは
映画のように
綺麗な雨の降る
日曜日でした

初恋[詩]

初恋[詩]

あなたの脳の中の
1パーセントでも
私が存在していれば
私はそれで満足なのです

私はそれだけで幸せものなのです