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Vaio Stera ~転生先で推し変しかけてる~ 2章#11 強情な騎士とどうしようもない偽花の二組の回 Vol.3

マンションパニック

バーチャルの星海の中で発売されたこの謎解きホラーゲームは、怨霊が住むこのマンションの中からアイテムを見つけて脱出するというゲーム。謎解き要素に特に人気があり、30分という短いながらもやりごたえは抜群という評価を残している。

幾つもの考察された記事が人気を博しているという、まさにファンを持つのに相応しいといえるゲームである。

無料でできるので是非お試しあれ。

「マンションパニックは一見ゾンビパニックを思わせるタイトルをしているが、その際中身はしっかりとゴーストもの。内容に関しては初見殺しのホラーが多く、引っ掛かる人も多いとか。だがその分謎解きに手ごたえがあるらしく、その分でしっかりとした人気があるらしい。このホラーゲームのポイントは、如何初見殺しに引っ掛からないかでその分早くクリアできるかが鍵だ」

と、ガテリア・フォンドルフが解説を加える。

「一応聞いたが、理不尽すぎる初見殺しは無いらしいが、あるところにはあるらしい。各自、そこには気をつけろとのことだ」

「結構、なんだろうか。『ストーリー』に謎解き要素があるんじゃないかなと踏んだねボクは」
「ストーリーもだが、謎解きじゃない部分に初見殺し? そこが気になるんだが」

「そこはまぁ、各自でやってってもらおうか」

あと、とガテリアは付け加える。

「本編はマルチエンディングになっていて、そこで、よりよいエンディングに達成する事によって点数が決まる。あと、腕立て伏せも忘れないようにな」

「腕立て伏せ、これ大事ね」

スノウからの一言に、まあなと答えるガテリア。

「さあ、腕立て伏せの体制になってくれ」

スノウと時光久遠多夢(ときひかりくおんたむ)は、それぞれのPCがある前へ腕立て伏せの姿勢になる。

PCにはWEBカメラを思わせるようなカメラが付いており、それは画面の下についていた。

上につくのではなく、腕立て伏せをしているスノウ達を映すための配慮だと思われる。

PCには特殊な機材は無く、いたって普通の機材だった。キーボードとマウスと、モニター。

本体は別にあるとして、基本それだけだった。

「操作方法はわかるな? エンターが調べる、バックキーがもどる、シフトキーがメニュー。矢印が移動だ。ちなみに矢印二回で回避らしい。あとマウスでも一応操作できるとか」

「今回の為に片手でできるよう設定されたんだよね。まあ元々だろうけど」

「片手でキーボードの端に行ったり来たりが無いだけましだな。でも回避か……マウスの意味ってなんだ?」

スノウも久遠多夢も、お互い準備万端といった感じであり、早くしろと言った感じだった。

「では、そろそろ開始とする。『腕立て伏せをしながらマンションパニック!』開始イイイイイイイイイイ!!」

ビーーー、といった汽笛の様な音とともに、二人のホラーゲームマラソンが互いにスタートした。

スタートを押すと、ストーリーはこういったものだった。

眼が覚めると、鉄柵で囲われたマンションの屋上にいた主人公、哲也(てつや)。ここがどういった所もなく、さらわれた記憶もない。

そこで、ポケットの中にあった破れたメモを見ると、『使命を果たせ』という言葉だけがあった。

主人公は『脱出しろ』という事だと思い、マンションの中から脱出する事を決める。

ゲームの見た目としては、古いドットのゲームのようであり、俯瞰的な視点から見たような画面構成をしていた。

体力とかのゲージは無く、まさに『一瞬の油断が命取り』なのだと、スノウと久遠多夢は瞬時に理解をする。

「とりま行ってみるか」

久遠多夢は、右手で主人公を操作し、エンターキーを押すまでもなく、ドアに入る。

出てきたのは、マンションの通路だった。右側に屋上への通路があり、

キャラ三体分が通れる通路の上側に、404とあり、向こう側までは401とかあるんだなと久遠多夢は解釈する。

この時点で最初のトラップが襲い掛かる。

「!?」

思わず引っかかったのは、久遠多夢だった。404の部屋の扉に入ろうとした所、405の扉が勝手に開き、そこから黒い手が伸びる。

ぐしゃぁ、という簡単なグロテスクな音がSEが鳴り、そこでGAMEOVERの文字が出る。

これを見てたHALHALは思わず声を上げそうになり、三億セレナに抱きつく。三億セレナは、「至極幸福」といった感じの表情になっていた。

ちなみにヴェインは「うわっほひょおおおおおい!?!?」と凄い声を上げており、りぼんにゅーからうざがられていた。

「そこまで序盤から初見殺しが来るとは思わなかったけど、まあでもなるほどね。大体は分かった」

ここでスノウは、404の部屋と同じ列まで並ぶ。スノウにも同じく黒い手が伸びるが、スノウは右へ回避。

その後、部屋へ入って行った。

(問題はこの後だ。久遠多夢くんも同じく回避してこの部屋に入るんだろうけど、問題は彼がボクの場面を見てどこに何があるのかが分かってしまう)

いや違う、とスノウは思考を切り替える。

(しらみつぶしに探して回りそうなこのゲーム、久遠多夢くんには『別の所』を探してもらわないといけない。となるとあれだ)

スノウは作戦を決める。

(体力が制限あるなか、積極的に探しにいき、かつクリアの目標を見定める。そうしなきゃまず『クリア』という目標にはたどり着けない。相手の場面を見る体力までは残っていない。何はともあれ、『腕立て伏せ』もしなければならないからだ)

ともあれ、

(やる事を決めよう。今ゲームオーバーになっている久遠多夢くん。だけどもうすぐゲームに復帰できる。そこで、ゲームオーバーの時には腕立て伏せの回数を稼ぐ。んで、その際久遠多夢くんの画面を見つつ、どこになんのアイテムがあるのかを『見て覚える』。ヒントは相手の画面にあるからそこで見て対処しよう)

と、考えをめぐらすスノウ。だがそこである事に気づく。

(これが普段の姿勢ならそれは確かに可能だ。だけど腕立て伏せしながらだぜ? なんといっても体力がそこまで持つかどうかなんだよな。キツイ姿勢の中で複数の事をやるのは無謀に近い。だけど、ヒントは掴めるタイミングは幾つか存在する)

スノウは考えをめぐらせつつも、危険な幽霊がいる605室の探索を終えていた。

(このアイテムを入手した時のピロロン、というSE。この時にまず見るタイミングはある。お互いの場面を映している状態だから、その時に見れば、体力の消費は抑えられる!)

次に、403室の捜索を始めるスノウ。そこでは、特に何もなく、幽霊も無いといった感じであり、次の部屋へ向かう。

(と、いうのは久遠多夢くんでも思いついてはいるだろうから、こっから先は、多分だけど『如何に初見殺しを回避できるかの勝負』になるのは、まず決まっても良い。この手の建物の中を調べるゲームはきまったギミックがある)

今までのホラーゲーム経験から、どんなギミックがあるかを思い出すスノウ。

(まず建物の中を徘徊するやつ。これは定番のパターンだ。しつこいやつもいれば1つのエリアまでしか追ってこないやつもいる。次に、調べてるウチに襲ってくるやつ。アイテムのメモを読んでれば襲い掛かってくる。これは少ないけど、たまにいた。最後には、何度も聞いたり見たりした初見殺し。一見何も無さそうな所から突然、とか宝やアイテムがありそうな所に、襲う、とかそういうのがあったのは覚えている)

402号室を調べるスノウと久遠多夢。そこで、お互いそれぞれ違う初見殺しにあう。

そこで、久遠多夢は左の棚から幽霊と思わしき手が伸びてくる。だが、久遠多夢はこれを上方向に回避。

対してスノウは、ある程度考え事をしていたせいか、グラつく棚に気づかず、倒れる棚に襲われて死んでしまう。

「ああもう、こんなことで!」

「よし、先に行ける!」

久遠多夢はその部屋で更にアイテムを見つけたSEを二つ出し、次の402へ向かう。

ここでスノウは、久遠多夢が見つけたアイテムに注目する。1つは『地下室の鍵』と、もう一つが分からなかった。

(見逃した! もう一度調べよう!)

ここで、屋上へ戻らされたスノウは、最初からのやり直しとなる。ここで、一応のアイテム確認をする。

・メモ(404室で見つけた物)

メモを確認する。

『実験体3333番。甲斐田美代子。この女性は17回目の実験で事切れてしまう。404番室の住人だった。303番室の土井良樹と付き合いがあった模様。土井からは香水を送られていた。』

(でもアイテムもちゃんと戻るようでよかった。じゃなかったら番組的にダレていた)

刹那の安堵も束の間、久遠多夢は4階を調べ終えたのか、次の階に赴く。

(くっ! 急がなきゃ!! 流石に普通に負けるのはマズイ!)

ここで、少し焦るスノウ。ここである事にも気づく。

(ただでさえゲームの差が付きそうなのに、腕立てもしなくちゃとはね。結構忙しくなるねこの企画!)

自分で立てた制限に苦しめられ、いわば本末転倒になっているスノウ。だが彼はこれしきの事で簡単に負けを認める性格ではない。

(いいか? 久遠多夢くんが先に行っている事はボクにも逆転の可能性があるんだ! 久遠多夢くんの画面を見つつ、探索をするのがボクの仕事! やらせてもらうよ!!)

スノウは覚悟を決め、再び危険なマンションの中へ飛び込んだ。

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