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なぜサザンのTSUNAMIはいいのだろうと考えた話~情景が浮かぶことと、詩に隠すということ~

◎6月テーマは「良い音楽ってなんだ?」

こんばんは!『Vale tudo』編集長の暮石引です。

今月のテーマは「良い音楽ってなんだ?」です。

このテーマで書くことを決めて、いろいろと調べて行くと、このテーマについて多くの方々が議論を交わしていることがわかりました。

調べれば調べるほど、本当に我々がこの題材に触れていいのかと、かなり不安になりますが...

私なりにいろいろと書いていくつもりです。


「良い音楽」とは?

Googleで検索すると、たくさん出てきましたね。

その中でも多く提唱されているのは「長く聞いても飽きさせない曲」という意見でした。

たしかに、何年も前の曲が、未だにCMソングに使われていたり、若い人が古い曲を知っていたりすると、名曲というものはいつの時代でも輝いていることがわかります。

では、私にとっての「良い音楽」はなんだろう?

そう考えた時に、まずは私がどんな曲を聞いて来たかをお伝えしなければならないと思いましたので、私が好きなとあるバンドについてお話ししたいと思います。

◆突如、少年暮石の目の前に現れたバンド。それは...

私が音楽を本格的に聞き始めたのは、小学校の4~6年生くらいでした。

当時は音楽番組をよく見ていて、ポップジャムとかうたばんとかを見ていましたね。

当時はKICK THE CAN CREWケツメイシとかが好きで、どちらかというとヒップホップとかにハマっていたと思います。

あとはDA PUMPとかめちゃくちゃ好きでしたね。

当時流行っていたJPOPは幅広く聴いていたとは思います。

そんな中、私の中で大きな変化が起きたのは、あるバンドの、ある名曲を聴いてからでした。

サザンオールスターズ「TSUNAMI」です。

初めて聴いた時の衝撃は凄まじかったです。純粋に「なんて良い曲なんだろう」思いました。

すぐにTSUTAYAでサザンオールスターズのアルバムを借りて、何度もリピートしたのを覚えています。

そして、サザンのTSUNAMI以外の曲を聴きはじめました。すると、なんとほとんどの曲が聴いたことがあったのです!

テレビやラジオなどで聴いていた曲の、ほとんどがこのCDの中にある、と言う不思議体験。

あとにも先にもあの時だけだと思います。

それから、サザンオールスターズの大ファンになりました。

ユースケ・サンタマリアが「音楽寅さん」という番組で「お前、TSUNAMIから入ったクチだろ!」とミーハーなサザンファンに対して怒りをあらわにしていたシーンがありましたが、まさに私は「TSUNAMIから入ったクチ」でしたね...

TSUNAMIと言う曲は、小学生の頃からずっと聴き続け、そして今でも飽くことなく聴き続けています。

上記した「長く聴いても飽きさせない」ということには名曲の定義として間違えていないのかもしれませんね。

しかし、私はずっと考えていたことがあります。

それは「なぜ、あの時にTSUNAMIという曲をいい曲だと思ったのか」ということです。

◆暮石にとっての「良い音楽」の定義

音楽について何も知らない私のような人間が、偉そうに音楽について語るのは正直怖さもあります。

しかし、テーマとしてあげたからには、それなりに持論を展開していきたいと思います。

TSUNAMIの何が好きか。

それは「情景が浮かんで来る」ということです。

TSUNAMIであれば「好きな女性のことを思い、その夢が覚めてしまっても、その人もことを思ってしまう男の姿」が浮かんできます。

PVでは、雨の中で桑田佳祐が歌っていましたね。最後の歌詞の「思い出はいつの日も雨」ということから、雨の中で悲しみに暮れている姿が、まるで映画のように、頭の中で勝手に再生(妄想)されるのです。

またサザンオールスターズの曲で「夕方hold on me」と言う曲があるんですね。

この曲は夕方とyou've gotをかけていたりと遊び心満載の一曲。

喜びを表現する歌詞と、夕暮れを彷彿させるメロディから、恋人と付き合うことが出来た、あなたを手にいれた!という男の気持ちがありありと目に浮かぶのです。

歌詞から、メロディから、心に何か思い起こさせる曲。

私は桑田佳祐の曲に、それを感じました。

サザンオールスターズの曲だけではありません。

例えば山崎まさよし「僕と不良と校庭で」などは、かつての学友からの手紙を読んで、学生の頃に見ていた世界のことを懐かしむ歌になってます。教室の窓から、空を見上げる少年の姿をが浮かびます。

PUNPEE「Scenario(film)」では、異性とうまくいかない男の姿が浮かびます。

その曲の登場人物の動きが、風景が、そしてその世界の香りがわかるような曲。

それが私の思う「良い曲」の定義です。

おそらく、「そんなことない」と言われる方もいるかと思いますが、そこは目をつぶって頂けると幸いです…。

◆歌詞の意味は、隠して欲しい。

そしてもう一つ、私が思う良い音楽の定義として「意味を隠して欲しい」というものがあげられます。

昔、よく「ストレートな歌詞が人気」みたいなアーティストさんが多く取り上げられていたと思います。

愛してる気持ちを、「愛してる」と表現。

会いたい気持ちを、「会いたい」と表現。

それはそれでいいのですが、もっと愛してると言う気持ちを隠して欲しいと思うのです。

再びサザンオールスターズのTSUNAMIに戻りますが、TSUNAMIでは愛してるや会いたいという言葉は歌詞の中に出てきません。

風に戸惑う 弱気な僕
通りすがる あの日の幻影(かげ)
本当は見た目以上涙もろい過去がある
止めど流る清か水よ
消せど燃える魔性の火よ
あんなに好きな女性(ひと)に出会う夏は二度とない

  ーサザンオールスターズ「TSUNAMI」ー

どうでしょう?

これだけのワードだけで、この曲の中に出て来る人物の気持ちが伝わります。

誰かを愛し、そしてその恋心は実らずに悲しみに暮れているかが伝わってくるのではないでしょうか?

「愛してる」「会いたい」「悲しい」...

そういったことを直接歌詞にするのでなく、詩と言う布で一度隠して欲しいのです。

小説でも「本当に筆者が伝えたいことは、隠す。」といいます。そして、その為に表現の仕方があります。それを読み解いて行くのも、小説を読む楽しみでもありますね。

音楽も、私はそうであって欲しいと思います。

ストレートでなく、隠す。そして、聴いていくにつれてその謎がわかっていく。

そんな曲が、まさに長く愛されるのではないでしょうか。

◆音楽で、毎日を豊かにしてきた。だから、これからも。


いかがでしたでしょうか?
これが私の考える「良い曲」の定義です。

歌詞中心に話を展開していきましたが、もちろんメロディだって大切なことはわかります。しかし、メロディの話になると、それなりの知識がないと論じること出来ない、出来たとしても説得力のない物になってしまうので、それに関してはまたの機会に話をしたいです。

音楽は好きです。

昔は偏った音楽知識ばかり持って、とにかく古い曲ばかり聴いていればいいと考えていました。

しかし、私は『Valetudo』を始め、あの頃のなんでもありな感動と興奮を取り戻したい!と真摯に思っています。

今はいろんな曲を、分け隔てなく聴いて、毎日を楽しんでいます。

しかし、まだ足りない。これはきっと「音楽を実際にやらないとわからない良さ」みたいなことがあるんだと思います。

私は一時期、プロレスと言う競技をやっていました。プロレスを体験していくと、観戦する楽しみがどんどん増えていきました。

きっと、音楽も同じです。

いつの日か、私自身も何か音楽を...なんて言う風に考えております。

今はまだ浅はかな自分なりの「良い音楽」の定義しか出せませんが、いつしか、より深いところまで音楽のことが話せるようになれたらと思います。

<記事に出てきたアーティスト紹介>

○サザンオールスターズ

言わずと知れた日本のロックバンド。

青山学院大学の学生バンドがほぼ下積みなしでメジャーデビューを果たした異例のバンド。

1978年に「勝手にシンドバット」をリリースする。
当時はコミックバンド扱いされていたが、「いとしのエリー」のヒットにより実力を認められ、本格派のバンドとして評価される。

暮石一押しのバンド。同年代がほとんど聞いていなかったことが少々悔やまれる。

暮石が夏が好きなのも、江の島が好きなのも、きっとサザンのせい。

〇山崎まさよし

1995年メジャーデビュー。
「セロリ」や「One more time, One more chance」などの曲が有名。

「One more time, One more chance」は新海誠の映画「秒速5センチメートル」の主題歌として有名になる。

暮石にとって、サザンオールスターズほどではないけれど、人生の節目節目に必ず何かしら思い入れのある曲を提供してくれたアーティスト。

本人が主演している「8月のクリスマス」はもう一度見返したい名作。

〇PUNPEE

日本のヒップホップMC。

名前の由来は「一般ピープル」から。

映画、アメコミが好きで、自身の曲の中にも映画ネタやアメコミネタが豊富にちりばめられている。

「ゲームをたくさん持っていたから」という理由で、ヤンキー多めの高校にいてもヤンキーに目を付けられないでいられたというエピソードがある。

暮石が転職を失敗して途方に暮れていた時、飲み屋で流れた「タイムマシーンにのって」を聞いたことから好きになる。

◆まとめ

今回はいろいろと重なることが多く、忙しさの中で記事を制作したので、支離滅裂になっていそうで怖いですが、自分の思う「良い音楽」について書いてみました。

この6月で、今以上に音楽についての知識が深まるよう、いろいろと調べていこうと思います。

更新時間が遅れてしまって、大変申し訳ありませんでした。

次の更新は6月12日です。次はきちんと19時から20時までの間で更新できるようにしますね。

それでは、良い土曜日を。

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