【海外生活】自分を大切にしてあげたら人との付き合い方も自然と変わった【カナダ】
第31回目は、カナダのバンクーバーで演技の勉強を学んでいる加藤日向太さんにお話を伺いました。加藤さんはバンクーバーにあるNew Image Collegeに通っており、そこで経験ある講師陣のもと、幅広い年齢層やバックグラウンドを持つ生徒たちと切磋琢磨しながら演技に打ち込んでいます。バンクーバーへ来て、演技だけでなく人として成長でき、また自分らしく生きることができるようになったと語ってくれた、加藤さんの生き方や想いを少しおすそ分けしてもらった記事がこちらです。
さまざまなバックグラウンドやキャリアを持つ人々が集まる町、カナダ・バンクーバー。そこで活躍する日本人の方々とこれまでのステップや将来への展望を語り合う「カナダ・バンクーバーの今を生きる日本人」。それではどうぞ!
※インタビューは2023年末に行ったものです
自分を本気で追い込んで勝ち取ったカナダへの留学切符
ー演劇学校の1年目を終えての感想はいかがでしたか?
辛いこともありましたけど、心の成長がありました。演技が良くなったかどうかは正直自分ではわからないけど、人としての感じ方や精神的に成長したと思いますし、先日行われた校内の舞台公演終了後のレビューでも先生が「Hinataはよく聞いて、考えながら演技していると私も感じたよ」と言っていました。
ー加藤さんはバンクーバーにいらっしゃる前から語学なども入念に準備していた印象でしたが、それでも実際に来てみると大変だったと思いますか?
新しい土地で全部ゼロからやるっていうのは本当に大変でした。英語もやっぱり100%通じて理解できるわけでもないし、金銭的な事やバイトもすぐには決まらなかったり最初の数ヶ月は辛かったですね。
ー海外で生活の基盤を築くのは楽ではないです。
それはしっかり身に染みましたね。今は暮らしに慣れて少し落ち着いてきましたし、今回は学校の舞台発表を通して、僕が所属しているクラスの温かさや仲間の人柄が素晴らしいなと改めて気がつきました。
ー舞台を拝見しましたが、クラスメイトの年齢層も結構バラバラでしたね。
年齢差は一番若い子で19歳、一番年上で35歳ぐらいなので、すごく幅広いですしいろんなバックグラウンドの方がいます。
ー今の学校の印象をお聞きしてもよろしいですか?
今の学校の生徒や先生はどう評価されるのかが重要で、観客のために自分達はもっと良くやらないといけないという責任感をみんな持っています。その上で、ここでは生徒を褒めて伸ばすところでしょうか。もしできなくても欠点を先に言うんじゃなくて、良いところを言って伸ばす姿勢で、そこが僕は面白いなと思うんですよね。先生が生徒のためにちゃんとカリキュラムを作るシステムもいいなと思うし、言い方も相手を傷つけるのではなくちゃんと指導してくださっていると思います。もちろん担当する先生によって違うかもしれませんが。
ー演技の勉強を伴う留学で、カナダ以外にも選択肢はあったんですか?
オーストラリア行きも考えました。それでもカナダにしたのはハリウッドが近かったからですね。そして何よりカナダは学生ビザで働けるので、学校に行きながらバイトできるというのがメリットです。カナダ国内ではトロント行きも考えましたが、バンクーバーとハリウッドの時差や地理的なアドバンテージからシンプルに決めました。
ちなみに親や友達にはカナダ行きのビザをとって、行く直前になるまで秘密にしていました。それには理由があって、自分で決断しただけで何も手をつけていない状態で親や友達に言ったら、僕はそこで満足して計画が立ち消える気がしたんです。
これまでも留学したいなと思ったことは何回かあって、でも全部お金中心で考えていたのでお金がないから駄目だと毎回断念していました。でも今回のカナダ行きは、とりあえずお金のことは後から何とかするからビザを取る前に学校のオーディションを受けました。
ー自分のやりたい事とはいえ、たった一人で準備するのは相当な負担だったのではないですか?
今までの人生の中で一番つらかったです。親にはビザも取ったしあとは行くだけで本気だと伝えたんですが、そこから親がいろんな人に息子のカナダ行きを言ってくれたりもして、たくさんの方からサポートしていただきました。でもそれは伝えたタイミングと自分を追い込んで本気でやったからなのかなと思います。
演技の機会を求めてバンクーバーへ来る前に知っておくと良いポイント
ー私からすると加藤さんはとても流暢に綺麗な発音で英語を話されているなと思うのですが、ご自身でこっちに来るまでにやっていた英語の勉強法と、こちらへ来てからの英語の勉強って変わりましたか?
カナダに来てから英語は勉強してないんですよ。もう基本的には喋ったり、YouTubeで英語のコンテンツを見るのは日本にいた時からやっていて、今はそれの延長線上です。日本にいたときも英語の勉強をしたかといったら、僕は英語を日常生活に取り入れちゃおうと思う人なんですよ。
ー素晴らしい!
何かを勉強しようと思って机やカフェでやると、基本的に集中できないんです。であれば、もう日常生活に取り入れちゃった方が楽だし、僕は赤ちゃんの学習方法を参考にしています。語学学習の効率を考えたときに、そういえば赤ちゃんやネイティブスピーカーも最初に学ぶときには聞くことから始まって、親が言っていることを真似て喋る。だからまず英語を聞き、それを喋ってみるの繰り返しです。それを日本にいたときから続けています。
あとはYouTubeでアメリカの人気ショーを英語字幕とかで観て、言ってることをそのまま真似して発音の勉強をしていたし、今もしています。単語帳を開いて勉強することはなかったですが、今はそれもちょっとやりたいなと思うんですよ。セリフを見てわからない単語が多すぎるしそれを毎回調べるのも大変です。語彙を増やすという課題にぶち当たってるので、単語の勉強をして語彙力も増やそうと思っています。
映像や音声を聞いて、それを真似するのは時間かかっちゃうじゃないすか。それをやらないのは面倒くさいからなのかなと思うんですが、遠回りに見えて実はそれが最短なのかなと思います。
ーバンクーバーに来て長く俳優活動をしたい、もしくは演技を学びたいという方の多くは演技学校に入られるというのを良く聞きますが、ビザの問題がやっぱりあると思いますよね。
そこが一番大きいですね。学校によりますしコストもその分かかりますけど、2年プラスCo-op期間1年で3年間は滞在でき、その3年間に学業と並行して仕事もできます。例えば仕事だけをしにワーホリを取ると1年しかいられないですし、ビザを気にしながら仕事するのも結構大変だから、だったらやっぱり2年、3年ぐらい余裕を持って滞在できる方が仕事には良いかなと思います。
あとはストライキも終わってこれからエージェントの人たちも多分いろんな俳優を所属させるところもあると思いますけど、それでも日本人からしたらやっぱりエージェントに入るのって簡単ではないと思います。
自分の経験も活かしつつ興味があることに挑戦していきたい
ー加藤さんがこれからやってみたいことは何かありますか?
まだ具体的にはわからないですけど、海外で生きていたいですね。この1年を通して海外は嫌だな、日本に帰りたいなと思ったことがないと言えば嘘になりますけど、それでもやっぱり海外生活が合っているなと思うし、海外の方といる自分の方が好きでいられます。いろんな国に拠点を置きながら仕事ができたらいいなというのはありますね。
あとはバンクーバーへ来て、1人でいる時間が好きになりました。昔は1人でいることが寂しかったりもしたんですけど、1人の時間を大切にすればするほど、人といる時間ももっと楽しくなるなと思って。
ーそう感じるようになったきっかけは何だったんですか?
自分をケアしたり、メンタルヘルスをしっかり考えているからでしょうか。日本にいたときにすごく落ち込んでいた時期があって、でもそれがあったからこそカナダに来るという決断ができました。ネガティブな過去の自分がいたからこそ今ここにいられるから、その意味では感謝しているんですけど、やっぱり年中落ち込んでいるのは疲れるんです。そして、それが人にまで影響してしまいます。
だからこそ、自分の時間をちゃんと作って労わってあげた上で人と付き合うと、人との付き合い方も本当に変わってくると感じます。良いムードだと良い意味で近づいてきてくれる友達もいるし、話しかけてくれる人もいます。人に気遣われるのがあまり得意じゃないし嫌だったので、ちゃんと自分のケアをして安定させた上で人と接すれば、その人とすごく良い時間を作れると思っています。
ー俳優としての活動はどうでしょうか?
演技は学校で引き続き学んでいきますが、同時にこれからYouTubeとかも始めたいなと思っていて映像作品には拘っていると思うんですよね。ただ俳優以外にも視野を広げてみたい気持ちもあります。
ーいろんな可能性がありますね。もしかしたらクリエイターかもしれないですし、俳優は加藤さんの一面になるかもしれない。
そうですね。何かを発信したいなと思いますし、やっぱりこの映画業界で勉強しているからこそ、映像や編集も勉強したいです。映画にはたくさんの人が関わっていますが、例えばYouTubeってある意味で自分1人の世界観で作れたりするので、制作・編集・演技が自分で全部できるようになったらすごく楽しそうだなというのもあります。コンテンツの内容が演技とは限らないんですけど、いろんなやってみたいことに挑戦していこうかなと思っています。
ーわかりました。加藤さんのこれからを遠くから勝手に見守らせていただきます。末筆ではありますが、この度インタビューを快諾してくださった加藤さん、本当にありがとうございました。
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