内海隆雄

インプロアカデミー代表/群馬大学非常勤講師。インプロ(即興演劇)を通して、人やチームの可能性を引き出す仕事をしています。10年を超えるインプロ経験、100回を超えるパフォーマンス経験、1000回を超えるワークショップ経験があります。NHK『あさイチ』出演。

内海隆雄

インプロアカデミー代表/群馬大学非常勤講師。インプロ(即興演劇)を通して、人やチームの可能性を引き出す仕事をしています。10年を超えるインプロ経験、100回を超えるパフォーマンス経験、1000回を超えるワークショップ経験があります。NHK『あさイチ』出演。

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    インプロを通して、僕はこれから「失敗する自由」を売りに行く。

    僕は「インプロ」と呼ばれる即興演劇をやっている。インプロとは台本の無い中で即興で演じたりストーリーを語ったりするものである。ショーとしてインプロをするときはお客さんからもらったアイデアをもとに始めることもある。例えば「ゴールデンウィークに行きたいところは?」と聞いて「ピクニック」という答えが返ってきたら、ピクニックのシーンを始める、といった具合だ。 僕がインプロに出会ったのはおよそ8年前、大学の授業においてだった。当時の僕は東京学芸大学で教育学を学んでいた。そして「演劇学科

      • ITIのインプロフェスティバルに参加してきました

        8月28日~9月4日にかけて、ノルウェーのトロンハイムで行われたインプロフェスティバル「Trondheim International Impro Festival」に参加してきました。これはITI(国際シアタースポーツ協会)が2年に1回開催している、国際的なインプロフェスティバルです。今回も世界的インプロバイザーによるワークショップ、ショーが多数行われました。 この1週間は、僕のインプロ人生の中でも特に濃厚な1週間となりました。ここでは印象に残っているいくつかのことを書い

        • 「今ここ」にいるとはどういうことか?

          ここ10年くらい、「今ここ」という言葉がよく聞かれるようになっている。その牽引役はマインドフルネスだろう。また、『嫌われる勇気』が大ヒットとなったアドラー心理学もまた「今ここ」を重視している。 そして僕が行っているインプロ(即興演劇)もまた「今ここ」を重視している。そもそも「即興」を意味する という英単語の語源は「Im(~でない) + pro(前もって) + visation(見ること)」であり、まとめると「前もって見ることをしない」。つまり「今ここ」にいることを多分に含

          • インプロマインドあふれる社会をつくる

            悲しい事件や虚しい選挙結果がテレビから流れてくる。ここ数日は、そんな中で自分がインプロを教えることの意味について考えていた。 その結果分かったことは、僕のインプロバイザーとしてのビジョンは「インプロマインドあふれる社会をつくる」ということだった。そしてそれは次のような社会である。 好奇心を大事にする社会 僕は人間とそれ以外の動物を分けた最大の要因は「好奇心」だと考えている。そして好奇心はそれ自体に価値があるものだと思っている。 インプロマインドあふれる社会では、人は自

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            インプロを見る3つの視点と、「インプロもどき」との違い

            僕はインプロを始めてから10年くらいになる。インプロは日本ではまだまだマイナーだが、それでもこの10年の間にずいぶんと広まったと感じている。おそらくインプロをやっている人の数は3倍以上になったし、インプロを知っている人はもっと増えただろう。また、最近ではフィアレスを立ち上げたこともあり、インプロの広がりがさらに加速している。特にアジャイル業界ではRSGTに登壇したこともあり、インプロの知名度が高まっている。 僕のミッションはインプロを広めていくことでもあるから、これは基本的

            「3日でつくる演劇ワークショップ」にてインプロを行ってきました

            今年のゴールデンウィークは栃木にて3日間のインプロワークショップ&発表会をファシリテートしてきました。これはトッコ演劇工房「3日でつくる演劇ワークショップ」の一企画として行われたものです。僕が3日でつくる演劇ワークショップに行くのは6年ぶり3度目で、前回の様子はインプロ漫画『プレイフル』の題材にもなっています。 この企画はいつも素敵な時間となるのですが、今回もまた素晴らしい時間となりました。帰りの電車に揺られながら、簡単なレポートにまとめようと思います。 2つのヴィジョン

            心理的安全性を高めるリーダーシップとは?

            この記事は、心理的安全性を高めるリーダーシップについて書くものである。インターネットで心理的安全性を高める方法を調べると「1on1をしましょう」「雑談をしましょう」といったことが書かれているが、これらは施策レベルの話である。 この記事ではそういった場面でリーダーが何を考え、どのように振る舞ったらいいかを紹介する。これが抜けていると、せっかく1on1や雑談をしても心理的安全性が高まらないかもしれないからだ。 心理的安全性の研究に基づいて書くと同時に、10年以上に渡る筆者のワ

            心理的安全性に対する誤解~馴れ合い・ぬるま湯・性格の問題~

            昨今、「心理的安全性」という言葉が急速に広がっていると感じる。実際、Googleの検索数を見ても「心理的安全性」というキーワードの検索数は明らかに増えている(最初の要因はGoogleによる研究成果、次の要因は『心理的安全性ののつくりかた』によるものだろう)。 僕は心理的安全性という概念はチームの本質をついたものだと思っているので、その言葉が広がることは好ましいことだと思っている。一方で、心理的安全性に対する誤解も増えていると感じる。それは「心理的安全性は馴れ合い」「心理的安

            「相手にいい時間を与えよう」はバトンのようにまわっていく

            僕は「インプロ」と呼ばれる即興の演劇をしている。台本の無い中で、プレイヤーたちのやりとりの中から演劇を生み出していく、というものである。 僕がインプロに出会ったのは、大学の授業においてだった。東京学芸大学で教育学を学んでいたところ、「ワークショップを学べる授業があるらしい」と行ってみたらそれがインプロだったのだ。 インプロはイギリスの劇作家であったキース・ジョンストンという人物が始めたものである。キース・ジョンストンは85歳となった今でもインプロを教えていて、そして「私は

            インプロは明るい人にしかできないものか?

            以前、小堺一機さんが話していたことで印象に残っているものがある。それは「芸能人はだいたいシャイ」という言葉だ。『ごきげんよう』で有名な小堺さんは数多くの芸能人と出会う中で、そのことに気づいたとのことだった。同時に、「シャイだからこそできる表現があるのだろう」と話していたのも印象的だった。 さて、インプロをやっているとよく言われる言葉に、「私はみなさんのように明るくないのでインプロはできません」というものがある(若い人からは「コミュ障なので」とも)。 しかし、僕はインプロは

            「いい子」とは「都合のいい子」の言い換えに過ぎない

            小学校や中学校などで演劇ワークショップをすると、終わった後に先生から「普段とは違う子どもの姿が見られました」と言われることがよくある。 さらに、ワークショップ中は「積極的で素直で、いい子だなー」と思っていた子が、先生から「普段はよく怒られる子なんですが……」と言われてびっくりすることもある。 そこには、学校の授業における「いい子」像と、演劇(特に僕の場合はインプロ)ワークショップにおける「いい子」像の違いがある。 ざっくり言えば、学校の授業における「いい子」とはじっくり

            「本当にやりたいからこそ、やる気が出ない」問題

            「本当にやりたいからこそ、やる気が出ない」 人生にはそんなことがある。本当にやりたいことだからこそ失敗が怖い。だからやる気が出なくなる、という構造だ。 そしてこれは「やりたくないから、やる気が出ない」と結果的には同じ「やる気が出ない」感じがする。だから同じことに感じられるのだけど、もちろんそこには天と地ほどの差がある。 ✕ ✕ ✕ 高校生のころ、僕はミュージシャンになりたかった。僕はそのころギターも弾けたし、ピアノも弾けたし、なんなら作曲もできた。だから音楽活動を始め

            俳優がインプロを学ぶ理由はきっと「演技力」のためではなくて

            僕はこれまで俳優向けのインプロワークショップを何度も行ってきた。その中で分かってきたのは、俳優がインプロ(即興演劇)を学ぶ理由はいわゆる「演技力」のためではない、ということだ。 先月、僕は若手女優たちによるオンライン・インプロ番組『アドリブ・ロワイアル』の指導と演出をしていた。出演者のほとんどは事務所所属の子たちだったが、本当に若く、演技経験の無い子も多かった(しかしとても素直でいい子たちだった)。 だから彼女たちにはインプロの原理(恐れを取り除くこと)についても演技(テ

            面接で無敵になるために。もしくは評価に振り回されず、自分の人生を生きていくために。

            「評価されたい」 人は重要な場面になると、そのように考えてしまう生き物である。 そして多くの人はそれを当然のこととして捉えている。なかには「もっと評価されるために行動しないと」と頑張ったり、「もっと評価されるように行動しなさい」と教育(?)してくる人もいる。 しかし、僕はこのような考え方を採用していない。なぜなら、このような考え方は自分を疲弊させ、結果として人間関係を壊し、そして自分の人生を生きられなくするからだ。 たとえ頑張って評価されたとしても、それを長く続けるこ

            即興で物語を作る方法と、恐怖について学んでいくこと

            インプロ(即興演劇)は即興で演じたり、物語を作っていくものである。そのことについて話していると、「どうやって即興で物語を作るんですか?」と聞かれることがある。 この質問に対する究極の答えは「人間は本来、物語を語ることができる」である。それは夢を見ることと同じように自然なことである。 一方で、もう少しテクニカルに物語を作る方法(ストーリーテリング)を見ていくこともできる。ここでは「インプロの父」と呼ばれるキース・ジョンストンの方法論に則りながら、その方法をまとめてみようと思

            恐怖によって教育する人たち

            犬を恐れる親のもとで育った子供は、同じように犬を恐れるようになりやすいという。それは親からの「噛んでくるかもしれないから気をつけなさい」という直接的な経験による場合もあれば、「犬を見たときに親がギュッと手を握ってきた」という間接的な経験による場合もある。 好むと好まざるとにかかわらず、人間は自分の恐れを人に伝染させてしまう。 だから皮肉なことに、恐れの少ない人は恐れの多い人から怒られやすい。恐れの少ない人が平気でやっていることに対して、恐れの多い人は「なんでそんなことをや