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ヴァイオリンヴァーニッシュと色材。16-17世紀の古典オイルニスの話を中心に、ストラデ…

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ヴァイオリンヴァーニッシュと色材。16-17世紀の古典オイルニスの話を中心に、ストラディバリウス黄金期のヴァイオリンニスを再現するまでの調査結果。(有)日本リノキシン http://www.nlinoxin.co.jp/

最近の記事

ランニングアンバーについて

You-Tubeを見て驚いたのですが、私の作っているランニングアンバーを紹介している動画があるのです。絵画関連の方のサイトですが、聴き手は高橋氏ですか。しかし、この内容と知識ではメディウムは作れません。もう少し勉強してください。生徒に教えて料金とっているようですが。まず第一に琥珀を熱処理してもテレピン油に溶けるようにはなりません。熱処理=ランニングした琥珀と乾性油をさらにエステル化反応させてメディウムを作るとテレピン油に溶けるようになります。あまり弊社の扱いが粗末なので怒りし

    • 無題

      ヴァイオリン製作者や販売店はほとんどがアルコールニスかオイルニスかは書かないし、明らかにしない。ここは「水と油」の違いほどある化学者にとっては耐えがたい。あと「音が良い。悪い」この判断が出来ない製作者は厳しく言うとこの仕事に向いてない。私はクラシックはあまり聴かないので、フィドルのレベルからの音を聴いている。音の善し悪しは「好み」の問題ではない。楽器の本質だ。仕事人生的に終盤に近づく度に思う。音をもっと幅広く聴いて欲しいと。

      • オイルニスの作り方 序

        オイルニスの歴史 2023.2.15 オイルニスの作り方を述べる前に、オイルニスの歴史を述べるのは、当然のことです。そうしなければ、何故今に伝わるオイルニスになったか、または、なぜ途中で伝わらなかったかという簡単なことが分からなくなるからです。されと同時にヴァイオリン以前の弦楽器用のオイルニスを述べることは、絵画、装飾、象眼、家具に使われた、共通する塗料の歴史を述べなくては説明できません。ここではあまり前置きとして長くならない程度に説明いたします。まず最初にオイルニスらしき処

        • 生松脂と精製松脂

          オイルニスはコロホニウムと亜麻仁油の1:1の処方ということになっています。コロホニウムは松脂と同じものです。またグリークピッチとも言います。注意点は松脂をただ亜麻仁油に溶かしただけでは、オイルニスは出来ないというのは、エステル化してアルキッド樹脂のような構造にしなければいけないのです。つまり「化合物」です。「混合物」ではありません。 もう一つは写真のように、採取した松脂(左)は今日では精製して(右)の状態になっています。黄色で透明な精製松脂以外の松脂を入手することは困難ですし

        ランニングアンバーについて

          リノキシンの製法

          リノキシンの作り方 リノキシンとは広義には亜麻仁油を空気酸化させたゴム状の弾力のある固形物を指します。 ヴァイオリン製作の業界だけの言葉で、『リノキシン』をさらにアルカリ加水分解した液体の物質を指します。この点は気をつけてください。中には半分解した黒色の半固形物をリノキシンと勘違いして、以来してくるお客さんもいますが、誰かがそういう製法を提唱したというだけで、とても意味のある製法・制作物とは言えません。誰の作った楽器でそれを使ったかがまるで不明です。 リノキシン従来製法(液

          リノキシンの製法

          オイルニスの今後

          私も20年この仕事をしてその前は電子部品塗料、その前はカーワックスという仕事をしてきました。「ストラディバリのニスの再現」という課題が最後の仕事となったと言っていいでしょう。それでは、完成したのかと聞かれると「ほぼ」としか言いようがありません。今までに「ストラディバリ が出来た」と公言する人は数多くいました。しかし、簡単なことで躓いていることに気が付きません。私はどうなのかということはいつも考えています。だから決して「出来た」とは言いません。 それはさておいて、ストラディバ

          オイルニスの今後

          オイルニスまたは絵画メディウムとしての組成物の文献

          オイルニスまたは絵画メディウムとしての組成物の文献 Theophilus Presbyter(1070-1125)"De diversis artibus""On Divers Arts"テオフィラスのラテン語をタンプロニがイタリア語に訳し、またメリフィールドが英語に訳しています。 多くの美術絵画のメディウムの資料としての出発点は、テオフィルスを引用しています。技術的には錬金術時代のJabir Ibn Hayyanジャービル・イブン・ハイヤーン(721-815年)バグダー

          オイルニスまたは絵画メディウムとしての組成物の文献

          導電性塗料とSP値の問題(1)

          銀粉と樹脂の熱硬化性塗料の場合、焼結はしない温度180℃以下での利用は古くから行われてきました。2000年少し前に私が「低温焼結」を始めた頃まで遡りますが、「ナノ」全盛期でした。しかし、私の主張はナノ粒子を使用しないで銀粉表面の酸化銀膜を利用して有機物で還元して焼結させる方法でした。この研究は、見事に見向きもされず、私の退社で消え去ってしまいました。この方法ですと抵抗値(電気伝導度)は1桁改良することができます。太陽電池の電極やメンブレンスウィッチへの応用を期待したのですが。

          導電性塗料とSP値の問題(1)

          近況報告

          バエゼ氏のヴァイオリンヴァーニッシュの本を一冊訳して載せたら、著作権侵害だと言われて消しました。しかし、本人か確認しないうちに、私が承認すれば載せてもいいよとメールが来ました。 正直なところ、ストラディバリのニスではない内容でしたので、交渉してということはしませんでした。 コーエン・パディング氏のヴァイオリンヴァーニッシュの本についても削除しました。これは有意義な本ですが、世界中にこの本を読んで内容を正しく理解できる人はいないと思いました。技術的には良くてもこれまたストラデ

          Roberto Fludd "De templo musicae 5

          C A P. III. 心と体の音楽の操作について。彼は確かに音楽で立派であり、彼の素晴らしい活動と魂と体の力。したがって、他の哲学者の意見によれば、男性の生活とマナーの性質については、必然的にその知識を探さなければなりません。 -----------左一行目--------------- 第二の音楽コンサート -----------左二行目--------------- 第三共和政のプラトン パドヴァのマルシリウス --------------左三行目 上段--------

          Roberto Fludd "De templo musicae 5

          Roberto Fludd "De templo musicae 4

          CAP, II.音楽の違い. その世俗的な音楽は、最高の秩序のために惑星と要素の本質的な効果から生成されます そしてそれらの比例した性質は間違いなくそれらの部分で最大の交響曲を生み出します、 プラトンとカルダヌスの意見を採用すれば、球の集合体からの最高の調和。彼らは、遠回りは理性によって生成されると言います。それは私たちの耳によって、距離の大きさのために、私たちは秩序を知覚することができます。 同様に、要素自体が絆で結ばれているので、友人の平和的な介入の恵みによってそれらの

          Roberto Fludd "De templo musicae 4

          Roberto Fludd "De templo musicae 3

          音楽の欲求、語源、および発明家。 それは一般的に神の知識として定義され、それによってすべての世俗的なものは不可侵の絆によって接続され、それによってそれぞれの物においてそれは等しい割合で共有されます。 この音楽の定義は、世界、人間、そして器楽に属しています。 歌のスキルに特別な注意を払う重くて鋭いもので、側面を殴り、歌を上手にそして適切に歌う。そして、この音楽の主題に関して、私たちはこれを寺院で扱います。 (左一行目) 彼の音楽の最初の研究で (左二行目) 私が誰であるかの定義

          Roberto Fludd "De templo musicae 3

          Roberto Fludd "De templo musicae"2

          また、この寺院の主は5人の調和の女神コンコルディアです。素晴らしい子孫であること、その崇拝によって子供は成長し、軽蔑によってそれらは大きく崩れます。 彼の守護神は、9人のミューズの中で最も気の休まるタリアです。(タリア:ミューズ神の一人)その文書は調和の謎です。この文書の秘密は謎の巡礼者が、神託の要求によって説明されます。 したがって、そしてしなやかに、キューピッドの目で、科学者はこの構造のすべての部分に気づきますまた、彼は彼の最小の部分を軽視しません なぜなら、アポロのハー

          Roberto Fludd "De templo musicae"2

          Roberto Fludd "De templo musicae"

          論文第二 寺院の音楽。普遍的な音楽は鏡のようです。全七冊あります。 寺院は最も明確な分類によって示されています。 この寺院の構造と場所に関して、詩人は素晴らしいように聞こえます。彼らの意図は常に詩と発明で占められています。いや、語源で考えられているように、その名前は彼らの女神、すなわちミューズ、音楽に由来しているので、彼らはこの主題をはるかに熱心に追求するでしょう。詩の煽動と発明ならご容赦をお願いします。しかし、この寺院の説明では、何らかの措置を行うことは許可しないでしょう

          Roberto Fludd "De templo musicae"

          近況報告

          Classical Italian Violin Varnish, by Geary L. Baeseの完訳を掲載してましたが、本人より抗議があり、著作権法に抵触しますので削除しました。これでほとんどの日本人は内容の分からない著書の名前だけを知ることになります。

          何が正しいのか。16-17世紀イタリア巨匠の使ったヴァイオリンニス

          何が正しいのか。16-17世紀イタリア巨匠の使ったヴァイオリンニス Brigitte BranmairとStefan Petter Greinerは著書"Stradivari's Varnish"でストラディバリが使用していたニスの科学的分析結果を発表した。これが今のところ一番信頼できる情報です。 NHKで放送されたストラディバリウスの再現の番組で「ニスはただの松脂と亜麻仁油で、そこに秘密は無かったのです。」これには正直驚いた。何故そこを跳ばして結論するのか。実は音の伝達は楽

          何が正しいのか。16-17世紀イタリア巨匠の使ったヴァイオリンニス