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ノアの「あ」 #03

▼前回のお話



それから僕は、でっかいライブ会場みたいなところに通された。目の前には、僕を囲むように、数百・・・いや数千人?とにかくたくさんの人が座ってこっちを見ていた。よく見てみると、コスプレ?被り物?よくわからないが、外見が人間じゃない人も所々にいた。
お立ち台のようなところに無理やり乗せられた。数千人の人が僕を敵視しているかのような視線を感じる。
さっきマカが会議と言っていたが、僕はさらし者で、これはどっちかていうと尋問に近い、罪を犯した人のように感じる。
「ズマゴ、ノアよ・・・」
会場全体にどのようにスピーカー付いているのかわからないが、僕の耳のすぐ横で声がひびく。
「わっ、すいません、はい!」っと、びっくりしながら、どこから声が発せられているのか探した。
「・・・ノアよ」

ノアさん呼ばれてますよー、と思いながら、ノアさんの居場所も探しながらきょろきょろした。
目の前のみなさんは、ノアさんを探そうとしないで、僕を凝視している。

あれ?もしかしたら・・・
「ズマゴ、そなたじゃ、そなたが、ノアじゃ」
「やっぱり・・・」って、つい言っちゃった。
すぐさま、口元を押さえ、
「すいません!」
勢い良く、お辞儀をする。前のめり過ぎて、でんぐり返ししてしまった。
笑い声が聞こえ・・ない・・
せめて、笑っていただけると場が和むんですけど・・・
帰りたい、とひそかに思う。

「あのう」
「なんじゃ?」
「とりあえず、誰が話しているか教えてもらっていいですか?」
すると数千人の顔が一点に向いた。僕の丁度目の前といっても、首を45度あげたぐらいのところに、口ひげを伸ばしては、クルクル遊んでいる、貴族風の外国人がいた。

〈つづく〉



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