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【短編小説】ノアの「あ」

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#小説

ノアの「あ」 #01

ノアの「あ」 #01

 時々、昼間すんごい眠たくなることってあるよね。毎日ちゃんと寝てるのに、なんでか。
そういう時って必ずっていうほど、金縛りにあう。幽霊みたいな怖い感じは全然ないんだけど、身体が動かなくなっちゃうの。
頭では、眠りそう、これから夢に入るなって分かっているんだ。現実と夢の間を行ったり来たりして、変な感覚になるのが面白いんだよね。
題名つけるとしたら『夢か現実か幻か』ってな感じ。
でも目覚めたとき、めっ

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ノアの「あ」 #02

ノアの「あ」 #02

▼前回のお話

「あれ?」確か友達のところにいるはずなのに。
マカは、一か月前に保護した子猫で、最近僕が入院したから猫好きの友達のところに置いてもらっていたのだ。
やっぱり夢だ。入院中、マカに会いたくてたまらんかったしね。退院してきて更に会いたくなってたから、僕の想いが写った夢だと思った。

 なんて可愛いやつなんだと、ニコニコしていると、
「行きますよ」
「!?」
マカの口元は、「ニャー」の形に

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ノアの「あ」 #03

ノアの「あ」 #03

▼前回のお話

それから僕は、でっかいライブ会場みたいなところに通された。目の前には、僕を囲むように、数百・・・いや数千人?とにかくたくさんの人が座ってこっちを見ていた。よく見てみると、コスプレ?被り物?よくわからないが、外見が人間じゃない人も所々にいた。
お立ち台のようなところに無理やり乗せられた。数千人の人が僕を敵視しているかのような視線を感じる。
さっきマカが会議と言っていたが、僕はさらし者

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ノアの「あ」 #04

ノアの「あ」 #04

▼前回のお話

「わしが話しておる」手を振っている。
「あ、どうも」と、僕はうなづいた。
「日本語お上手なんですね!?」
「わしは、日本語でしゃべってはおらん」
「え?でも、聞こえるのは日本語ですよ?」気づく、
「あ、誰か同時通訳してくれているんですね?ありがとうございます。」とお辞儀をする。
「でも通訳の人、そこまで芝居がからなくてもいいですよ?」
僕は、貴族風の外国人のキャラクターに合わせた言

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ノアの「あ」 #05

ノアの「あ」 #05

▼▼前回のお話はこちら▼▼

▲▲前回のお話はこちら▲▲

もはや都市伝説級の家系の人に出会うとは思わなかった。ただ、気になるのは「祖」だということ。
鼻の軟骨コリコリが、体の震えに呼応するかのように大きくなってきた。
「シロートシルト老、一つお聞きしてもいいでしょうか?」無意識のうちに敬語になっている。
「そこにいる、タマーネギーさんやクロックラーさん、おそらく他の3人も、祖ですよね?」
「おお

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