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【ヤンキーくんvsネットヤンキーくん 超後編】12月号
真冬の寒波と、不良たちの影に身を震わせながら1週間が過ぎた。指名手配は今も続いており、未だ僕はお尋ね者のままだ。登下校には常に細心の注意を払い、わざわざ遠回りをして小学生と同じ通学路をつかっている。
あの平穏な日常はもう戻ってこない。
しかし、そんな状況に際して不幸中の幸いと言える事柄が2つあった。
1つは、その年は学年内に「森」の名を冠する生徒が、僕を含め4人在籍しているという『キセ
【ヤンキーくんvsネットヤンキーくん 後編】10•11月合併号
中学3年生の冬。高校受験のその最中、初の保護者召喚を受けた僕は、両親とともに夜の学校へ赴いた。
このとき、中学教師である両親がこぼした「召喚される側には回りたくなかった」という小言を僕は今でも覚えている。校舎の正面玄関を利用したのも、これが初めてのことだった。
来賓者用の慣れないスリッパを引きずりながら担任から小部屋へと通されると、僕たち3人を生徒指導の先生が仁王立ちで迎えてくれた。
彼
【ヤンキーくんvsネットヤンキーくん 前編】9月号
あれは僕が中学3年生のときだった。いつものように僕たちは学校が終わると、近くの大きな公園でラグビーをして遊んでいた。
メンバーは僕を含め全員が帰宅部で構成されており、その日は8人が集まっていた。ひとえに帰宅部といっても、彼らはラグビーやサッカーのクラブチームに所属しているスポーツエリートたちなので、なにもしていない純正の帰宅部は僕くらいのものだった。
ラグビーを始めて1時間ほど経った頃、成績
【T〜“それ”が見えたら終わり〜】R5.8.11
《おまけ》
ここ最近Tはようやく携帯電話を契約できたようで、彼はついにLINEを始めました。
それからというもの、Tは主に深夜帯(おそらくお酒を飲んでいる時間帯)に、グループラインへ謎のメッセージを残していくのです。
その内容があまりにも狂気的でしたので、プライバシーの侵害にならない範囲で掲載しておきます。
また随時、更新していきます。乞うご期待。
【T〜バイト先の奇人〜後編】R5.8.10
Tが二軒目に選んだのは、同じくアメ村にある隠れ家的なバーだった。こちらはカウンター席が6席のみで、店内には、20代後半とおぼしきドレッドヘアーの店長がいた。
店長は、Tに気づくや否や今度はハッキリと苦虫を噛み潰したような顔をした。ここまで店側にぞんざいに扱われる客というのも珍しい。そんな店長の第一声は「いらっしゃいませ」などではなく、「もう暴れんといてくださいよ」だった。たしか、一軒目のマスタ
【T〜バイト先の奇人〜前編】R5.8.9
僕が立体駐車場でアルバイトをはじめてから1年と3ヶ月の歳月が過ぎた。これまで僕は、優に10を超えるアルバイト先に勤めてきたが、不本意にもキャバクラのボーイに次いで2番目に長い勤め先ということになる。
これは、あくまで個人的な見解だが、駐車場バイトとは「出来るだけ楽に金を稼ぎたい」という浅ましい考えの終着点だと思う。かくいう僕もそんな浅ましい考えを持つ一人で、だからこそ、こうして1年以上も「オー
【非常勤の神様】R5.8.5
ある平日の昼下がり、僕は友人とふたりで近所をぶらぶらと散歩していた。およそ社会から隔絶した存在である僕たちには、サラリーマンという存在をひどく厭わしく思う質があった。特にあのスーツというものが大きな十字架のように見えてしまって、なんとも居た堪れない心持ちになるのだ。したがって僕たちは、サラリーマンが絶対に出没しないであろう、風俗街と中華街が隣接する世紀末のような一帯を好んで歩いた。
排気ダクト
【ポエム】R5.7.21
本日はポエムを3作品ほど書き下ろしました。気に入っていただけましたらLINEのホーム画面などに使ってもらえると幸いです。
【ムーミンと呼ばれた男】R5.7.18
僕は大学生の2年間、田舎町でキャバクラのボーイをしていた。その頃に出逢った謎多き男、ムーミンについて語ろうと思う。
ムーミンと呼ばれるその男は、僕の働くキャバクラでキャッチ(客引き)として雇われていた。都会ではまず考えられないだろうが、僕の働いていた夜の町では、案内所やキャッチなどで集客を行わなければ1年も持たずに潰れてしまう店がほとんどだった。
彼の年齢は50歳前後、身長は160cmほど