Vaio Stera ~転生先で推し変しかけてる~ 2章#12 強情な騎士とどうしようもない偽花の二組の回 Vol.4
(スノウに追い上げられるの時間の問題。だがそういう事ではないんだよなぁこの企画)
久遠多夢はそう考えていた。
(どうする? お互いどっちかが動くのを待って『正解』を見た後に動くのも手だが、それ以前に違うギミックに引っ掛かる可能性も否めないな)
この企画としては、『競争』としてよりもよりどちらかが先に行くのかという、『チキンレース』の状態となっていた。
このホラーゲームの性質上、『トライ&エラー』で動くのが前提となっている。
そのトライの部分を他の人がやってくれるというのは、いわばゲームのネタバレをするようなもんであり、本来なら楽しさは半減よりも酷い状態となる。
だがこの対決ではその『ネタバレ』をどっちかがしてくれるかが鍵となっており、久遠多夢はそれを考えて謎を解くスピードを出せるに出せない状況に陥っている。
初見殺しに関しては、正直『空いてる方に動いて避けれる』程度ならば、回避で動くのが安定と言える。普段から回避の事を考えてFPSをしている以上、ホラーゲームの初見殺し程度なら、避けれるのが久遠多夢の腕だった。
だが、今やっているのは謎解きチキンレースであり、FPSではないのだ。
それなら、どうするか。久遠多夢はシンプルに答えを出す。
「え、久遠多夢さんが途中で止めて、腕立て伏せをしちゃってる!?」
「303を攻略してそこで……、なるほど、待つ時間を最大限に利用ですね」
HALHALは何故、と思ったが三億セレナはゲームの本質に気づき、久遠多夢の取った戦略に感心する。
「あーもう、それやられると先に進むしかなくなるじゃん!!」
「お互いヒント出しあってるんだから、それぐらい融通しろ!!」
スノウは、久遠多夢が手を止めているからこそ、腕立て伏せの回数を稼がれない為に進むしかなくなる。
手を止めて点数を稼いでいるからさっさと道を教えろ。
この事に気づいた久遠多夢は、スノウが同じ303を攻略した時点である事に気づく。
それは、下に降りる階段に幽霊がいる事だ。
(ここで謎解きか……一旦持ち物を確認しよう)
アイテム欄を除く
・メモ(404で発見)
・日記帳(402で発見)
・地下室の鍵(402で発見)
・かわいらしい人形(401で発見)
・腐ったスイカ(304で発見)
・液体が入った瓶らしきもの(303で発見)
日記帳にはこうあった。
「かえして あたしのエリちゃん」
(エリちゃんというのは、まあ十中八九人形だろうな)
ここで、久遠多夢は簡単な謎解きだという事に気づく。
(この手のゲームでありがちな、何かが起きたんだろうな。で、主人公は何かをしなくてはいけないんだろうが、まあ十中八九『慰霊』だろうな。使命を果たせとかバリバリそれだろうし)
ここで久遠多夢はメニューに画面を映し、持ち物を調べ始める。ここで使っていたのは、マウスだった。
(マウスの使う意味がようやくわかった。この人形と日記を重ねて持っていけば……)
ここで画面から、テロテロテン、と気軽なSEが出る。
「ホラーにしては、なんか明るいSEだな」
そういう呟きも束の間。久遠多夢の画面にメッセージが出る。
『人形は、エリちゃんの事か? なら、これを何かで使ったりするのか?』
とだけだった。
「え? これだけ?」
久遠多夢は少し不満気だった。
(いやもうちょっとヒントよこせよ! とは思うけど、ここで出すのはここまでなんだろうな。でも解き方が分かってきた)
ここで、久遠多夢は『液体が入った瓶らしきもの』と『メモ』を組み合わせる。
するとそこで、更にメッセージウインドウが出る。
『このメモと香水……恐らくは303の幽霊が土井って奴で、404の幽霊が甲斐田ってやつか。この二つは繋がりがあるのは分かるが、これをどうすればいいんだ?』
(ヒントとしては、もう答えを言ってるようなものだ)
久遠多夢はある答えを導き出す。
(このゲーム、幽霊を慰めてそこで幽霊を味方につけて突破するゲームか? 十中八九アイテム使って慰めていくだろうしな。主人公の使命が慰霊ならば、アイテムを使って幽霊を突破していくんだろうな)
久遠多夢は、自身の出した答えを確信して、行動をし始めた。
「なんだ? 久遠多夢は上の階に戻っている?」
驚いた表情のガテリア。甘い、と言わんばかりのスノウがそこにいた。
「なるほどね……ボクもその答えにはなる……。だけど、敢えて違う道を取らせてもらう!」
ここで、HALHALは、三億セレナに疑問を呈する。
「久遠多夢さん、何で上に?」
「まあ謎解きで戻るんでしょうね。ですが……そのフェーズは早すぎません?」
「え……なんで? ゆ……、あ元の指令とかですか?」
「まぁ確かに、その答えは確かゲームの先のストーリーはそうなるでしょう」
「えーと、久遠多夢さんが、取ってる行動は、正しくないって事?」
「本来の目的を考えれば正しいです。ですがお忘れですか?」
三億セレナが指摘する。
「主人公の最初の目的を、ですよ」
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