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Vaio Stera ~転生先で推し変しかけてる~ 1章#4 「いきなり伏線だらけで謎が深まる回」

前回


VaioStera ストーリー
創田結人は、「バーチャルの星海へ異世界転生」する。
そこでは、異なる異世界からやってきた異世界のVチューバーである、「Vstar」達が存在していた。
Vstar達は、己の世界のVstar文化を滅びから救うために、Virtual Battle Royaleという、Vstarとしてのパフォーマンスバトルにて勝利を目指す。
創田結人と、Vstar達に戦いの中で待ち受けるものとは!?

「「「!?!?!?!?」」」

周囲がそのフェニそっくりな美少女がとった突然の行動に驚き、呆気に取られる一同。

そこで、その中で一番早く動きだしたのは、スノウだった。

「いやいやいや『フィン』ちゃん!! 何ボクの子猫ちゃんの唇を奪ってるの!?!? 取るのはボクだからそこどいて!!!」

と言って、無理やり『フィン』と呼ばれた少女を押しのける。

「あ……このクソ野郎!! せっかくダーリンとの逢瀬を邪魔しやがって!!! ダーリンはアンタみたいなホモ野郎には不釣り合いなのよ!!!」
「ホモじゃないです~~~美少年好きです~~~~。ていうか何で子猫ちゃんとディープなチューしたの?」
「あ……それは……その……」
「それは確かにそうだ」

フィンの奇行に呆気に取られてたガテリアが、我に目覚めて、質問をする。

「いきなりのキサマの行動に呆気に取られていたが、フェアリーはキサマの事を知らないと申し、お互い初対面だろう? よっぽどの理由で好きなのか? まさか、キサマのところの異世界繋がりか?」
「それは……なんていうか、ですね……」
「それは、確かにそうだ。俺も滅茶苦茶驚いたけど、フィンちゃんと妖精ちゃんは知り合いなのか? 妖精ちゃんはなんか気絶してるけど」
「ハッ!? そうだよ、ユイト君大丈夫!?」

我にかえったXesyが、創田の傍に近寄る。ある程度揺さぶるが、創田は気を失っていた。

「ちょっとフィンちゃん酷いよ~~~! ユイト君襲ったみたいだよ~~~」
「いや、そんな、つもりは。なくて……ダーリン生きてる?」
「なんで子猫ちゃんをダーリンと呼ぶの? なんかあったりした?」
「………言えない」
「それはちょっと不親切じゃないか? いきなり襲っておいて、理由を言わないのは裏があると思うがな」

と、ガテリアが強めに注意する。

「……言えないものは、言えないです。だって、言っても信じてもらえないし」
「信じてもらえないって? フィンちゃん」

そこで遅れて我にかえったフェニが、フィンに声をかける。だが、フィンは目つきが厳しくなり、フィンを睨みつける。

「だまれフェニカス。アンタとは口を聞きたくないのよ。何回言えば気が済むワケ?」
「ちょっとフィンさん!」

と、怒るレン。そこでスノウが余計な茶々を入れる。

「相変わらずクイーンの事が嫌いなんだね~~~フィンちゃん。よっぽど前世で何か恨みあった?」
「うっせえぞ”ジジイ”。前世の事は語る口は持ち合わせてないっての」
「……ふ~~~ん、言うじゃん、お人形さん?」
「キサマら、いい加減にしろ。ここで喧嘩を始める気か?」

一触即発の空気の中、そこで、とある一団が訪れた。

「ちょっと、フィン!! アンタまた喧嘩してるの!? いい加減にしなさい!!」
「げっ、プロデューサー……」
「お、『ノンちゃん』に『おでゅちゃん』、ついでに『りゅう』ちゃん。『しふじ』の皆が勢ぞろいで」

しふじ、と呼ばれた集団がねおんわーるどと反逆之従騎士(リベル・サーヴァンツ)とフィンの一団へ合流する。

「ちょっと『None Lose Day』さん~、フィンちゃんが突然暴走しちゃって~」

と、XesyがNone Lose Dayと呼ばれた女性が、フィンのあらましをチクる。None Lose Dayと呼ばれた女性の恰好は、水着だった。金髪に、ハイレグな水着と足が露出するようにパレオを着ており、まるでビーチに来た美女である。

「フィン、今度は何やらかしたの?」
「えっと、色々と……」
「ふぃん、だめ。でこぴんするよ」
「……おでゅー、アンタのデコピン効くから止めて」

背後に大きな物体と、巨大な手を浮かせた幼い少女らしき人物が、ふぃんを注意する。

「え~、フィンさんフィンさん。また親方と喧嘩してたの?」
「……フェニカスの事じゃないわよ。りゅう。ちょっとダーリンを見てたら興奮しちゃって……」

怪訝そうにフィンを見る、りゅうと呼ばれた、髪がぼさぼさの制服少女。暗いオーラを放ってそうな雰囲気を纏っている。

「ダーリン? ダーリンってそこに倒れてる、新しく来たプロデューサーの事? ってもしかして!」
「……いや、あの、その」
「もしかして攻撃してたの!?!? アンタなんて事してんのよ!! おでゅー、デコピン一発かまして!!!」
「おっけー」
「ちょ、まっ」

て、を言う前に、フィンの額がおでゅーのデカい指でデコピンをされ。

少し長い距離を飛んだ。

「ホームラン!! 相変わらず飛ぶね~~~」
「いや~、アイツはいっぺん反省した方がいいだろ……」

囃し立てるスノウ。やれやれと言うヴェイン。

「それにしても、子猫ちゃんは大丈夫そうだね。ちょっと前から起きてそう
だし」

そういわれると、創田は目を静かに開けた。

「……行ってくれましたかね?」
「あ、プロデューサー。起きてたんですか?」
「実は途中から起きてたんですけど、襲ってきた人が怖くて気絶したフリをしてました」

創田は内心、(なんだったんだ)感が強くあり、気絶したフリをする他なかった。

「いやアタシたちもビックリしてるよ。フィンちゃんのあんな行動初めて見たし」

何だったんだろうねという、フェニ。

「それはそうとゆいと君いつ起きてたの?」
「なんか、あの人がなんかまごまごしてた辺りから気づいてました」
「それって実は気絶してたがフィンのディープキスあたりで目覚めたって事か?」
「「「え????」」」

ガテリアの突然の指摘に、驚く周囲。まず口を開いたのは、None Lose Dayだった。

「え、フィンこの人にディープキスしてたの!? 何で!?」
「それは俺様達にもわからん。ただ本人は凄く目が泳いでいたな」
「ふぃん、そのひとすきなの?」
「それはわかんないね、『要塞』ちゃん。そのうち本人からの愛の告白をするのを待とうよ」
「愛の告白って待つもんじゃないと思いますけどね……」

スノウの冗談に、呆れるレン。そこで、レンがガテリアが言っていた事を思い出す。

「っていうかプロデューサー? ディープキスを堪能してたとかはないですよね?」
「いや、しら、ないです」
「……レーザーで焼かれたいですか?」

レンの圧倒的な圧に負け、創田は速攻で土下座を決めた。

「すみません!!! ディープキスされる前に気絶してなかったです!! 許してください!!!」
「プロデューサー!!!! ドスケベですよ!!!」

ぷんすこと怒るレン。いやだって、と繋げる創田。

「いやだって、押し倒された事は……えーと、一度もなくて?」
「おい、何か間が空いてたな? という事は、一度はあったって事か?」

と、ツッコミを入れるヴェイン。いや違うんですよと訂正を入れる創田。

「いきなりダアアアアリイイイインンって言われて押し倒された事は無いって話ですよ!! ていうか僕が一番驚いてますからね!!」
「まあ~……一番驚いてるのはユイト君だよね~……ていうか頭ケガしてない?」

心配そうに創田を見るXesy。そこで、創田は恐る恐る自分の後頭部を触る。

「いや、微妙に痛みはあるんですけど、そこまで痛くはないですね」
「ほう、つまりバーチャルの星海では痛覚はそこまでないという事か。俺様達は特に殴り合いとかはしないから痛みが訪れる機会は無かったが、痛み自体は僅かながら存在しているという事か」

口に手を当てて、分析をするガテリア。その言葉に、創田が質問をガテリアに投げかける。

「そういえば、この体になって感覚はどうなっているんですかね?」
「そうだな……。感覚は人体があった時と差異はある程度違ったりするな。特に食欲と体の渇きに関する感覚がない。あと、頭の中でカンが磨かれるような感覚に陥ったりする」
「なんていうか、第六感、ってやつだね~~」

ガテリアの説明に補足を入れるXesy。そんなに違うんだ、と創田は思った。
他にも感覚が違うのかな、とは思う創田だったが、ここである事に気づく。

「そういえばそちらの水着や手がでかい方とは初めてですよね。創田結人と申します。まだバーチャルの星海には訪れたばかりです」
「前から呼び寄せる、とは聞いたけど礼儀が正しいね。『None Lose Day』よ。軍人系Vstarで、『Cat Flyng Galaxy』のプロデューサーよ。チームに関しては、『しふじ』と呼んでもらってもいいわ」
「……おでゅー」
「どーもどーも、宇宙浩(そらひろ)りゅうでございます。ソーダ氏、以後お見知りおきを~。ちなみにあてぃくしは宇宙とネット信者Vstarでぇ~す」
「よろしくお願いします」

頭を下げる創田。

「んで、さっきの白いドアホがフィン。よく親方やスノウ王子と喧嘩するけど、まぁいつもはテンションが低いけど歌の時になると豹変する奴よ。まぁ悪い奴じゃないし、ディープキスされるかもだけど仲良くしてやってね」
「ど、努力いたします」

にこっと笑うNone Lose Day。正直、創田としてはあそこまでアタックが強い女性は昔色々とあって苦手だった。

「ところで親方って?」
「あれ? 知らなかったの? 親方がそこにいるフェニよ。フェニは他の異世界でも」
「モシモシ。ソコのミナ様ガタ。ワタシタをクワエテいただいても?」

None Lose Dayが創田にとって気になる言葉を言おうとした時、近くから機械音声が聞こえてきた。

創田は機械音声が聞こえた方を振り向くと、そこには。

少し大きなタブレットを抱えた、VRゴーグルらしきものを目に付けた赤いロングヘアの少女と。

褐色肌で胸を大きく開けたピンク髪のメイド。

左肩に機械らしきものをつけた青い髪の男性がいた。

その集団に、フェニが声をかける。

「『FF』のみんなじゃん!! 『HALちゃん』、元気?」

「はい、フェニ元帥。新しいプロデューサーがねおんわーるどの皆さんにくると聞いて、挨拶しに来ました」

「と言っても、コロニーからこねちゃんで一報来たから、ですね」

と、褐色肌のメイドが一言入れる。

「というか、元帥はガラじゃないよ。HALちゃんや三億さんの所にいたアタシとは違うアタシだし」

「そうは言っても、わたしの世界では、楠咲フェニは元帥なので。あれだったらさん付けで呼びますね」

「え~、HALちゃんもフェニって呼び捨てして~。呼び捨てにしてくれるのレンちゅあんだけだよ~~」

「フェニ元帥は、とても素晴らしい立場でございます。それは、皆様方から尊敬される立場でございまして」

「え~、言い過ぎだよ、三億さーん」

けらけらと笑う、フェニ。ここで、創田はとある事に気づく。

「あの、フェニさんって先程は『Vstar発展世界』の住人って聞いたんですけど、他の世界にもフェニさんらしき存在がいたっていう事ですか?」
「その理由は、俺が説明しよう」

創田に、青い髪の男性が声をかける。

「その前に。俺は時光久遠多夢(ときひかりくおんたむ)だ。時が光るが苗字で、久遠と多い夢と書く。まぁ、タムと呼んでもらっても構わない。タダのゲームするしか能が無い男だ」

「時光さん、よろしくお願いします。創田結人と申します」

「よろしく、創田。……まぁ楠咲元帥こと楠咲フェニは、ここに異世界転生してきた全員の異世界にいるんだ。フィンは明言しないが、恐らくはいる」

「どういう事ですか?」

「そうだな。まず、パラレルワールドって知ってるか?」

「平行世界の事ですよね?」

そうそう、と久遠多夢は言う。

「まず、俺達の世界はパラレルワールドなんじゃないかと踏んでいる。どの世界でも楠咲フェニという存在がいて、そのどの楠咲フェニもVstar文化において重大な役割を残す存在なんだ」
「フェニさんが……? ますます訳がわからない……」
「ゲームで言うならあれだ。有名なゲームキャラがいるとする。仮にマイケルとしよう。そのマイケルがそれぞれ違う世界で活躍しているようなもんだ。例えば、マイケルがSFみたいな世界にいたり。魔法ファンタジーの世界にいたり。それみたいなものだ」
「なるほど……そのマイケルが、違う会社のゲームに出たりするようなものですかね?」
「それにも近いな」
「マイケル……じゃなかった、フェニさんがそれぞれ皆さんがいた世界に存在していて、どの世界でもVstar文化の発展に繋げていったって事ですか?」
「それであってる」

そこで創田は、当然の疑問を口にする

「でも、なんでフェニさんが他の世界にも……?」
「なんでいるか、まではわからない。だが創田の所の世界を除いて、フェニがパラレルワールドの分岐点になっている事だけはわかっているんだ」

そして、と久遠多夢は繋げる。

「ねおんわーるどの二人がいるVstar発展世界の『Virtual Star』、リベル・サーヴァンツの4人がいる『機械融合世界』の『Vaio Star』、フィンを除いたCat Flyng Galaxyの3人がいる世界、『宇宙開拓世界』の『Voyager Star』、俺達のチーム『Fakers Flower』が所属する『柱世界』の『Vital Star』、レンが所属する『塔世界』の『Virtual Star』、フィンは……わからないが何かしらの称号があるだろう」

専門用語をずらずらと並べる時光。とにかくだ、と彼は言う。

「早い話、全員どの世界でも『Ⅴstar』が文化の中心になっているんだ。出来過ぎてる話みたいにな。だから、パラレルワールドなんじゃないかと、俺達の中では以前こういう話し合いが行われた」

「なるほど」

確かに、出来過ぎた話だ、とは創田は思う。ここで、創田はこう疑問を持つ。

(どうしてⅤチューバーと類似してそうな存在が他の異世界だと重要な立場になっているんだ?)

と創田は思う。

(話の印象としては、Vstarがどの異世界でも重要な何かになっているのはわかるけど、どうして重要な立場になっているかがわからない。本当に小説の異世界の話を聞いてる気分だ)

と、創田は一種の気味の悪さを感じた。

「一部は『単なる偶然』と思っているらしいが、俺はこの世界に来て以降、色々と経験してからは『何かある』と踏んでいる。その為にフィンにはなるべく聞こうとはしているんだが、アイツからは避けられてな。中々話が聞けないんだ」
「なるほど……。フィンって人、結構人によって態度変えますね」

確かに、と時光は言う。

「本当に露骨に態度を変えるからな、アイツ。本当に何かあったんだろうな、アレに関しては」
「こういってはなんですけど……色々とは?」
「それはまぁ………、その内ねおんわーるどから聞いた方が良い。俺の口から聞くと更に混乱するだろうからな」
「そうですね……」

正直、今のパラレルワールドに関する話だけでもいっぱいいっぱいだった。

楠咲フェニ。ますます、彼女がどんな存在であって、どんな生き様を体験してきたのか。

今の創田ではそれで頭の中でいっぱいだった。

ここで、創田はある事を口にする。

「ところでなんですけど、FFの皆さんからなんか凄いアタックが来なくてよかったなって」
「どういう事だ? それ」
「実は……」

スノウから口説かれたり、フィンからディープキスをされたと告げる。そうすると、時光からは「それは大変だったな。流石に俺達はそこまでしないぞ」と、常識的な対応をされた。

創田の中で、良い人だなぁ、と久遠多夢に対する好感度が上がっていた。

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次回予定
5月21日

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