緊迫するガザ情勢――示唆される暗い見通し【前編】/鈴木啓之
2023年10月7日から、ガザ情勢が過去に例のない緊迫状態になった。ガザ地区からイスラエル南部に侵入したパレスチナの武装戦闘員によって、外国人を含めた1400人が殺害された。南部の農村部で出稼ぎをしていたタイ人や、多くはイスラエルとの二重国籍者と考えられるウクライナ人も20人から30人の規模で犠牲になっている。また、200人から250人とも言われる人々が、ガザ地区に人質として連れ去られた。多くはイスラエル人だが、一方で犠牲者や人質の国籍は、欧米と東南アジア地域を中心に20カ国